記事

日本への「警戒感」が日本を救う

激動の2012年もあと1週間で終わる。今日の東京は晴れわたり、爽やかな冬の冷気の中でクリスマス・イブを迎えた。

今日のニュースの中で興味深かったのは、北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」が、安倍政権について、「日本を軍国主義の道へ追い込んでいる勢力」と断じ、「彼らが日本国民の多くの支持を集めたのは懸念される」と報じたというものだった。

核実験と大陸間弾道ミサイルの開発に余念のない北朝鮮が、すでに安倍政権への警戒感を報じた中国、韓国のメディアと同じ懸念を“表明”したことになる。これまで民主党政権下の日本を舐めに舐めていた彼らが、一斉に似たような報道をおこなったことは感慨深い。

今日のNHKの報道では、労働新聞は、「アジアの人民は、強い警戒心を持って日本の政治動向を注視している」と強調したそうだ。私は、このニュースを聞きながら、アジアの大国のひとつである日本が、やっと「対等」に周辺諸国との緊張関係を持つことができるようになるかもしれない、と思った。

竹島や国後島に韓国やロシアの大統領の踏み込みを許しながら、それでも独立国家としての怒りさえ示すことができなかった民主党時代が終焉を迎え、新しい安倍政権がこれまでとは違う「警戒すべき相手」であることを周辺諸国が「吐露している」のである。

私は国際社会の冷徹な現実を感じると共に、対応を誤れば、安倍政権が短命に終わる可能性も否定できないように思う。わずか8カ月で国政選挙(参院選)を迎える安倍新首相は、組閣自体が「勝負」である。

前回、「お友達内閣」と非難された安倍氏が同じ轍を踏むとは思えないが、毎回、サプライズを忘れなかったあの小泉政権のような国民を惹(ひ)きつけるセンスも必要だろう。それと共に、コトに当たる時の対応の柔軟さも新政権には要求される。

おそらく来年の参院選が終わるまで、安倍首相は靖国参拝など、中国、韓国との対決姿勢は“封印”するに違いない。だが、それも中国が、尖閣への領海・領空侵犯の常態化から「次」に何かに踏み込めば、すべてが一変する。

安倍政権が“弱腰”と見られたら、今回の総選挙で得た有権者の支持は急速に失われるし、一方、すでに「国防軍」という文言がひとり歩きしているだけに、単なる強硬策でも支持が失われる。

3年3か月に及ぶ失望の民主党政権の後、安倍政権は周辺国との緊張関係を築くことにすでに成功している。彼らが表明する「警戒」こそ、日本の存在意義を表わしている。東南アジアの各国が、民主主義を重んじる秩序の国・日本にアジアの盟主たる役割を果たして欲しいと願っているからだ。

戦後日本を支配してきた「空想的平和主義」。そのぬるま湯を国際社会の現実が突き破ってきた今、安倍政権への懸念を周辺国が表明していることは、むしろ喜ばしいと言えるだろう。

日本を取り巻く環境が緊張感を増して来れば来るほど安倍政権の意義と手腕が問われる。これまで当ブログで何度も書いてきたように、真の友好とは、一方的な譲歩からは生まれない。中国や韓国とお互いを尊重するような関係になるには、日本国民が「空想的平和主義」に訣別できるかどうかにも、かかっているように思う。

来たるべき2013年は、「空想」と「現実」の激しい鬩(せめ)ぎ合いの年になるだろう。周辺国の安倍新政権への警戒表明の報道を見ながら、私はクリスマスの夜、そんなことを考えていた。

あわせて読みたい

「安倍晋三」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    病院の窓にデカデカと「医療は限界 五輪やめて」

    田中龍作

    05月05日 08:42

  2. 2

    「週刊文春」の強さはどこからやってくるのか

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    05月05日 12:05

  3. 3

    オリンピック中止に舵を切るためには、やはり二階さんの力が必要なようだ

    早川忠孝

    05月05日 16:48

  4. 4

    東京五輪で沈黙…小池都知事に「全然、都民ファーストじゃない」 豊田真由子氏「片棒を担いだと思われたくないので、反対の世論を見て振る舞いを変えている」

    ABEMA TIMES

    05月05日 20:47

  5. 5

    本物の教養を身につけるには「優れた歴史書」を読めばいい - 出口治明

    幻冬舎plus

    05月05日 14:49

  6. 6

    コロナ禍での「緊急事態条項」は「諸刃の剣」

    自由人

    05月05日 14:14

  7. 7

    人生、山あり谷あり… ビル・ゲイツ氏、ジェフ・ベゾス氏の離婚に思う

    ヒロ

    05月05日 11:43

  8. 8

    憲法改正についての世論調査 改憲必要という発想の危うさ その2

    猪野 亨

    05月05日 14:37

  9. 9

    出産予定日間近の倉持由香 腰痛と仕事を奪われる不安でメンタルをやられる

    倉持由香

    05月05日 08:03

  10. 10

    【リドル】1年間で50店近くも新規オープン!人工肉を扱うディスカウント・スーパー?

    後藤文俊

    05月05日 09:16

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。