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「ユーロの正体」 - なぜユーロ危機が深まると、ユーロが買われるのか?

ドルやユーロに対する円安が進んでいます。25日の朝時点では、ドルは対円で85円近辺、ユーロも対円で112円とジリジリ円安になっています。

感覚的に違和感を感じるのは、ユーロの動きです。ユーロ問題は、まだ根本的な解決には程遠く、火種がくすぶっている状態。通貨に対する不安がある中、なぜユーロは買われているのか?

そんな、素朴な疑問を解決してくれる本を週末に読みました。安達誠司さんの新刊「ユーロの正体」です。

安達さんは以前「円高の正体」という本もご紹介しましたが、為替の本質をわかりやすい言葉で説明するのが得意な方です。

本書でもユーロがこれからどうなるのかについて、ロジカルに自説を展開しています。その中から、重要だと思われるメッセージをピックアップしておきます。

■ ユーロ危機の決定的な打撃となったのは、必要だった金融政策がとられなかったこと

■ ユーロ危機の最大のリスクは、その行き着く先が、アジアなどの新興経済圏の高度成長を終焉に向かわせる可能性を秘めていること

■ 日本でもアメリカでもスペインでも、金融引き締めによってバブルが崩壊した

■ 今後1~2年でユーロ圏の財政危機、金融危機はドイツ、フランスなどの中心国を巻き込む「欧州全体の経済悪化」という形で、深刻さの度合いを増す

■ 日本でもアメリカでも、デフレ傾向の時に同時に通貨高が起こっている

■ デフレと自国通貨高は、結局バブル崩壊後の、その国の「急激な信用収縮」によってもたらされる

つまり、今後ECB(欧州中央銀行)が大規模な金融緩和政策に打って出ない場合、ユーロは「デフレ」と「ユーロ高」の2重苦に直面する、という見方です。

また、ユーロの問題はスペインの銀行の中南米向け投融資が一気に引き上げられ、ラテンアメリカの経済、金融にインパクトを与える可能性があるとも指摘しています。これは、中南米だけではなく、アジアの新興国にも影響するリスクがあると指摘しています。

日本でも財政問題に注目が集まり、「日本がギリシャ化する」という危機感が広がっていますが、安達さんはむしろ「ユーロが日本化する」リスクに警鐘を鳴らしています。このままECBの金融政策が続けば、ユーロ圏諸国は1990年代の日本と似たような道をたどるというのです。

ちなみに、208ページから投資家が手持ちのユーロをどうすべきかについて、安達さんの丁寧な解説もされています。これからの為替の動き、特にユーロに関心のある方には、一読をお勧めします。

<参考図書>
「ユーロの正体」 安達誠司

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