
殺されると怯えながらの告発
「私は明日殺されるかもしれない。」
そう涙ながらに、マリエさんが18歳の時に、芸能界の大御所、紳助さんから性的行為を強要されたと話した。
胸が苦しくなった。
この世界にいると、そういう話をよく聞くからだ。
「#マリエさんに連帯します」というハッシュタグができていた。
真相を知っている訳じゃないし、わざわざ発信しなくてもいいか。
見てみぬふりをするのか。
この告発の重みを知っている。同じ業界にいるから。
そして、こういう問題を知っているのに何もしてこなかった贖罪もこめて、ツイートした。
正直この世界にいると、枕営業の話は聞く。セクハラやパワハラだらけで19才でみた芸能界は残念だった。自分を守るために、そういう匂いのする現場には行かなかった。この告発がなかったことにされないよう、このぐらいしかできないことが悔しいですがつぶやきます。変えなきゃ#マリエさんに連帯します
— たかまつなな/時事YouTuber (@nanatakamatsu) April 8, 2021
もうテレビに出なくなってもいい。うん。
今現役で出ている人は発言しにくいだろうし、
だったら、自分みたいなテレビを知っていて、だけど今はテレビにでなくてもいいと割り切っている人が発信するしかないじゃん。
そう思った。
ツイートしたら、すぐに毎日新聞から電話がかかってきて、迷ったが取材を受けた。
芸能界の古さに驚いていた。
だから、記事を書くことにした。
私が胸が苦しくなったもう1つの理由。
それは、私が今まで何もしなかったことだ。
共犯者なんじゃないかと。
マリエさんのインスタライブの概要
マリエさんの動画を見るとこのようにお話されていました。
・紳助さんの楽屋に挨拶をしなかった
・それで日時を指定され、その場所にいくと性的行為を強要された
・後輩芸人である出川哲朗さんややるせなすさんたちもその場にいて、
した方がいいといった
・マリエさんが事務所に紳助さんと仕事をしたくないと相談
・この業界から干されると言われたが
「それでいい。好きじゃない人とセックスしたくない」と断る
・マネージャーと紳助さんと仲のいい制作会社に謝罪しにいった
・当時たすけてくれたのは、いいともメンバー。
タモリさん爆笑問題さん。
・ヘキサゴンメンバーほかはどうかわからない。
・出川さん、やるせなすさんがでる番組やCMもみたくない。
日本のバラエティがだから嫌い。
・「体を売れば自分の夢が叶うかもしれない」という瞬間は沢山あるかもしれない。今でも枕営業を強要されて仕方なく応じている子がいると思うから救いたい。
自分がその場にいたら、何ができたか
マリエさんの主張が正しかったとすると恐ろしい。ここで話していた後輩芸人の人たちが今、ネットで批判されている。
本当だとしたら、庇う余地がない。しかし、自分がその後輩芸人だった、どうした?その場にいたらどうした?
マリエさんを救うことができたのか?
多分、情けないけど、できなかったと思う。
だからといって、その場にいた人たちが許されるべきではない。
だけど、私も多分、何もできなかった。
声をあげられなかった過去
今まで見てきたセクハラの現場に声をあげきれなかった。
高校生のときに出番前、舞台袖で、お尻をずっとさわられ続けたことがある。怖かったから顔をみれなかった。ライブの楽屋で、女芸人の先輩が胸をガッツリ揉まれていたのを見たことがある。何も言えなかった。大学生の時に、打ち上げのカラオケで、同期の女の子が胸をもまれていて、「たかまつは、小さいから嫌なんだよー」と言われ、何もできなかった。
おかしい時に声をあげきれなかった。
女芸人の先輩が、後輩の男芸人に性的強要を迫ったという話だって聞いたことがある。それだけじゃなくて、テレビ局のえらい人や芸能事務所のえらい人、番組の大御所司会者など。
知り合いが、枕営業にまきこまれているのではないかと噂できいたときも、何もしなかった。目の前でパワハラがされていても、苦笑いして、むしろ加担したこともある。
だから、私に皆さんを批判する資格なんてないとおもう。
そういう風になりそうな現場をいち早く察知して、自分の身を守る。見てみぬふりをする。そんな能力だけ高くなっていった。
「処女芸人」「脇毛、すね毛をそらない」。事実だった。
それを私はおもしろおかしく話すことで、自己防衛にも使った。
「私はそういうことしない女ですよ」「私は遊びにくいですよ」「色気ないですよ」と。
今となっては、それが面白いとは思わないけど、自己防衛の手段の1つだったのは覚えている。
人脈を広げないといけない、顔を覚えてもらわないといけない。だから飲み会とかも大事だから、そのバランスが本当に難しかった。
私の友達が女優になりたいといい、相談された時、私はその子のことが心配で、芸能界のそういう嫌なところを話して、その子を泣かせてしまったことがある。
あとで嫌な思いをするよりいいだろうと思ったけど、一緒にかえていくために、何かできることなかったのかなぁと今では反省している。
私は気が強いし、言うべきことにものを言えるタイプの人間だ。でも、目の当たりにしたときに無力だったことの方が多い。