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「中国はコロナの発祥地ではない」WHOの報告書すら歪める習近平政権の横暴さ

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2019年秋から感染が広がっていた可能性がある

WHO(世界保健機関)が3月30日、新型コロナウイルスの起源に関する報告書を発表した。今年1月14日から2月9日にかけ、中国・湖北省武漢(ウーハン)市で実施されたWHOの現地調査に基づいた報告である。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長=2021年2月12日、スイス・ジュネーブ - 写真=AFP/時事通信フォト

報告書で興味深いのは、最初に感染者が確認された2019年12月の数週間前からウイルスが広がっていた可能性を指摘している点だ。現地調査のリーダー役だった感染症専門家のピーター・ベンエンバレク氏は記者会見で「今後の研究の焦点として引き続き武漢に注目している」と答え、最初の感染確認前からウイルスが広まっていたことを確認するため、中国当局に対し、2019年9月までさかのぼった検体に対する抗体調査を求めたことを明らかにした。

報告書さらに専門家の間で指摘される、ウイルスがコウモリから別の動物(中間宿主)を介してヒトへと感染した感染ルートについては「可能性が高いか、あるいは非常に高い」と記載している。調査によって中間宿主は特定できなかったが、報告書はウサギやミンク、センザンコウが介在した可能性を示唆した。

新華社通信は「ウイルス中国起源説」を消そうと躍起

問題は、この報告書がWHOと中国のそれぞれ17人の専門家が共同で執筆したところにある。国際組織WHOの報告書にもかかわらず、ウイルスを発生させて世界中に拡散させ、パンデミック(地球規模の流行)を引き起こした責任が指摘されている中国が執筆に深く関与する。このことが大きな問題なのである。これまでになかった事態だ。世界の人々の健康と命を預かるWHOの存在意義が問われる。

そして案の定、中国の新華社通信などは、WHOの報告書が「武漢ウイルス研究所からのウイルスの流出は極めて考えにくい」と否定的な見解を示していることを報じた。この研究所からのウイルス流出説は、アメリカのトランプ前政権が強く主張していた。

中国が繰り返し主張している「輸入された冷凍食品にウイルスが付着し、そのウイルスで中国国内で感染が起きた」とのウイルス海外流入説に対しては、報告書は「可能性がある」との見方を示したが、これについても新華社通信は速報した。

さすが中国の官製メディアである。中国政府の主張に合うところを力説し、「ウイルス中国起源説」を消そうと躍起になっている。習近平国家主席の指示があったのか、あるいは忖度したのかは定かではないが、軍事力と経済力をバックに自国の主張を前面に打ち出して他国に詰め寄る、中国共産党の歪んだ姿勢が貫かれていることは間違いない。

テドロス事務局長「まだ新型コロナの発生源は特定されていない」

日本や欧米、韓国など14カ国は、WHOの報告書に対し「懸念を表明する。調査が大幅に遅らされ、元のデータや検体の入手を欠いた」との共同声明を発表した。

繰り返すが、報告書はかなり早い段階からウイルスが武漢市内で広まっていた可能性を重視し、中国が発生源となった可能性も排除はしていない。

WHOのテドロス・アダノム事務局長も「中国がウイルスの発祥地」との見方を捨ててはいないようだ。テドロス氏は報告書が公表された30日、加盟国・地域向けの説明会を開き、調査団が「中国当局から生データの入手できず、かなり苦労した」と話した後、報告書が武漢ウイルス研究所からの流出は「極めて考えにくい」としたことに触れ、「さらなる調査が必要だ」と語った。

説明会の中でテドロス氏は「確実な結論を得るにはより多くのデータや調査、研究が必要だ。今回の報告書は初めの一歩に過ぎず、これで終わりではない。まだ新型コロナの発生源は特定されていない」とも述べ、今後、調査団を再び派遣する用意があることを明らかにした。

世界保健機構の本部※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mseidelch

中国の後押しで事務局長に選ばれている人物

テドロス氏の発言はもっともらしいが、まともに受け取ることはできない。なぜなら2月16日付の記事<WHOの「中国・武漢コロナ調査」はまったく信用できない>でも触れたように、彼は新型コロナの発生当初、中国寄りの発言や行動を繰り返し、日本やアメリカなどから厳しく批判されていたからだ。

テドロス氏は中国と親密な関係にあるアフリカ・エチオピアの出身で、中国の後押しで事務局長に選ばれている。習近平国家主席にも直接面会できるほど、信頼されている。

中国と対立する欧米や日本にとって「テドロス氏は要注意人物だ」といっても過言ではない。

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