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総選挙結果と新執行部の課題

(1)

総選挙の結果、再び自民党・公明党の政権が復活することになった。民主党の歴史的敗北により、日本は「新復古主義」(戦争経験を根拠とする抑制の意志薄弱な好戦主義=注1)路線が勢いづき、改憲志向が具体的に進められる局面に入った。その一点においても民主党の責任はあまりにも重い。「自公」は「維新」「みんな」を巻き込み、13年参議院選挙で勝利する目的を達成するまでは慎重に、しかしメディアを利用しつつ、改憲要件(憲法96条=注2)の緩和へと進むだろう。

注1〈「彼らの精神は実際の戦場で生死を賭けさせられたつらさを知らないだけに、経験を欠いた戦争意識の塊が全社会に瀰漫することになる。経験を欠いた欲望は無闇に昂進する。戦闘経験を持たない者の戦闘意欲は、実態の過酷さという抑制の根拠を内部に持たないために、徒にひたすら燃え上がるばかりである」。藤田省三『全体主義の時代経験』〉

注2〈第九十六条この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。〉

(2)

自民党は大敗した09年総選挙に比べても、比例区で219万票減の1662万票、小選挙区で166万票減の2564万票という得票だった。全有権者に占める得票率=絶対得票率は15・9%(09年は18・10%)にすぎない。ところが獲得議席は、比例区57(前回55)、小選挙区237(前回119)と合計で294議席を占めた。小選挙区では43%の得票で79%の議席を獲得したのだ。田中角栄内閣で小選挙区制が導入されようとしたとき「4割の得票で8割の議席」と問題が指摘されたが、その通りの結果となった。

一方、政権与党であった民主党は09年に比べて、比例区で2021万票!減の963万票(30議席)、小選挙区で1987万票!減の1359万票(27議席)という結果だった。ちなみに10年参議院選挙の比例区得票1845万票と比べても882万票も少ない。自民党は255万票増えている。単純に計算してもこのままでは来夏の参院選挙でも民主党には厳しい結果が出ることになる。総選挙結果を13年参議院選挙に当てはめれば、民主党は「1人区」で全敗、合計でも17議席と改選数は半減する。「自公」は参議院でも過半数を占めることになる。歴史的にいえば民主党の消長というレベルではなく、憲法改正をはじめとして戦後民主主義の価値が根底から覆る可能性が現実のものとなる条件が生まれる。

(3)

私は選挙期間中、北海道6区(佐々木隆博)、東京11区(太田順子)、神奈川3区(勝又恒一郎)、和歌山2区(坂口親宏)徳島2区(高井美穂)、福岡8区(山本剛正)の各候補を応援した。とくに私が09年総選挙で立候補した東京11区には3回応援に入った。すべての候補者は誰もがどこでも真剣に訴えていた。投票日が近づくにつれ、街頭での反応はどんどんよくなっていた。民主党離れがあるとはいえ、固い支持者が「孤立無援」に見える候補者を身振りで支援してくれたのだろう。私が経験した10年参院選に比べてもチラシを面前で破られたり、捨てゼリフで罵倒されることもなかった。だがそれは底を打った支援者と候補者との関係だったのかもしれない。

ある駅頭では朝6時半から8時過ぎまでチラシを配った。政権交代選挙では約2000枚のチラシが有権者に受け取られたが、今回は約400枚と5分の1である。ここに選挙戦の実体が象徴的に表現されていた。高井美穂さんが最終盤の個人演説会で涙を流しながら「悔しい」と訴えていたのは、子育て支援など政権交代の果実が道半ばにして挫折することへの痛恨の思いである。会場の男も女も涙を流していたのは、単なる感傷ではない。すべてが民主党の責任であるとはいえ、多くの候補者や支援者の政権交代への期待が失われたわけではない。

(4)

自民党本部の各階には「参議院任期満了まであと○○○日」という紙が貼られている。7月28日が「その日」である。東京ではその日の前に都議選がある。自民党は改憲勢力を参議院でも3分の2の勢力に増やしたい。しかし安倍自民党にとって参院選は「鬼門」として苦い記憶がある。2007年の選挙では改選64議席が27議席減の37議席と大敗した。衆院選挙はそもそも来夏の参議院選挙と連動していた。日本の「国のかたち」が争われる「最終決戦」が迫っている。「脱皮できない蛇は滅びる」(フリードリッヒ・ニーチェ)。衆議院57議席、参議院88議席の合計145議席の民主党は「解党的出直し」をしなければならない。一部幹部が強がりで語る「純化路線」=排除の論理が強行されるならば、党の存立はさらに危ういものになる。

消費増税をふくめ公約にない政策を進めてきたことに対する国民の批判は強い。なぜ選挙で壊滅的敗北を経験したのか。その根源的責任を掘り下げる新執行部でなければ「脱皮」などできない。有識者の意見を聞きつつ、「党再建委員会」を設置して、外部に開かれた選挙総括を各県連レベルから積み上げることだ。

同時に都議選、参院選に向けて衆院選挙候補者の再吟味をふくめた公認を急ぎ、地域から地道な活動を進めていくことである。「所謂(いわゆる)時来れりと称するものは、多くは真の時機に遅れたる時なり」(福沢諭吉)。「真の時機」をしっかりと掴まなければならない。私は自分の立ち位置を再確認し、これまでどおり「独航の精神」で志を同じくする仲間とともに行動する。

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