マーク・イーストン、カラム・メイ(BBCニュース)

香港の反政府デモ(2019年11月2日)
中国政府が昨年、香港での反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」(国安法)を施行したのを受け、イギリス政府は香港市民に英市民権を獲得できる道を開く特別ビザの申請を受け付けている。ロバート・ジェンリック住宅・地域社会・自治相は、この新たなビザ制度で英国へ移住する人が住宅や学校、仕事にアクセスできるよう支援する方針だと、BBCに明かした。
この特別ビザ制度は、かつてイギリス領だった香港に国安法が導入された後に設けられたもの。これまでに約2万7000件の申請があった。
特別ビザは、1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持てるイギリス海外市民(BNO)パスポートの保持者約290万人と、その扶養家族230万人が対象。
BNOパスポートは本来は渡航許可証で、イギリスへの渡航についても、6カ月のビザ(査証)なし渡航しか認められていない。保持者に自動的に就業や居住を認めるものでもなく、社会保障の対象にもならない。
しかし、今回の特別ビザ制度では、対象者はイギリスに5年間滞在でき、就業・就学も可能となる。5年後の時点で永住権の申請ができるようになり、さらにもう1年滞在することで、市民権を得る資格が与えられるという。
イギリスのジェンリック住宅相はBBCに対し、移住希望者に「必要な」支援を提供したいと語った。
「人々が苦しんでいるのなら、我々がサポートする」
そして、「地方自治体がそうした人たちに住宅を提供し、社会保障制度が後ろ盾になる。誰1人として困難な状況に陥ることがないよう、国ができるあらゆる支援を提供する」と付け加えた。
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中国が香港のデモ参加者の処罰を容易にし、香港の自治権を損なうことのできる国安法を可決したことを受け、イギリスはBNO保持者を対象とする特別ビザ制度を導入した。
イギリスは国安法が香港の自由と権利を侵害していると主張している。