記事

小選挙区選挙は廃止しかない(その3:小選挙区選挙は政権選択選挙にも適しているとは言い難く違憲だ!)

2/2

2.民意は多党状態で、一党優位状態でも二大政党状態でもない!


(1)小選挙区選挙中心の選挙制度によると、一党優位制あるいは二大政党制が誕生するが、民意は、1994年の並立制導入から18年が経過し、6回の総選挙を経たものの、一党優位状態でも二大政党状態でもなく、多党状態である。

例えば、NHKの世論調査の政党支持率についての調査結果によると、
今年(2012年)では、27%を超えた政党はひとつもない。
自民党と民主党の支持率の合計も、総選挙が施行された12月の事前の調査で40%を超えたものの、それまでは40%を下回っている。

http://www.nhk.or.jp/bunken/yoron/political/index.html

(2)この度の総選挙における比例代表選挙における得票率を見ても、第一党の自民党でさえ27.6%にとどまり、第二党の日本維新の会は20.4%であり、両党の得票率を合計しても、50%に達しない48%程度である。

小選挙区選挙は廃止しかない(その2:民意の歪曲・・・比例代表制なら自民党294議席は132議席程度)

(3)また、今回、自民党は「圧勝」したが、この「圧勝」は、国民の支持を回復した結果ではない。
「圧勝」した今回の比例代表選挙における得票数は約1662万票強であるが、敗北した先回(2009年)のそれは約1881万票だった。
つまり、自民党は、先回に比べ今回得票を約219万票も減らしているのに、小選挙区選挙のおかげで「圧勝」したのである。

また、民主党は先回のそれが約2984万票強であったのに今回のそれは約962万票強で、約2022万票減らしている。

先回の自民党、民主党の比例代表選挙の得票数を合計すると、約4865万票であったが、今回の自民党、民主党の他に、比例代表選挙で第二党に躍り出た日本維新の会の得票数約1226万票強を加えても、約3851万票にしかならない。
つまり、今回の三大政党の得票数は先回の二大政党の得票率よりも1014万円少ないのである。

(4)これでは、「民意は一党優位化している」とも「民意は二大政党化している」とも、到底言えそうにない。

実際の民意は多党化しているのである。

(5)それなのに、民意を歪曲する小選挙区選挙によって人工的に一党優位制あるいは二大政党制をつくりだすことは、あまりにも不自然であり、異常であるとしか言い様がない。

これを民主主義が許容しているとは到底考えられないし、これは、民意とは逆の政治・政策が強行されてしまう所以であろう。

(6)先の国会では、前述したように、民主党、公明党、自民党による「事実上の大連立」が生まれていた。

二大政党が対峙しあわず、「談合」しているのであれば、人工的に二大政党制を作り出す必要はどこにもない。

(7)したがって、民意の正確・公正な反映を犠牲にしてまで、小選挙区選挙を採用している大義は存在しないのである。


3.衆議院の小選挙区選挙と参議院の選挙区選挙は違憲である!


(1)先の国会では、問題のある衆議院の選挙制度を固定化・先鋭化する昨動画強行され、かつ、意見の状態でこの度の総選挙が施行されたことは、すでにこのブログで投稿した。

「事実上の大連立」による、衆参の非民主的選挙制度の固定化・先鋭化の策動

民自公談合による衆議院解と違憲状態の小選挙区選挙での総選挙

(2)総選挙直後、投票価値の不平等については、一斉に訴訟が提起された。
(2012年12月17日21時56分 読売新聞)
「1票の格差」違憲状態で衆院選無効…一斉提訴

 最高裁が「違憲状態」とした選挙区割りのまま行われた今回の衆院選は違憲だとして、二つの弁護士グループが17日、27選挙区の選挙無効(やり直し)を求めて全国の8高裁・6支部に一斉提訴した。

 前回衆院選を巡る訴訟では高裁で「違憲」や「違憲状態」の判決が相次いでおり、早ければ来春にも出そろう各高裁の判断が注目される。

 格差が最大2・30倍だった前回衆院選について、最高裁は昨年3月、小選挙区の定数を各都道府県にまず1議席ずつ配分して、残りを人口比で割り振る「1人別枠方式」が格差を生む原因だと指摘し、同方式の廃止を求めた。

 これを受け、同方式の廃止と格差を是正する「0増5減」を盛り込んだ選挙制度改革法が、衆院解散した11月16日に成立した。しかし、区割りを見直す時間はなく、衆院選は違憲状態のまま行われ、最大格差も2・43倍に拡大していた。
(3)憲法は普通選挙を採用している(第15条第1項・第3項)。

普通選挙は制限選挙を否定しているので、”一人一票原則”を採用することになる。

そうすると、憲法は、当然“投票価値の平等”を要請してることになる。

言い換えれば、普通選挙では当然“投票価値の平等”が保障されなければならないのである。

(4)したがって、まず、投票する前に、投票価値の平等が保障されなければならない。
つまり、選挙区を複数設ける場合には、「有権者数」に基づき“一票の価値”は限りなく平等でなければならない。

だが、投票前だけ平等であっても、投票時(後)にも平等でなければ、本当に平等の選挙が行われたことにはならない。
それゆえ、「投票者数」に基づき“一票の価値”は限りなく平等でなければならない。

憲法はこの2つの平等を要請していると解され、国会は、この要請に応える選挙制度を採用するよう義務付けられている。

(5)この2つの平等を考えるとしても、国会議員の定数は整数なので、複数の選挙区を儲ける場合、各社が生じてしまう。

しかし、格差2倍以上は例外なく違憲である。
とはいえ、「格差2倍以内は当然合憲」というわけではない。
「より平等を保障する選挙制度が社会科学的に考えられるのであればそれを採用しなければ違憲」であると解すべきである!

(6)全国一区の大選挙区制(かつての全国区)は、先の2つの平等の要請に答えるものである。

選挙区を複数設ける場合には、事前に各選挙区の「定数」があると、投票前の平等は保証できたとしても、投票時(後)の平等が必ず保障されるあけではない。
例えば、投票前にほとんど格差がなくても、投票率90%の選挙区と投票率45%の投票率の選挙区とでは、各差が2倍になってしまうからだ。

したがって、複数の選挙区を設ける場合には、各選挙区の議員「定数」は投票後に決定される選挙制度を採用しなければならない。

それゆえ、事前に選挙区を画定し、各選挙区の定数を1と固定する小選挙区選挙は違憲である。

参議院の選挙区選挙も事前に選挙区を画定し各選挙区の定数を定めているから違憲である。

(7)憲法は、衆議院と参議院の二院制を採用しているが、いずれも戦前と異なり、民選によることを要請している(第42条・第43条)。

したがって、二院制・参議院の存在意義を喪失させるような選挙制度は憲法が許容してはいないと解される。

より具体的に言えば、法律案は衆議院で「3分の2以上」で再可決すれば法律として成立するのであるから、得票数(率)が全体の「3分の2未満」の政党・政治団体などが議席数で「3分の2以上」を獲得させるような選挙制度は、二院制を採用している憲法が許容していないと解されるのである。

それゆえ、過去の総選挙の結果を見ると(今回もそうなりそうだ)、得票数(率)が全体の「3分の2未満」の政党等に、議席数で「3分の2以上」を獲得させている。
その最大の理由は、小選挙区選挙で第一党に過剰代表という特権を与えてしまっているからである。

それゆえ、小選挙区選挙は違憲である。

(8)また、衆参の逆転(ねじれ)現象は有権者・投票者が許容した場合のみ許容され、有権者・投票者が許容しない場合には衆参の逆転(ねじれ)現象は許容されないと言えよう。

しかし、2010年の参議院通常選挙では、すでに指摘したように、逆転現象を生み出しているが、これは、参議院の選挙区選挙が1人区・2人区が多くて非民主的であるからだ。
したがって、参議院の選挙区選挙も違憲である。

(9)議会制民主主義は民意の正確・公正な議会への反映を要請している。

そもそも民主主義とは本来直接民主主義のことである。
とはいえ、主権者(日本では約1億人)がどこか一箇所に集まり、議論し、結論を出すことは、事実上不可能であるから、直接民主主義は基本的に採用できない。
それゆえ、やむを得ず代議制・議会制を採用することになる。

代議制・議会制を限りなく(直接)民主主義に近づけて初めて、議会制民主主義にすることができる。
普通選挙を採用しただけでは不十分であり、“主権者国民(有権者・投票者)の縮図”を国会(各院)に形成しなければならない(他の条件も必要だがここでは省略)。

これは社会学的代表と言われ、憲法が要請している(第43条)。

したがって、この要請に答えない小選挙区選挙は、違憲である。

参議院の選挙区選挙も同様に違憲である。


4.裁判所は違憲・無効判決を下すべきだ!


(1)衆議院の小選挙区選挙も参議院の選挙区選挙も以上の理由で違憲であるから、国会は、即刻いずれも廃止すべきである。

ところが、国会は、憲法の要請に応えず、憲法違反の選挙制度を維持してきた。

(2)それゆえ、裁判所は、衆議院の小選挙区選挙も参議院の選挙区選挙も違憲である、と判示するしかないだろう。

(3)そして、裁判所は、衆議院の小選挙区選挙による選挙も、参議院の選挙区選挙による選挙も、無効であるとの判決を下すべきである。

この無効判決は、判決日以降無効とし、遡及させなければ、大きな混乱は生じないだろう。

また、衆議院も参議院もそれぞれ比例代表選出議員がいるのだから、それらの議員で衆参の選挙制度を憲法の要請に応えるものに抜本改正すれば良い。

(4)そして、衆議院は、抜本改正された選挙制度ですぐに総選挙すべきである。

(つづく)

あわせて読みたい

「小選挙区選挙は廃止しかない」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。