記事

小選挙区選挙は廃止しかない(その3:小選挙区選挙は政権選択選挙にも適しているとは言い難く違憲だ!)

1/2

はじめに


(1)今月16日の衆議院総選挙の結果について、先日から小選挙区選挙の問題点を指摘し、小選挙区選挙を廃止することを求める連続投稿を始めた。

「その1」では、民意を切り捨てる「死票」が56%にも達すること、そのため、投票率が60%に達しなかったことを指摘した。

小選挙区選挙は廃止しかない(その1:民意切り捨て・・・56%の死票)

「その2」では、小選挙区選挙の問題点の第三として小選挙区選挙が民意を正確・公正に反映しないだけではなく、歪曲していることを指摘した。

小選挙区選挙は廃止しかない(その2:民意の歪曲・・・比例代表制なら自民党294議席は132議席程度)

(2)以上で指摘した問題点や私の書いた見解に対しては、小選挙区選挙が政策選挙、政権選択選挙になるから私の指摘した問題点はやむを得ないから私見は妥当ではないとの反論が予想されるので、以下では、小選挙区選挙が政策選挙、政権選択選挙にも適しているとは言い難いことを指摘したい。

また、民意が一党優位状態、二大政党状態にないから、小選挙区選挙を採用する大義が存在しないことを指摘したい。

そして、そもそも小選挙区制が憲法の要請に応えていないどころか、違憲であることを指摘したい。


1.小選挙区選挙が政策選挙、政権選択選挙になるとは言い難い・・・民意とは反対の政権を誕生させる可能性あり!


(1)この度の総選挙も、小選挙区選挙中心の選挙制度で施行されたわけであるが、政策選挙になったのだろうか?
以下の東京新聞の記事を見ると、政策選挙になっていないことがわかる。
東京新聞 2012年12月17日 朝刊
脱原発 世論6割、当選3割 3大争点すべてズレ

 衆院選では、原発政策とともに大きな争点だった消費税増税や憲法九条でも民意と選挙結果に隔たりのある結果となった。本紙が公示直前に行った世論調査と、東京都の二十五選挙区に立候補した百三十四人を対象に行ったアンケートを比較するとその差は歴然としている。

 原発では、世論の約六割が原発ゼロを訴えていたが、東京の二十五選挙区でも自民党候補が続々と勝利。当選した自民党の中にはアンケートで「原発ゼロ」と答えた候補もいたが、二十五人の中で脱原発を求める当選者は28%にとどまった
 消費税増税について世論調査では反対が55・6%で、半数を超えていた。

 消費税増税は民主党と自民、公明両党の三党の枠組みで決めた。マニフェストで約束していなかったのに増税を決めた民主党は、世論の批判をまともに受けて惨敗。しかし、その代わり自民党が小選挙区で躍進し、公明党も議席を獲得したため、結局、増税勢力が多数を占めた

 憲法九条は、世論調査では改憲反対と賛成が拮抗(きっこう)していたが、選挙結果では改憲し「国防軍」を明記すると主張した自民党が勝利。維新も含めた「改憲勢力」で三分の二を占めた全国的な傾向と同様の結果となった。

[画像をブログで見る]

(2)総選挙前の民主党政権の下では、しばしば衆議院と参議院の多数派が異なる逆転現象(ねじれ現象)が指摘されたが、それよりも、もっと重大だったのは、国民の多数派の意思と国会の多数派の意思の逆転現象(ねじれ現象)だった。

先の国会では、民主党、自民党、公明党による「事実上の連立政権」が誕生していた。

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その1(はじめに)

まず、原発問題について言えば、民自公はいまだに原発推進または原発肯定であるが、国民の多数は脱原発の立場であった。
すでに紹介したように、朝日新聞社が今年5月に実施した世論調査によると、原発に対する政府の安全対策を「信頼している」は「大いに」「ある程度」を合わせて21%にとどまり、「信頼していない」が「あまり」「まったく」を合わせて78%。
大飯原発の運転再開については、反対が54%で、賛成の29%を上回っていた。
野田政権が新しいエネルギー政策を決めるための「国民的議論」としてきた討論型世論調査、意見聴取会、パブリックコメント(意見公募)の結果が8月22日出そろい、2030年の電力に占める原発割合について、すべての調査で「原発ゼロ」の支持が最も多かった。

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その2(原発問題)

次に、消費税増税について。
これも同様。
例えば、共同通信社が今年8月11、12日実施した世論調査によると、消費税増税法成立に基づく税率引き上げに反対と回答したのは56・1%で、賛成の42・2%を上回りました。大手全国新聞が消費増税を推進する紙面づくり、社説を掲げましたが、それでも消費増税反対は過半数を維持していた。

財界政治・対米従属政治、「事実上の大連立」、民自二大政党制の崩壊その7(消費税増税問題)

最後に、オスプレイの配備について。
これも、民自公はこれに反対せず、国民の多数は反対。
例えば、時事通信社が今年8月中旬に実施した世論調査によると、オスプレイの米軍普天間飛行場への配備をめぐり、「安全性が確認できれば沖縄配備を認めるとする政府方針」について聞くと、「支持しない」が57・8%で、「支持する」は32・5%にとどまっていた。 
時事通信 (2012/08/19-14:22)
尖閣国有化、7割超賛成=オスプレイ不支持58%-時事世論調査

 (略)
 調査は、中国領有権を主張する香港の活動家が尖閣諸島に上陸する前の9~12日、全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施した。有効回収率は63.5%。
(略)。
 一方、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備をめぐり、「安全性が確認できれば沖縄配備を認めるとする政府方針」について聞くと、「支持しない」が57.8%で、「支持する」は32.5%にとどまった。
(3)小選挙区選挙中心の選挙制度では、民意を正確に反映しないどころか、歪曲すると指摘したが、さらに、国民の多数派とは逆の政治が強行されているのである。
これは、政策選挙が実現していない結果でもある。

(4)また、これは政権選択選挙になっていない証でもある。

さらにわかりやすい例を紹介しよう。

それは、イギリスの過去の例である。
1951年の選挙で、保守党は約1372万票で321議席を獲得したが、労働党は、それよりも多い約1395万票でありながら、議席数はそれよりも少ない295議席だった。
1974年の選挙では、労働党は1164万票で301議席を獲得したが、保守党はそれよりも多い1187万票でありながら、議席数はそれよりも少ない297議席だった。

つまり、得票数第一の政党が獲得議席数第一の政党にならず、得票数第二の政党が獲得議席数第一の政党になっているのである。

これは、国民(投票者)が政権交代を求める投票をしたのに政権交代が起こらないこと、あるいは逆に、政権交代を求めない投票をしたのに政権交代が起こってしまうことを意味する。

これでは、政権選択選挙とは言えない。

(5)実は、半数改選される参議院通常選挙における選挙区選挙では、「事実上の1人区」と「事実上の2人区」が多い。

選挙区選挙の「事実上の定数」73の内訳は、定数1が29選挙区(29名選出)、定数2が12選挙区(24名選出)、定数3は5選挙区(15名選出)、定数5が1選挙区(5名選出)。
事実上の1人区・2人区で73名のうち53名(約73%)が選出される。

2010年の参議院通常選挙で、自民党が民主党よりも多くの当選者を出した。
比例代表を含め議席占有率は民主党が約36%で、自民党は約約42%だった。
しかし、選挙区の得票率も、比例代表得票率も、自民党よりも民主党の方が多く、自民党は約33%、約24%だったのに対し、民主党は約39%、約31%だった。

やはり民意を歪曲する選挙区選挙は廃止するしかない!

(6)今、自民党と公明党で連立政権が組まれようとしている。

しかし、今回の総選挙がもし比例代表選挙だけで施行されていたら、総定数480議席のうち、自民党は132議席程度で、公明党は56議席程度であったと試算されることを紹介したが、両党だけでは188議席程度になる。
これでは、過半数にならない。

そうすると、自民党と公明党は、他党を加えて連立政権を誕生させることになる。

あるいは、自民党と公明党を除き、他の複数の政党により連立政権が誕生するかもしれないのである。

このことは、過去の総選挙でも同様のことが言える。

言い換えれば、中選挙で施行された1993年総選挙で政権交代が起きたが、その翌年村山内閣で自民党が政権復帰して以降2009年の政権交代まで政権交代が起きなかったのは1994年に小選挙区選挙中心の選挙制度を採用してきたからであったという可能性があるのだ。

小選挙区選挙は廃止しかない(その2:民意の歪曲・・・比例代表制なら自民党294議席は132議席程度)


あわせて読みたい

「小選挙区選挙は廃止しかない」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    架空情報を使いワクチン接種予約した朝日新聞出版&毎日新聞 岸防衛大臣の抗議は筋違い

    諌山裕

    05月18日 14:25

  2. 2

    早くもウーブン・シティ開発に着手 にわかに信じがたい豊田章男氏の経営スピード

    片山 修

    05月18日 08:11

  3. 3

    マリエさんの枕営業告発が一瞬で話題から消えた2つの理由

    PRESIDENT Online

    05月18日 16:25

  4. 4

    「ワクチン大混乱」を招いたのは誰? 河野太郎の“突破力とスタンドプレー”に現場は困惑 - 辰濃 哲郎

    文春オンライン

    05月18日 10:23

  5. 5

    コロナ禍で取り残される「好きなこと」が無い人 誰かを責める前に行動せよ

    かさこ

    05月18日 09:02

  6. 6

    『週刊さんまとマツコ』はなぜそっちへ行った?残念な理由

    メディアゴン

    05月18日 08:21

  7. 7

    アドバイザリーボード・分科会と感染研は信頼に足るのか?

    青山まさゆき

    05月18日 08:20

  8. 8

    「オリンピックは中止すべき」の調査結果は正しくない〜統計はウソをつく

    新井克弥

    05月17日 14:16

  9. 9

    負傷者数半減は嘘?交通事故を物損事故として扱う警察の怠慢

    紙屋高雪

    05月18日 08:42

  10. 10

    「週6で働いて手取り15万円」「23時まで残業して月16万円」 低すぎる手取りに疲弊する人々

    キャリコネニュース

    05月18日 16:08

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。