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自民党政権に願う、真に命を大事にする政策

自由人さんのポピュリストの誤算とポピュリズム政治の終わりは、興味深く、刺激的で、また賛同する記事でした。実際の社会というのは難しい対象であり、全ての人を救う政策など何処にもありません。そこには、誰かを救えば誰かが死に、誰かを幸福にすれば誰かが不幸になるという厳しい現実があります。現実社会では、あらゆるものが、なんらかのトレードオフの関係になっているという事です。と、こんな事を書いても抽象的過ぎてわかりませんよね。

まず政府の行う政策は、政府予算の範囲内でのみ実行できるという制約条件があります。貧困をなくす為には、国民全員にお金を配るベーシックインカムという政治的手段があります。以前に詳しい記事をかいたので詳細はこちらを参照頂きたいのですが、国民全員に5万円の現金を毎月配る為には、年間で72兆円(それを配る為の行政コストは含まない)もの予算が必要です。これは既に日本の一般会計予算1年分に等しい金額であり、実現はかなり困難です。そこで、必要な予算を1桁減らし、家計所得が低い家庭だけを対象とした負の所得税という政策があります。しかし、年間数兆円という予算枠を新たに設けるのも現在の日本では困難なので、結果として予算を更に絞らずるを得ず、子供手当という政策が実施されました。予算という制約条件の中で、子供のいる低所得家庭は援助され、子供のいない低所得家庭が切り捨てられたと考える事ができます。

別の例を考えてみましょう。政府は国民を病気から守る為に公衆衛生に関する政策を実施しています。数百年前は医療技術が発達しておらず、コレラ、はしか、結核などの伝染病で一時に何万、何十万人もの死者を出していました。抗生剤とワクチンが普及しはじめてからも、政府にとって伝染病は大きな脅威です。そこで病原体が抗生剤の耐性を得る機会をなるべく少なくする為に、必要性が確実でない抗生剤の処方を抑制するように医師へ指導しています。これは、未来のいつかに生じる可能性のある大きな伝染病禍の死者を救うと同時に、予防的に抗生剤を使用する事でたまたま救われたかもしれない不幸な個人の死を生み出しています。SARSや鳥インフルエンザの例を見てもわかるように、国民全員に配るほどタミフルを備蓄する事は現実的ではありません。政府が行うべきは、伝染病の死者を一人も出さない事を目的とした非現実的な政策ではなく、予算と技術的制約の中で、より多くの国民を伝染病から守り救う為の政策です。そこには、多くを守り助ける為に、あえて死者がでる事を前提とする非情な判断が要求されます。

エネルギー政策も同様です。国民が便利で幸福な生活を送るにはたくさんの電気が必要です。日本が経済的に発展する為にも多くの電気が必要です。でも、経済的に合理性のある火力発電は大気汚染を免れず、過去から現在に至るまで、みえざる被害者・死者を大量に生み出し続けています。エネルギーを供給する事と、その副作用により寿命を奪われる人を生み出す事とは、まさにトレードオフの関係にあります。その極端な例がまさに原子力発電といえます。何千年、何万年に一度という確率の地震による大津波が福島第一発電所を襲い、周辺の土地は大規模な放射能汚染が生じました。しかし、非難の影響で死んだ人はいても、放射能被ばくで死んだ人はまだいません。福島県住民の放射能汚染もおおむね管理できている状況と言えます。今現在の国民の健康を考えれば、実は旧型の多い火力発電をすぐに止めて、原子力発電を動かす方が理にかなっていると言えるのですが、トレードオフを国民に説明する政治力の無い民主党は、菅元総理が全国の原子力発電を止めたままであり、野田元総理がかろうじて大飯原発を再起動させただけです。

国民の望みに迎合するのが正しい政治ではありません。たとえ多くの国民の意思があれ、それに合理性がなく、後の世の国民を不幸にする事がわかっているのであれば、国民を教育し、説得して、正しい道を選択する事が真に国民の命を大事にする政治であろうと考えます。私個人として、自民党政権の復活を期待していた訳ではありませんが、政権を取ったからには、プロの政治家集団として、過去の自民党の誤りを反省して正し、国民を長期的な視野において大事にする政策を実現させて頂きたいと願うものです。

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