
■流通先進国のアメリカではパンデミック以降、ネットスーパーの利用頻度が急増している。
食品スーパー最大手チェーンのクローガーではコロナの影響により、5年かかると見られていたネットスーパーの進化を5週間で成し遂げた。
クローガーでは3年前からネットスーパーを拡大するためIT投資を強化していたのだが、ネットスーパーのボリュームが2週間で2倍になったときでも対応できたのだ。
全米第2位のスーパーマーケットチェーンであるアルバートソンズはコロナ後も売上の20%がネットスーパー経由になるとの見方を示している。
食品スーパーにとってネットスーパーは不可逆的な潮流となっているのだ。ではコロナ以降、どのような理由で消費者はネットスーパーを利用しているのだろうか?
8,000人近くを対象にしたパワーレビューによる調査でネットスーパー利用の理由に意外なポイントが浮き彫りとなった。
過去3ヶ月間でネットスーパーを利用した人は73%にも上った。2017年の調査では17%しかネットスーパーを利用していなかったことでいかに買い物頻度が増えたかがわかる。
コロナでネットスーパー利用を増やしたと答えた人は61%になり、パンデミックの影響がなくネットスーパーの利用頻度に変化はなしの37%や逆に減少したという2%を大きく上回った。
しかもほとんど(95%)はネットスーパーとリアル店での買い物を併用しているのだ。
ネットスーパーを利用する理由として1番に挙げられたのは「時短」だ。59%の人がネットスーパーを利用することで買い物時間の節約になるとの理由をあげたのだ。
またパーソナル・セーフティ、つまり店内での感染リスクを下げる「安全性」と答えた人も49%となっている。
「衝動買いを回避するため」を理由にあげた人たちも31%もいた。
「価格・品質の比較のしやすさ」からネットスーパーを利用したという人たちも24%いた。
商品情報のアクセス性でネットスーパー利用は22%になり、リアル店への行きにくさを理由にあげた人も20%いたのだ。
人気の注文方法で見ると、食品チェーンなどリアル店舗を展開するネットスーパーで注文する人たちは65%となった。
これはアマゾン・フレッシュなどオンライン専売のネットスーパーで注文する22%を大きく上回っている。アマゾンがリアル店舗「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh
)」の出店を急ぐ理由がここに見えてくるようだ。
インスタカートやシプツなどの注文は20%、「ブルーエプロン(Blue Apron)」や「ハローフレッシュ(Hello Fresh)」などミールキット業者での注文も15%だ。
やはりスーパーマーケットを経営している企業がネットスーパーを展開しているほうが利用者には安心なのだろう。
調査によるとネットスーパー利用者には興味深い注文行動があるという。それはレビューを参考にして買い物をするということだ。
82%の利用者は少なくとも時々はレビューを読むのだ。ネットスーパーユーザは新商品もレビューによって78%が購入する可能性があるとしている。
これは店で新商品を購入する64%の結果を大きく離しており、ネットスーパーでの商品レビューの重要性が見えてくる。
また店で新商品を見つけた時、購入の決め手はレビューや評価のアクセス性としたのは83%の人だ。つまり新商品は、ネットスーパーでもお店でもレビュー等の情報のアクセスさが極めて大切であることがわかる。
ネットスーパーを利用してもらうには食品スーパーが自分たちの店名で提供しながら、時間を節約できるようなナビゲーション性にレビューや評価等の商品情報への容易なアクセス性、さらにいえば不要な衝動購入を減らすユーザーエクスペリエンスが求められるということだ。
トップ画像:アマゾン・フレッシュ・ロングビーチ店。アマゾンが食品スーパーの出店を急ぐ理由はネットスーパーを利用してもらうためだ。調査によると、実店舗をもつネットスーパーで注文する人たちは65%。一方、店を持たないオンライン専売のネットスーパーで注文するとした人は22%。ネットスーパーの展開に実店舗は不可欠なのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。エントリー記事にあるようにネットスーパー展開では実店舗は不可欠です。またユーザーの時短・時短・時短のナビゲーションもクリティカルに重要。そして商品レビューや評価に商品比較のしやすさも。
さらにいえば衝動購入を促すように見えるユーザーエクスペリエンスはご法度だということ。ネットスーパーでは、どうしても提供側の利益に目が行きがちですが、重要なのは一人でも多くの顧客に利用してもらうこと。
ユーザーの時短とは注文時の画面が軽くてナビゲーションしやすく、タップ数や入力数をいかに圧縮できるかでしょう。ネットスーパーは利用者の手間を全く掛けずに秒速で注文できることです。一方で、商品情報・価格・比較のアクセスは超手軽にしておくと。特に新商品については参考になるレビューや評価の掲載は必須であります。
ネットスーパーの商品ページでは「この商品を買った人はこんな商品を購入しています」は控えめにしながらも決済手前で過去履歴から買い忘れ防止の工夫をするぐらいです。
ネットスーパーを利用する人は時間を節約したいということを常に念頭に入れてサービスを展開してつかーさい。