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金銭的リスクがありすぎる日本の選挙は民主主義を阻害する

借金1千万円!横粂氏フリーターに
東スポWeb 12月20日(木)12時20分配信
衆院選でたくさんの落選議員が出たことで、東京・永田町の議員会館は引っ越し作業で大忙し。新しい議員のために事務所を明け渡さないといけないのだ。“一国一城の主”ともいわれる国会議員が落城の日を迎え、地味な片付けに追われる。無所属で菅直人前首相(66)と戦った横粂勝仁氏(31)は「1000万円以上の借金を抱えています」と生活苦を訴えた。
(略)

年収が約3000万円といわれる国会議員だが、横粂氏に貯金はない。「銀行に500万、親族に400万で借金は1000万円くらい。カードローンも限度額までやっているので、それ以上かも。供託金の300万円は返ってくるので、ウグイス嬢とか選挙中の費用はそれでなんとか。結局、選挙前にお金がかかる。ビラの全戸ポスティングに100万円くらいかかるんですよ」

 弁護士資格はあるが、「片手間にできるものじゃない。だから生活は厳しいですね。ポリティカルフリーターと自称しているんです。家庭教師とか塾講師もいい。マクドナルドもありですね」とフリーター生活に突入する
(略)

今後も東京18区を地盤に政界復帰を目指すというが、借金返済のめどは立っていない。
(引用ここまで)


当選したら年収3000万。
でも地盤看板鞄を持たない者が落選したら一転1000万の借金地獄
なるほど、これでは選挙の時に「どうか私を男にしてください!!」と絶叫し、涙ながらに土下座するような日本独特のドブ板選挙になるはずです。

日本では、政治の世界とはそういう生き馬の目を抜くような壮絶な世界なのが常識、と当然のように思われてるかもしれません。
でも、選挙で落選したら横粂さんのような目に遭うなんて、私にはどう考えても間違ってるとしか思えません。
高すぎる供託金もだけれど、こんな金銭的リスクがあるなら誰もが政治に携わることなどとてもでないけど出来ないからです。

民主主義とは自分たちのことは自分たちで話し合ってやっていくことです。
これを「治者と被治者の同一性(自同性)」と言います。
高度な民主主義社会ほど治者と被治者は同一です。
しかし気軽に立候補し政治家になって政治に携われないシステムでないなら、治者となれる者は固定化していき、「治者と被治者の同一性」からかけ離れてしまいます。

昔、スウェーデンの選挙に関してこんな記事を書いたことがあります。

選挙や議員・議会のあり方について考えてみる(1)〜議員の報酬について
選挙や議員・議会のあり方について考えてみる(2)

スウェーデンでは選挙にお金はかかりません。ですから高校生や一般サラリーマンが国会議員になったりできるのです。
でも議員の質がたちまち落ちるんじゃないの?という心配はご無用、
選挙運動は日本のそれとはかなり異なります。選挙期間は討論会などが開かれますが、有権者の意識は皆高く、候補者は政策について相当有権者から突っ込まれます。いい加減な理念や政策しか語れないようでは当選にはこぎ着けません。
日本では、理念や政策が恐ろしく矛盾してたり、コロコロ変わるような某人気政治家がいますが、そういう候補者はまず当選は無理ですね。

また、日本の選挙運動みたいにウグイス嬢が「お願いします」と候補者の名前を連呼するのに金をかける、なんて無意味で馬鹿馬鹿しいことも一切ありません。
ちなみに日本ではこのやたら金がかかるウグイス嬢やビラ配りの資金には政党助成金が結構使われています。
国民は自分たちが払った年間300億近い税金でもって、ウグイス嬢のやかましい連呼を聞かされてるわけです。

選挙にこれほどまでに金がかかると、地盤看板鞄を備えた有力政治家ばかりが力を持って常連化し、彼らの息のかかった新人でないと当選できなくなってしまいます。
そして、そういう有力政治家が生涯政治家に居座るだけでなく、税制上の旨味がある世襲政治家もたくさん輩出されますから、メンツの新陳代謝は著しく阻害されることになります。
新陳代謝が阻害されるということは、治者と被治者が乖離することに拍車をかけることになると思います。

つまり、金がかかる選挙、金銭的リスクの大きい選挙というのは民主主義の深化の妨げにしかならないのです。

少し話はズレますが、原発再稼働、改憲の危機を目前にしても、どうしてそれに抗するために一致団結できないのか、という意見をよく目にします。コメント欄にもそのような意見を頂くことがあります。

しかし私は政界での有力メンバーが固定化されてるような状況では、もういくら「ガラガラポン」したって無意味、手を握れないものはこれ以上どうしたって手を握れないでしょう、もう仕方がないと思います。
むしろ、改憲反対、脱原発で団結できる素養をもった新しい人物が次々立候補し当選の可能性が見えるようなシステムになっていないことこそ、問題の本質ではないでしょうか。

例えばスウェーデンを見習い、金のかからない選挙にする、公職選挙法を大改正して選挙期間はもっと政策について自由闊達な議論が出来るようにする、小選挙区制を廃し完全比例代表にする、比例の順位にも有権者が意見を言えるようにする、などの選挙改革を行えば、政治家の新陳代謝もすすみ、より民意が反映されやすくなるでしょう。
そうすれば、改憲反対、脱原発での緩やかで大きな団結も可能になるのではないでしょうか。

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