
東京都の小池百合子都知事が2日、会見の中で「大阪株の方が(感染力が)強いと言われている」と発言し、地域差別につながるなどとして批判の声があがった。
新たな感染症の呼称については、WHOが2015年に指針を発表し、差別につながるなどマイナスの影響を及ぼす恐れがあるとして特定の地域や民族の名前を含めるべきではないとしている。
国内での新型コロナウイルスの変異株の呼称について、厚生労働省としての考え方を聞いた。
「英国株」はいいの?

問題とされた小池都知事の発言は、東京の新型コロナウイルス対策強化について記者から「まん延防止等重点措置の適用が決まった大阪と異なる特殊性があるのか」と問われた際に出たもの。専門家の話として、「(東京と大阪では)変異株の株が異なる」などと説明する中での発言だった。
「大阪株」という表現に対し会見後、SNS上では「差別につながる」「対立を煽る」などの声があがり、国会議員や地方議員が苦言を呈した投稿も少なくなかった。
新型コロナウイルスの呼称は、台湾や香港、一部の国内外政治家や海外メディアによる「武漢肺炎」という呼び方に対し、WHOや中国政府が反対するなど問題視されている。しかし最近の変異株をめぐる日本の報道では「英国型」「南アフリカ型」といった地域名を含んだ名称が使われることも少なくない。
国内では感染症の呼称に関するガイドラインなどを設けているのかを厚生労働省結核感染症課に確認すると、担当者は、「ガイドラインや指針など基準となるものは出していない」「表現の自由の観点から、報道での呼び方などについて省として指摘することはしていない」と話す。
「大阪株は感染力が強い」厚労省なら何と言う?

一方、省として報道機関からの取材などに応じる際には、「イギリスで報告されている変異株」などといったように、地名を感染症の呼称につなげない表現を使用しているとした。「大阪株」という言い方も使っていないという。
厚労省であれば今回の小池都知事会見のケースでは、「イギリスで報告されている株について、大阪や兵庫など関西地域での報告が増えてきている」、そして「その株の方が、感染力が高い可能性がある」という表現になるということだった。
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