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バロンズ:米3月雇用統計は、米株・米債相場にとってバッドニュースか

Barron’s : Blowout Jobs Report Could Be A Bad News To The U.S. Market.

バロンズ誌、今週のカバーはGAFA、FAANMGの一角を担うフェイスブックを掲げる。米国初のソーシャルネットワーク大手の利用者数は30億人近くに上り、今やむしろ企業というより国家のような対応を余儀なくされ、社内に最高裁のような機能を有し、衛星を打ち上げ、取締役を警護するために元シークレットサービスのエージェントを雇用する。ナスダック市場では単なる構成銘柄の一つでしかなく、足元では競合を下回るパフォーマンスにとどまるが、投資家が割高、且つ持続性が疑問視されるIT銘柄から他銘柄へシフトする過程で、見直される公算が大きい。

スキャンダルや規制強化、物言う投資家による変革の声などにさらされながら、フェイスブックは確実に売上を伸ばし、コロナ禍で旅行や観光を含め広告収入が落ち込んだにも関わらず、2020年は前年比21%増の860億ドルに及んだ。ウォール街は、同社の2021年の売上高をめぐり同25%増の1,078億ドル、純利益は同12%増の326億ドル(1株当たり11.31ドル)、22年には20%増を見込む。バロンズ誌がフェイスブックに強気な理由の詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米3月雇用統計インフラ計画を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

雇用のグッドニュースは、投資家のバッドニュースとなるか―Could Good News on Jobs Turn Into Bad News for Investors?

米国人労働者にとってグッドニュースが、米株相場や米債相場にとって再びバッドニュースになりうるだろうか?

米3月雇用時計は非農業部門就労者数の急増は、1980~90年代に弱い経済指標を手掛かりに米株と米債の相場が強気に傾いたテーマの逆を連想させる。当時、経済減速を示す兆候は、Fedの利下げと過剰流動性が期待されて米債と米株を押し上げていた。

現代に視点を戻すと、パウエルFRB議長は3月FOMCで、ゼロ金利政策と月1,200億ドルの資産買入を「雇用の最大化」と「物価が2%を暫くの間、ゆるやかに上回るまで」継続する方針を表明済みだ。FOMC参加者のFF金利予想・中央値でも、2023年末までのゼロ金利維持が見込まれている。

しかし市場はFedの予想に疑問を投げかけ、グッドフライデーでも取引が行われていた金利先物ではユーロダラー先物が2023年末までに25bp利上げを4回織り込んでいた。米債市場も中期債を軸に反応し、米5年債利回りは7.5bpも跳ね上がり0.975%と20年2月28日以来の高水準をつけた。その他はそれほどでもなく、米10年債利回りは4.4bp上昇の1.72%にとどまり、前週につけた1.77%には届かなかった。

米金利の急上昇は、明るい米経済見通しを反映し今年の主なテーマとなっている。Fedは2021年の実質GDP成長率見通しを6.5%とするが、民間のエコノミストは7%あるいはそれ以上を予想し、「米国の朝」と位置付けられた1984年の7.2%以来の水準となる見通しだ。このような高成長では、マイナス0.65%で推移する米10年物インフレ連動債利回りと相容れない。

米金利の上昇でドル高の展開が予想され、それはマーケットにとっては朗報といえない。アルパイン・マクロによれば、1994年のメキシコ債務危機を始め、1997~98年のアジア通貨危機やLTCM危機、さらに2013年のテーパー・タントラムでは、トルコやブラジル、インド、南アフリカなどのエマージング市場で危機が発生した。そして今、トルコ・リラが急落中だ。

Fedが超緩和政策を維持する構えである一方で、財政政策は2022年に緊縮へ向かう見通しだ。バイデン政権は2兆ドルのインフラ計画を発表しそちらに注目が移っているが、22年には新型コロナウイルス感染の支援策が終了し2兆ドルの”財政圧迫”を迎えてしまう。何より、ストラテガス・リサーチ・パートナーズによれば、投資家は法人税やキャピタルゲイン税の引き上げを懸念すべきだ。特に法人税は、今後議論の余地があるだろうが、インフラ計画に基づけば21%から28%への引き上げが提示されている。

S&P500はグッドフライデー前に過去最高値を更新したが、引き締め的な財政政策に直面しうる。ウォール街は、ワシントンからの追い風ではなく向かい風への対応を迫られよう。

――バイデン政権下で成立した追加経済対策ですが、現金給付がワンショットであるというのは織り込み済みながら、失業保険やオバマケアでの税控除対象の引き上げなど時限措置を含み、その他は割り当てられた予算が底をつけばそれで終了となります。

(作成:My Big Apple NY)


だからこそ、バイデン政権は3月31日に公表したインフラ計画を打ち出し、4月後半には育児や医療を軸とした支援策を発表し経済のテコ入れを目指すのでしょう。

なお、インフラ計画の反応はいまひとつ。ロイターとイプソスが3月31日から4月1日に行った世論調査によれば、インフラ計画を支持するとの回答は45%、反対は27%、分からないとの回答は28%でした。党派色で鮮明に分かれており、民主党員では10人に7人が支持と回答した一方で、共和党員は10人におよそ2人、無党派層での支持も10人に3人という有様です。

チャート:インフラ計画を支持する米国民は、半数以下

(作成:My Big Apple NY)


モーニング・コンサルトが3月31日に実施した世論調査でも、増税つきのインフラ再建を支持する回答は54%にとどまりました。

チャート:世論調査結果は、無党派層でも増税付きのインフラ再建支持は52%どまり

(作成:My Big Apple NY)

バイデン政権のインフラ計画、上々の船出とは言い難いようです。共和党の上院トップ、マコーネル院内総務は建前上、全面対決の姿勢を強調していますが、米国民の対応を横目でにらみ法人税増税など今後譲歩の余地を探っていくのでしょう。

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