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選挙アンケート

 選挙の最中にとても「厄介だ」と思ったものの中に報道各社等のアンケートというのがあります。「厄介だ」と言っても、アンケートそのものが厄介だということではありません。それに誠実に答え、選挙民の皆様に自分の考えていることを正しく伝えるのは候補者の責務です。


 何が厄介かというと「設問が雑」、「設問が誘導的」ということです。例えば、「憲法改正に賛成である」という設問があるとします。しかし、憲法と言っても改正すべきポイントはたくさんありますから、私は「そりゃ、改正すべき点はありますよね」と思うわけですが、日本の政治文化の中では「はい」と答えると、一般的には「憲法『9条』改正」のみが強く認識されます。それはそれで誘導的な要素があります。


 一番ひどかったのは、私の専門分野であるTPPに関して、「以下から選んでください。①関税のすべて撤廃に賛成。②関税撤廃については、幅広く例外を設けるべきである。③そもそも反対。」といった感じの質問に接した時です。①と②の間にある「限定的な例外品目を設けるべき」という選択肢がないのです。自由貿易協定の本義というのは、そもそも実質的にすべての関税及び非関税障壁を撤廃するというものであり、例外は限定的であるというものです(いつも書いていますが、GATT第24条の定義はそういうものです。)。その本義に当たる選択肢を提示せずに、アンケートをやられるというのは「そもそも勉強不足の問いである」と言わざるを得ません。


 それ以外にも、消費税増税に際しての「低所得者対策のための軽減税率導入に賛成かどうか」という問い立てがありました。私は軽減税率にはその複雑さと中立性の困難さから反対ですが、「給付付き税額控除」は検討すべきだと思います。しかし、賛成と反対で迫られて「反対」と答えると、読んだ方は「ああ、緒方は低所得者対策には反対なんだな」と思うでしょう。全然異なる印象を与えてしまうわけです。


 何が言いたいかというと、候補者は各社から相当に分量のあるアンケートを求められます。それに対応するのはそれなりに時間がかかります。疲れている時にやるわけですから、アンケートを求める側もある程度は勉強してくれないと余計な時間が取られてしまうのです。メディアの方々はペンで勝負しているのですから、「問いは明確か」、「問いが誘導的ではないか」、「問いに対する選択肢は足りているか」といった最低限のチェックをすべきです。

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