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外国人の土地所有に関する一考察

 2年前くらいに「外国人等による防衛施設の周辺における土地の取得に関する法律案」なるものを準備してみようと思い、個人的に相当に勉強したことがありました。勿論、私個人の限られたアイデアですので限界はありますが、書類を整理していたらその残骸が見つかったのでお恥ずかしながら公開しておきます。


 ポイントは「現行の国際条約上、土地の取得そのものを禁止することはできない」ということです。これまでの投資協定やWTOサービス貿易協定でその手の投資を除外していないので、禁止が出来ないのです。禁止する法律を作るのであれば、①国際条約違反となることを無視するか、②国際条約改正交渉をやるかのどちらかしかありません。私は①でもいいような気がしますが、それでは日本の国会審議に耐え得ないでしょう。そうすると、条約改正交渉をしなくてはなりません。それはそれは大変なことになります(20近くの条約を改正しなくてはならない。しかも、日本の自由化コミットメントが下がるわけですから、相手国からは対価を求められる。)。


 ということで、禁止しないんだけど精一杯の抑止効果を持たせようとしたのが以下の案です。「外国人等による土地の取得について防衛大臣が問題があると判断した時は勧告する。それでも言う事を聞かなければ、その事実を見せしめにする。そもそも届出ルールを守らない場合は罰金だ。」ということです。当時、引き続き残る検討課題という位置付けで「論点」も書き残してありましたので、その論点もくっつけておきます。どの論点もそう簡単ではないことを御理解いただけるでしょう。


 言い訳をしておきますが、この案自体がまだかなり荒いですし、論点自体も網羅的ではありません。ということで、議論のたたき台になるかどうかすら怪しい代物です。


【外国人等による防衛施設の周辺における土地の取得に関する法律案(仮称)骨子案】
第一 目的
 この法律は、外国人及び外国法人等による防衛施設の周辺における土地の取得が、我が国の安全に影響を及ぼすおそれがあることにかんがみ、外国人及び外国法人等による防衛施設の周辺における土地の取得に関し必要な事項を定めることにより、防衛上の秘密の保護及び防衛施設の安全の確保を図ることを目的とすること。


(論点1)憲法との関係で、このような財産権に関する規制については、規制の目的・手段が合理的であることが要件となる。より具体的には、①規制目的が合理的であること、②規制手段が規制目的を達成するための手段として必要性及び合理性を満たすことが必要となる。
(論点2)防衛施設の他に、原子力発電所や宇宙関連施設(ロケット打上げ施設等)の周辺における土地も対象とすべきか。


第二 監視区域の指定
 防衛大臣は、上記の目的を確保するため、対象防衛施設(自衛隊又は米軍若しくは国連軍の施設のうち我が国の防衛上重要なものをいう。以下同じ。)の周囲300m以内の区域のうち外国人及び外国法人等の土地の取得を監視する必要があると認められる一定の区域を、監視区域として指定することができるものとすること。


(論点3)対象防衛施設の範囲について、防衛大臣による政令に包括的に委ねる場合、防衛大臣に対する陳情等、過大な負担がかかることが予想され、法律において基準を策定し、対象施設をある程度絞り込むべきではないか。
(論点4)監視区域として指定することができる区域の範囲は対象防衛施設の周囲300m以内の区域とすることでよいか。
(論点5)対象防衛施設の周囲300m以内の区域を全て監視区域とするか、それとも、300m以内の区域のうち、本構想の目的達成のために特に重要な土地についてのみ、監視区域として更に絞り込むか(後者の場合、その選定基準について別途検討が必要。)。
(論点6)外国法人による土地の取得も規制の対象とすることでよいか。その場合、外国法人のほか、日本法人のうち株式の50%超を外国人又は外国法人が所有しているものも対象とすることでよいか。


第三 監視区域における外国人等による土地に関する所有権の取得の届出
1 監視区域に所在する土地について外国人又は外国法人等が当該土地に関する所有権の移転を受けることを内容とする契約(以下「外国人等土地取得契約」という。)を締結しようとする場合には、当事者は、あらかじめその氏名・住所・国籍・契約の内容等を防衛大臣に届け出なければならないものとすること。
2 1による届出をした者は、その届出をした日から○○の間、その届出に係る外国人等土地取得契約を締結してはならないものとすること。


(論点7)相続・合併等の契約以外の原因による土地の取得は、規制の対象としないことでよいか。
(論点8)所有権の取得のみを規制の対象とすることでよいか。
(論点9)武力攻撃事態等・緊急対処事態のように、我が国の安全保障上重大な事態において、一定の区域内での土地等の使用を規制することとするか。
(論点10)届出をした者は、その届出後どの程度の期間、契約を締結してはならないこととするか。


第四 防衛大臣の勧告
 防衛大臣は、第三の1の届出が次のいずれかに該当すると認められるときは、当該届出をした者に対して、契約の締結を中止すべきことを勧告することができるものとすること。
(1)防衛上の秘密の保護に支障があること。
(2)対象防衛施設の安全の確保に支障があること。

(論点11)防衛上の秘密の範囲をどのように考えるか。
(論点12)対象防衛施設の安全が害される場合としては、どのようなケースが考えられるか。


第五 勧告に従わない者への対応
 防衛大臣は、第四による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

(論点13)公表する項目として、何が考えられるか。当該土地の所在等を詳細に公表した場合には、当該土地が我が国の安全の確保のために重要な土地であることを広く一般に公表することとなる点に留意する必要がある。


第六 罰則
1 次に掲げる者は、○○円以下の罰金に処するものとすること。
(1)第三の1に違反して、届出をしないで外国人等土地取得契約を締結した者
(2)第三の1による届出について、虚偽の届出をした者
2 第三の2に違反して、外国人等土地取得契約を締結した者は、○○円以下の罰金に処するものとすること。

(論点14)罰金の額は、1・2それぞれについてどうするか。


第七 除外
 以下の場合には届出の対象としない。
(1)特別永住者による土地の取得
(2)米軍及び国連軍関係者が、その駐留する目的の達成のために行う土地の取得

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