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氏制度のあり方に関するワーキングチーム 第1回会合開催 男女平等議論の背景にあるものとは

4/2氏制度のあり方に関するワーキングチームの様子(自民党本部で)

国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条に、「日々勉強!結果に責任!

をモットーとする参議院議員赤池まさあき(比例代表全国区)です。

 4月2日(金)朝8時から90分間に渡り、自民党本部において、氏制度のあり方に関するワーキングチーム(石原伸晃座長)の第1回会合が開催されました。

 同会の目的は、選択的夫婦別氏制度導入の是非について、昨年末の党内での激論を受けて決定した第5次男女共同基本計画を踏まえて、与党自民党として、氏制度のあり方について“論点整理”を行うことです。

 22名の国会議員が発言しました。選択的夫婦別氏制度導入について賛成派、慎重派双方の議論が闘わされました。

 選択的夫婦別氏賛成・推進派の意見の大要を自分なりにまとめると以下です。

・婚姻後96%が夫の氏を名乗り、離婚が3分の1と増加し、女性の社会進出や若者の意識の変化等、社会の変化がある。

・実際に不便だと困っている人がおり、制度を望んでいる人が大勢いる。

・氏を自分のアイデンティティ(存在証明)として捉える人が増えており、旧氏の家名を存在させたいという声もあり、少子化の中で、多様性を包摂する上で必要。選択制なので、選択肢が増える。憲法の法の下の平等(14条)、個人尊重・幸福追求権(13条)、夫婦同権(24条)から必要。

・ただし、戸籍制度を廃止しようとは思っていない。親子別氏となっても、既に同居家族でも別氏の方はおり、家族の一体感が薄れてはいない。通称使用拡大には、登記簿謄本等限界がある等々・・・

一方、選択的とはいえ夫婦別氏制度慎重派の意見概要は以下です。

・氏は歴史的に家族名(ファミリーネーム)であり、社会が変化しても個人のものとはならない。夫婦同氏制は、法的に一体感を醸成し家族の助け合いを支援してきた。

・選択制とはいえ夫婦別氏制度導入は、必ず親子別氏を制度として生む。生まれてくる子供は選べない。結婚しようとする夫婦に選択肢を増やすことは、実家を巻き込んで無用な争いを増やしかねない。

・結婚後夫婦の氏をどちらかが名乗るかはそれこそ夫婦の選択の問題であり、合憲であり差別ではない。

・経済的に選択肢拡大は個人の豊かに繋がるが、社会制度の選択肢増大は個人の混乱を招きやすい。

・通称使用拡大と周知で。困っている人の不便さは解消できる。選択制を望んでいる人がいることは分かるが、逆に困る人が出かねない。

・導入によって行政コストが増大し、学校や会社、政治活動上、名簿管理で混乱が出かねない。

 私は、選択的とはいえ夫婦別氏制度導入は慎重に考えるべきだとの意見ですが、引続き我が国のために何が必要か議論を続けていきたいと思います。

●昨今の男女平等、男女格差の議論の背景にあるもの

先頃、ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムが、男女平等について、4分野の指標で国別に評価してランキングを発表して話題になりました(ジェンダーギャップレポート2021)。

 「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2021」 世界経済フォーラム

 それによる我が国の評価は、男女平等について、教育や医療分野は最高位ですが、経済(117位)と政治参画分野(147位)では先進国で最下位だというものです。全体で156か国中120位。

 以上のように、昨今の男女平等、男女格差の議論の背景について、以下の識者が興味深いことを指摘しています。

 岩田太郎氏(在米ジャーナリスト)

 「国会や企業取締役会、各種団体や組織の指導部において、女性の割合を全体の半数近くまで強制的に引き上げるクオータ制や夫婦別姓制度の導入、ジェンダー差別・偏見を許さない運動など、「女性が自由に選択できる社会」「女性が自立して生きやすい社会」を実現するための権利拡大ムーブメントが情緒的な切迫感を増し、長期的視点による検証や議論をバイパスする形で、なし崩し的に加速している。

 これらの運動は趣旨や分野が多岐に分散しているものの、本質において「個人の権利尊重(私)と共同体の存続(公)のどちらを優先するか」「現世代の利益か未来世代の利益か」というせめぎ合いに収斂する。」

ジェンダー平等が行き渡った社会は本当に持続可能か 将来世代の犠牲の上に成り立つ女性の自立 | JBpress
 「最も重要な論点として、女性の社会進出や選択の最大化を実現した欧米ジェンダー先進国において、社会や共同体の持続性を示す出生率が、軒並み日本と同じように人口置換水準を長期間下回っており、このままでは人口減少と人的インフラの機能低下が始まることだ。このため、女性の結婚や生殖に関する権利にまで踏み込まねば、負担の重くなる将来世代を現役・退役世代が食い物にするただ乗り行為となり得ると論じ、ジェンダー論に持続性がないという致命的欠陥を指摘した。」

「(1)ジェンダー論を唱える勢力が主に、グローバリストで新自由主義的な思想を持つリベラルエリートであることを明らかにし、(2)日米のような新自由主義経済の仕組みを採用する諸国において、女性指導者の比率を引き上げる形で実施されるジェンダー平等は、社会や政治の最大の課題である「経済格差問題」の解決に貢献するどころか、かえって悪化させる」

 ジェンダー平等を唱える論客が皆エリートである件(JBpress) - Yahoo!ニュース

 岩田氏の分類に従えば、私は、個人の尊厳(私)や現世代の利益はもちろん大事ですが、共同体の存続(公)と未来世代の利益をより考えたいと思っています。 

今後もしっかり議論していきたいと思います。

●(参考)夫婦の氏に関する議論の経緯は

 会議の冒頭では、今までの議論の経緯が説明されました。

 我が国は、現行民法(750条)において、夫婦同氏制度を採用しています。「夫婦は夫又は妻の氏を称する」としています。

 平成8年2月に法務省法制審議会の答申によって、選択的夫婦別氏制度の導入、子の氏は結婚時に別氏夫婦の場合はどちらかにするか決め統一等が提言されました。

 それを受けて、平成8年自民党政権時、平成22年民主党政権時に法案が準備されましたが、様々な意見や情勢変化があり、法案提出には至りませんでした。

 一方、司法の判断として、平成27年12月に最高裁大法廷判決があり、夫婦同氏制は合憲とされました。15名の最高裁判事の内、5名が違憲との議論でした。

 昨年末の平成2年12月には、最高裁大法廷に再度回付されており、夫婦同氏制度の合憲性が再び議論されています。今年の夏頃には憲法判断の可能性があるのではないかと指摘されています。

 昨年末に自民党内での賛否両論、激論の末で決定された第5時男女共同参画基本計画の内容は以下です。

「イ 家族に関する法制の整備等

① 現在、身分証明書として使われるパスポート、マイナンバーカード、免許証、住民票、印鑑登録証明書なども旧姓併記が認められており、旧姓の通称使用の運用は拡充されつつあるが、国・地方一体となった行政のデジタル化・各府省間のシステムの統一的な運用などにより、婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることのないよう、引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組む。【関係府省】

② 婚姻後も仕事を続ける女性が大半となっていることなどを背景に、婚姻前の氏を引き続き使えないことが婚姻後の生活の支障になっているとの声など国民の間に様々な意見がある。そのような状況も踏まえた上で、家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。」

とされました。

 https://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/5th/pdf/2-09.pdf 

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