記事

米3月雇用統計、春の到来に合わせ雇用に芽吹き

1/2

March Madness Comes With Blowout Jobs Report.

<本稿のサマリー>

米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、コロナ感染者数の減少やワクチンの普及に加え、追加経済対策の成立で需要が喚起された結果、予想以上の増加を遂げました。春の訪れとともに、2月の大寒波の悪影響が払拭され、雇用の芽吹きを感じさせます。ポイントは、以下の通り。

(ポジティブ)

・NFPが大幅増加、前月に続き娯楽/宿泊が雇用を支え全体の約3割を担う(飲食業は娯楽/宿泊のうち約6割を占める)だけでなく、建設や鉱業/掘削ほか、政府部門も増加に反転するなど雇用改善の裾野に広がり
週当たり労働時間が2006年以来の最長に並び、需要拡大を示唆
失業率が6.0%に低下、失業者が減少し就業者が増加しただけでなく、労働参加率も61.5%と0.1ポイントながら前月から改善
・家計調査では、前月と逆にフルタイムが牽引し、フルタイムは前月比93.5万人増加に対し、パートタイムは同3.1万人減少
不完全失業率は10.4%と、1~2月の11.1%から改善
・労働者の8割を占める管理職を除いた場合の平均時給は前年同月比4.4%上昇、管理職を含めた全体の4.2%超え

(ネガティブ/ニュートラル)

平均時給が前月比0.1%下落、前年比も4.2%と2月から1ポイントも急低下、低賃金職の雇用改善により統計の歪みが修正され平均時給の数字も正常化し始めたか
長期失業者の割合が43.4%と2011年9月以来の高水準を示すなど、そろって長期失業の指標は悪化、追加経済対策で失業保険の上乗せが9月6日まで延長された影響か
・労働市場の先行指標ともいえる派遣が20年4月以来の減少、フルタイムの増加と共に改善トレンドを表すのか注意

米3月雇用統計の詳細は、以下の通り。

米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比91.6万人増となり、市場予想の64.7万人増を上回った。前月の46.8万人増(37.9万人増から上方修正)を含め、3ヵ月連続で増加。増加幅は、20年8月以来の高水準となる。1月25日のカリフォルニア州が外出禁止措置を解除したほか、NY市も2月からレストランの店内営業を承認するなど規制が緩和され、さらに2月のテキサス州大寒波の影響も払拭され、サービス業を中心に雇用が回復した格好だ。

1月分の6.7万人の上方修正(16.6万人増→23.3万人増)と合わせ、過去2ヵ月分では合計で15.6万人の上方修正となった。1~3月の3ヵ月平均は53.9万人増と、コロナ禍前の2019年平均である16.8万人増を大幅に上回り、コロナ禍が深刻化した1年経過し雇用回復の足取りが固まりつつある。

今回までで20年5月以降、1,396万人の雇用を取り戻した。ただ、同年3~4月の記録的な減少(2,236万人)を打ち消し同年2月の水準を回復するには、あと931.9万人必要となる。

チャート:コロナ禍で失った雇用を取り戻すには、あと931.9万人増加する必要あり

(作成:My Big Apple NY)

NFPの内訳をみると、民間就労者数は前月比78.0万人増と市場予想の57.5万人増を大幅に上回った。前月の55.8万人増(46.5万人増から上方修正)を含め、3ヵ月連続で増加した。民間サービス業が59.7万人増、ヘッドラインと逆に前月60.2万人増(51.3人増から上方修正)を下回るペースとなり、民間でも今回は財部門の雇用が活発だったことが分かる。

チャート:NFPは大幅に3ヵ月連続で増加、失業率は低下トレンドを維持

(作成:My Big Apple NY)

サービス部門のセクター別動向は、政府を含め11業種中9種が増加し、前月から1業種増えた。今回最も雇用が増加した業種は2月に続き娯楽・宿泊で、2ヵ月連続で全体を支え、20年12月~21年1月分の減少を相殺した。続いて2月に雇用減となった政府が入り、3位は前月に続き教育・健康が入った。一方で、情報のみ5ヵ月ぶりに減少した。

(サービスの主な内訳)

―増加した業種
・娯楽/宿泊 28.0万人増、3ヵ月連続で増加<前月は38.4万人増、6ヵ月平均は7.1万人増(そのうち食品サービスは17.6万人増、3ヵ月連続で増加>前月は30.9万人増、6ヵ月平均は5.3万人増)
・政府 13.6万人増、増加に反転>前月は9.0万人減、6ヵ月平均は4.1万人減
・教育/健康 10.1万人増、2ヵ月連続で増加>前月は2.6万人減、6ヵ月平均は3.7万人増
(そのうち、ヘルスケア・社会福祉は10.1万人増、2ヵ月連続で増加>前月は5.7万人増、6ヵ月平均は3.7万人増)

・専門サービス 6.6万人増、11ヵ月連続で増加>前月は7.8万人増、6ヵ月平均は12.2万人増(そのうち派遣は0.1万人減、20年4月以来の減少<前月は5.0万人増、6ヵ月平均は6.3万人増)
・輸送/倉庫 4.8万人増、3ヵ月連続で増加>前月は3.6万人増、6ヵ月平均は4.0万人増
・その他サービス 4.2万人増、3ヵ月連続で増加>前月は1.9万人増、6ヵ月平均は1.7万人増

・卸売 2.4万人増、8ヵ月連続で増加>前月は0.6万人増、6ヵ月平均は1.4万人増
・小売 2.3万人増、3ヵ月連続で増加<前月は2.8万人増、6ヵ月平均は3.4万人増
・金融 1.6万人増>前月は0.9万人減と10ヵ月ぶりに減少、6ヵ月平均は1.3万人増

―横ばいの業種
・公益 横ばい=前月は横ばい、6ヵ月平均は横ばい

―減少した業種
・情報 0.2万人減、5ヵ月ぶりに減少<前月は0.3万人増、6ヵ月平均は0.2万人増

財生産業は前月比18.3万人増と、前月の4.4万人減(修正値)を含め3ヵ月ぶりに増加した。2月の大寒波で落ち込んだ建設が今回は大幅に増加した。製造業は、2ヵ月連続で増加。鉱業/伐採は、3ヵ月ぶりに増加した。詳細は、以下の通り。

(財生産業の内訳)
・建設 11.0万人増>前月は5.6万人減と10ヵ月ぶりに減少.、6ヵ月平均は3.5万人増
・製造業 5.3万人増、2ヵ月連続で増加>前月は1.8万人増、6ヵ月平均は2.7万人増
・鉱業/伐採 2.0万人減、3ヵ月ぶり増加(石油・ガス採掘は600人増)>前月は0.6万人減、6ヵ月平均は0.3万人増

チャート:3月のセクター別増減

My Big Apple NY)

チャート:労働市場は改善続くも、どの業種もコロナ前の回復に至らず

(作成:My Big Apple NY)

平均時給は前月比0.1%下落の29.96ドル(約3,300円)と、市場予想の0.1%の上昇に反する結果となった。前月の0.3%(0.2%から上方修正)にも届かず、9ヵ月ぶりに下落した。前年比は4.2%上昇し、こちらも市場予想の4.5%以下に。前月の5.2%(5.3%から下方修正)も大きく下回った。ただし、前年比の3%超えは15ヵ月連続となる。今回は低賃金の職が増加したため、統計上の上振れが是正されたとみられる。

あわせて読みたい

「雇用・労働」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    過去のことでも…芸能界を震撼させたマリエの「実名枕営業告白」

    渡邉裕二

    04月22日 08:06

  2. 2

    大盛りで有名な「ラーメン二郎」で起きる大食いハラスメントが断じて許されない理由

    東龍

    04月21日 17:27

  3. 3

    キャンプ場にも出没か 「教え魔」が後を絶たないワケ

    御田寺圭

    04月22日 11:10

  4. 4

    与野党ともにしれっと通したい「国家公務員定年延長法案」、山積する問題点を見逃すな

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    04月22日 09:37

  5. 5

    無症状者のPCR検査を止めれば「緊急事態宣言」は無用

    自由人

    04月22日 08:53

  6. 6

    原告側の敗訴となった慰安婦訴訟 日韓関係に変化をもたらすか

    ヒロ

    04月22日 10:37

  7. 7

    伊是名夏子さん騒動で、政党(社民党)はもう本気で黙っていた方がいい理由

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    04月21日 09:46

  8. 8

    厚労省がファイザーワクチン接種後の感染率を初めて開示

    青山まさゆき

    04月22日 12:19

  9. 9

    米感染症専門家「コロナは空気感染する」 打つ手なしの日本

    田中龍作

    04月22日 14:52

  10. 10

    パチンコ人口が1年で200万人減って813万人に! 禁煙化、コロナと厳しい状況続く

    キャリコネニュース

    04月22日 10:11

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。