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日銀の金融政策のあり方

昨日、日銀は追加の金融緩和政策の強化を決定した。この結果、「資産買入等の基金」が 91 兆円から10 兆円増額され、101 兆円になる。さらに、物価上昇率の目標の導入を検討するという。
これらの緩和は自民党安倍総裁が日銀に圧力をかけた結果だと受け止められている。

これまで、白川総裁は単純な物価上昇率を目標とする金融政策に否定的だった。今回の本意がどこにあるのかは不明だが、政府との間に大きな政策ギャップを作るのは望ましくないと思っているのかもしれない。今後、互いの妥協点を探るのだろうか。結果は1/23-24の決定会合で明らかになる。

資産買入規模の増額は、その対象を長期国債5兆円、国庫短期証券5兆円としている。この結果、今後1年間で日銀は長期国債を41.6兆円、短期国債を15兆円買い入れる。この国債買い入れの増額は、自民党が政策として打ち出している公共事業の財源対策でもあるのだろう。新しい政権に協力したことになる。

日銀が政府の資金繰りに対して積極的に対応するのは望ましくない。第二次世界大戦において、戦争の財源を確保するために日銀が国債を引き受け、結局は大幅なインフレを招いたことを思い出すべきである。今回の緩和はそこまで極端ではないものの、今後1年間の日銀による国債買い入れ額を考えると、疑念を禁じ得ないのも確かだ。

今回の緩和に対して市場は、「予想よりも緩和が小規模」だと失望したという。これに関連し、日経の署名入り記事に「日銀は市場の信認を取り戻せ」とあった。アメリカのグリーンスパン前FRB議長の例を引き合いに出している。本当にそうなのか。アメリカの場合はともかく、日本の投資家には多様性が欠如している。このため、市場の信任を得ようとすると、ポピュリズムに陥りかねない。短期的な利益しか眼中にない投資家が多すぎ、緩和を喜び、緩和の停滞を怒るからだ。

市場の信任を得るには、さらなる緩和が必要であり、第二次世界大戦における日銀と政府の関係に接近していく。日銀としては、政府の行動を牽制する「物価の番人」としての役割を再認識すべきだろう。そのためには、金融のさらなる緩和ではなく、政府と一緒になり、いかに企業の活力を高めるのかを協議しなければならない。その協議の土俵に政府を引き入れる必要があるだろう。もはや、金融は十二分に緩和されているのだから。

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