
[フランクフルト 1日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事は1日、ユーロ圏で物価が上昇しているが、一連の一時的な要因が原因であり、基調的なトレンドは依然として弱いと指摘、ECBは超金融緩和政策を維持する必要があるとの認識を示した。
ユーロ圏のインフレ率は、エネルギー価格の上昇や増税などを受けて今年、上昇傾向にあり、数カ月内にECBの目標を上回る可能性もあり。
期待インフレ率は2年超ぶりの高水準で、インフレ押し上げに苦慮してきたECBにとっては歓迎すべきところだが、レーン専務理事はブログで、市場は実体経済より前のめりになっている可能性があり、市場の織り込みが急激に調整された場合、成長に悪影響を及ぼしかねないと指摘した。
企業や家計の見方はもっとゆっくり変化するもので、市場だけがインフレ加速を見込んでいると、借り手は実質金利の上昇に直面する。「このシナリオで、実質の影響は生産の減少、予想インフレパスの低下になる」と述べた。
ここ数週間、名目利回りと実質利回りは逆方向に動いており、名目利回りがパンデミック前の水準に向けて上昇する一方、実質利回りは年初の低水準に向かっている。レーン氏は、市場ベースの実質利回りは石油価格の動向と強い相関関係がみられるとして、実際のインフレ見通しを正確に反映していない可能性があると指摘した。
「2020-21年のインフレ率のボラティリティーは、主に感染症流行のショックの性格に起因している」と指摘。
「インフレの中期的な見通しは依然として抑制されている。労働市場・製品市場に大幅な緩みがあり、需要が低迷している」と述べた。
こうしたボラティリティーでインフレ率が一時的にECBの目標を上回る可能性さえあるが、このようなボラティリティーは無視すべきだと主張。政府に対しても、景気刺激策を維持するよう求めた。
ユーロ圏は第1・四半期に再び景気後退に陥る可能性が高く、第2・四半期も厳しい状況が続く見通しという。