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同性婚を認めないのは「違憲」と札幌地裁が歴史的判決 差別や偏見と立ち向かう原告の思いとは

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その名も「結婚の自由をすべての人に」訴訟――。

全国各地の同性カップルが、同性婚を認めないのは憲法違反だとして、国に対して損害賠償を求める訴訟を一斉に起こしたのは、2019年のことだった。現在も13組が、東京・札幌・大阪・名古屋・福岡の各地で争っているが、最初の判決言い渡しが今月17日、札幌地裁であった。

札幌地裁の武部知子裁判長は判決で、国が同性カップルの結婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると判断した一方、賠償請求については棄却した。

弁護団は憲法違反と認めた点を歴史的な判決と評価しながらも、「勝訴判決が欲しいわけではない。これは同性カップルが結婚できるようになるための訴えだ」と今後も争う考えで、31日に札幌高裁に控訴した。原告や同性愛当事者たちの人生をかけた闘いは、これからも続く。 

   
判決後の記者会見(北海道弁護団提供)

歴史的訴訟 弁護士はカミングアウトした

判決当日、メディアはこの歴史的な判決を大きく扱った。「夢のよう」「涙が止まりませんでした。本当にいい判決を出してくださった」という原告カップル3組の喜びの声を次々に報じた。

「違憲判決 結婚の平等へ大きな一歩」と大きく書かれた横断幕を、左右に開く場面と、地裁前にはためくレインボーカラーの旗は、多くの視聴者の目を釘づけにしたに違いない。“旗手“はLGBTたちが集う団体「さっぽろレインボープライド」のメンバーなど支援者たちだった。

夜になってYouTubeで配信しながら行った判決報告会では、原告カップルらの後に北海道弁護団の加藤丈晴弁護士が登場。裁判報告と控訴について説明した。

司会者から「(話題を)かっさらっていった人」と紹介された加藤弁護士は、口頭弁論の中で同性愛者であることをカミングアウトした理由について、「同性愛者はどこにでもいるという思いを込めた」と、破顔一笑して次のように述べたものだった。

「裁判官から見れば原告はあちら側にいる人、こちらの人とは違うと思われるかも知れないが、原告の代理人である私も同性愛者だし、ひょっとすると、あなたの左右にいる裁判官もそうかも知れない。これは、当たり前にいる人の当たり前の権利の問題ということを知って欲しかった。それだけに、違憲という素晴らしい判決には感動しました」

加藤弁護士の話からは、社会には性的指向による差別が存在すること、そして、その問題に取り組む弁護団の並々ならぬ覚悟がうかがえた。

判決を伝える原告や弁護団(北海道弁護団)

「差別と抑圧」から「理解と共生」へ50年の戦い

「私もとても嬉しかったです。同性婚を認めないのは憲法14条に反するという判決で、これまで否定されてきた私たちの人権が公的に認められたわけですから」

そう語るのは、裁判所に意見陳述書を提出した沢部一実さん。50年近く同性愛の当事者として生きてきた屈辱的な体験を、弁護団からの依頼で綴っていた。

勝訴を告げるニュースを見た瞬間を振り返り、感慨もひとしおだ。

「武部裁判長は、性的指向は人の意思で選択したり変更したりすることはできない『性別や人種などと同様のもの』であるとしました。同性婚が実現するにはもう少し時間がかかるだろうけれど、これからも勇気ある原告たちを応援していきたいと思います」

 

「あれは差別と抑圧の時代でした」と語る沢部さんは、1960年〜70年代に青春期を過ごした。同性愛は「異常性愛」や「精神疾患」などと言われたため、同性同士で駆け落ちしたり、心中したりする話を見聞きしたという。

「1980年代まで、外ではレズビアンという言葉すら口にできませんでした。蔑称の「レズ」はまるで性のモンスター扱い、それで『れ組』とか『ビアン』とか呼んでいたんです。1980年に歌手の佐良直美がキャシーというタレントに、『レズ』だと言い立てられてマスコミの猛攻勢に遭い、テレビから姿を消す事件がありました。同性愛に対する迫害だと感じました」

海外では、1969年に「ストーンウォールの反乱」が起きた。ニューヨークのバーに踏み込んだ警察に、性的マイノリティたちが抵抗して騒動になった事件。それを機に精神医学界が中心となり、「同性愛は精神障害ではない」という認識が広まった。

「1975年、アメリカの女性解放運動ではレズビアン・フェミニストたちが活躍していると聞き、大学最後の夏休みに訪れました。ジェンダー規範から自由で、パワフルな彼女たちに触発されて、帰国してからミニコミ誌を立ち上げました。同性愛は単に性愛の問題でなく、男性に頼らず女たちと共に生きる生き方の選択と実践でした」

1990年代にはあまり表には出なかったという沢部さんは、2004年に若い仲間たちと出会ったことで、再び活動する意欲を取り戻す。07年からはパフスクールというグループを立ち上げて、運営するようになった。

「性的マイノリティ女性が自己理解と肯定感を深め、生活の質(QOL)を保って生きられるように、コミュニケーションの講座を中心にした活動をしてきました。2015年からは“日本Lばなし”というトークイベントを企画・開催し、自分たちのロールモデルとなる人に個人史をインタビューして記録に残しています。こういう活動を通して、スタッフも参加者も一人の人間だという意識が育ってきたように思います」

参加者は多いときで80人。ゲストには、初めてレズビアンとカミングアウトして国会議員となった尾辻かな子氏(現・立憲民主党所属)や、「LGBTは生産性がない」という差別発言をした自民・杉田水脈衆院議員への反対集会でカミングアウトした、同志社大の岡野八代教授らを迎えてきた。

コロナ禍の昨年9月には、同性婚東京訴訟の原告でもある小野春さん、西川麻実さんのカップルがオンラインで“登壇”した。

札幌地裁の判決を受けてメディア取材に応じた小野さんは、「同性カップルは『生産性がない』などと言われ、存在なき者とされてきた。勇気を出して声を上げてよかった」と答えていたが、それは沢部さんらと共有する思いだったろう。

沢部さんと共にパフスクールで活動する山賀沙耶さんは、判決当日、スタッフ間のグループLINEで朗報を知ったと語る。

「判決には、正直あまり期待していなかったので、驚きました。後で判決要旨を読み、セクシュアルマイノリティが法の下に平等に扱われていないことを、裁判で公にしてくれたのだと、改めて感じました。先輩たちが積み上げた活動のうえに、いまがある。すごいことだなと思います。まだ先は長いのでしょうけれど」

昨年9月に開催された「日本Lばなし第18話」(パフスクール・オンライン・トークイベントより)。左上と下は西川さんと小野さん、右上は沢部さんと山賀さん

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