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JJがやらかし反省会をする理由 - アルテイシア

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「あなたたちの中で罪を犯したことのない者がこの女に石を投げなさい」

イエスにそう言われたら、私は「すみませんでした!!」と石板の上に土下座する。

フェミニズムのコラムを書く45歳の我も、過去にさんざんやらかしてきた。その反省を忘れないために、脳内でやらかし反省会をしている。

JJ(熟女)の忘却力を発揮して、記憶がどんどん薄れているからだ。

たとえば、20代の私は「イケメンなのに東大なんてすごいね!」とか平気で言っていた。

現在は「人の見た目に言及しない」とJJべからず帖に刻んでいるが、当時はルッキズムという言葉すら知らなかった。

また、中学時代はとんねるずの保毛尾田保毛男のモノマネをして、同級生と笑っていた。

当時は「この教室の中にもセクシャリティに悩む人がいるかもしれない」と想像できるだけの知識がなかった。それで無自覚に差別する側になっていたことを反省している。

振り返ると、私のやらかしは「無知ゆえの過ち」だったと思う。

会社員時代に育休中の先輩の家に行った時、彼女が赤ちゃんのおむつを替えながら「見てこのツルツルのお尻! 触ってみる?」と聞いてきた。20代の私は素直に触って「おお~ツルツル!」と感動していた。

そんな己のケツを蹴とばして「これを読め!」と『おうち性教育はじめました』を渡したい。

本書では「おしりを触ってキャッキャふざけるのも、親子の楽しいコミュニケーションかなって……」という親に対して、村瀬幸浩先生が「プライベートパーツを触ったり見たりして、ふざけるのはよくないね。コミュニケーションなら他の方法でとってほしい」とキッパリ答えている。

「これは親のほうが意識して線引きしてあげないと、プライベートパーツを勝手に見たり触るのが『好き』の表現だと教えてしまうことになりかねないんだよ」

「プライベートパーツへの不本意で理不尽な侵入や攻撃は、想像以上に深刻な屈辱感やコンプレックスを与えるんだ」

「その証拠に、性的ないじめは自殺につながるケースも少なくない。それだけ深い傷を与えることにもなるんだ」

この言葉に全力で膝パーカッションする我である。

知人女性は小学生の時にスカートめくりをされたトラウマで、スカートを履けなくなったそうだ。

また、教育関係の友人が話していた。「ズボンおろしをされるのがイヤで、小学校に行けなくなった男の子がいるのよ。おろした男の子に聞くと『周りが笑ってくれるから冗談のつもりでやった』と言ってた」

その男の子は「冗談でも絶対やっちゃダメ」と教わる機会がなかったのだろう。かくいう私も20代の頃は、プライベートパーツという言葉すら知らなかった。

まともなジェンダー教育や性教育を受けられないまま、世間やメディアから偏見や差別を刷り込まれて育つ。私を含めて、ほとんどの日本人がそうなんじゃないか。

知識を学ぶ機会がなかったことは、本人の責任じゃない。だからといって「俺は悪くない!」と開き直る気はさらさらない。

過去のやらかしを思うと恥ずかしくて、アンジェロみたいに石化したくなる。でも思考停止して沈黙するわけにはいかない。

過ちを反省しているからこそ声を上げなきゃと思うし、「アップデートを怠るべからず」とJJべからず帖に刻んでいる。
そしてこつこつ本を読んだりして勉強している。JJは小さい字が読めなくてつらい。

世の中に一度も間違ったことがない人なんていないだろう。間違ったことがない人しかジェンダーやフェミニズムを語ってはいけないとなると、誰も語れなくなる。

自分も含めてアップデートの途中だから、みんなでアップデートしていって、社会全体が変わるといいなと思う。
そのためには、自分の間違いを認めて反省すること。人の意見に耳を傾け、真摯に学ぶ姿勢が必要だろう。

一方、失言が炎上しても「俺は間違ってない!」と開き直り「こんなに叩かれていじめだ!」と被害者ぶる人たちがいる。なぜ批判の声が上がったのかを考えないから、同じような炎上を繰り返すのだ。

また「差別する意図はなかった」と言い訳しつつ「誤解を招く発言をフンガフンガ」と謝罪する人たちもいるが、謝罪よりも勉強してくれと言いたい。差別についてちゃんと学ばないから、同じような(略)

「俺は間違ってない!」が通用するのは、権力をもつ立場だからだ。そういう人は、周りに注意してくれる人がいないんじゃないか。
立場が下の者が忖度して意見を言わないか、「どうせ言っても変わらない」と諦めているのだろう。

そうして裸の王様になった彼らは「今はすぐに叩かれて生きづらい、窮屈な世の中だ」とボヤく。

そんな彼らに「叩いているのはどっちだ?」と聞きたい。昔は差別やハラスメントをされた側が、我慢するしかなかったのだ。

批判しても直接殴られないネットが普及したお陰で、被害者が声を上げられるようになった。生きづらさを強いられてきた側にとっては、今の方がマシな世の中である。

フジテレビ「ワイドナショー」で武田鉄矢が「セクハラは必要悪」と加害者視点で語っていたが、「昔は気軽にお尻に触られてよかったわ、昭和サイコー!」と語る女性は見たことがない。

テレビやメディアは「元号が令和になったことに気づいてないのかな?」みたいなおじさんたちが未だに権力を持っている。

私が小学生の時に、とんねるずの「一気!」という曲が流行った。「飲めぬ下戸にはヤキ入れて 付き合い程度じゃ許さずに 一気! 一気!」という歌詞を書いたのはご存じ秋元康だ。

今この曲がテレビで流れることはないだろう。若者が急性アルコール中毒で亡くなる事件が報道されて、「お酒の強要は絶対ダメ」が社会的な常識になったから。

それについて「一気がNGなんて窮屈な世の中になった」とボヤくおじさんは見たことがない。

一方、性差別や性暴力については「いちいち騒がなくても」「過剰反応」「面倒くさい女だなあ」とボヤく。それは性差別や性暴力なんて大した問題じゃない、と軽視しているからだ。

性犯罪の加害者の95%以上が男性、被害者の90%以上が女性である。女性に比べて性暴力に遭いづらいことも男性のもつ特権だが、人は自分の特権には気づきにくい。

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