- 2021年04月01日 11:54
みずほ銀行をいまだ蝕む「三行横並び」の亡霊 第三者委員会はいびつな経営統治の解明を
1/2短期間で4件の障害発生は不可解
みずほ銀行の相次ぐシステム障害を受けて、今春予定の頭取交代人事を急遽中止するという前代未聞の発表がありました。
引責辞任によるトップ交代という事例はよくあることですが、交代が決まっていたトップを引責で職務継続させるとは何を意図しているのか。少なくとも、事の深刻さを物語っていることだけは間違いないでしょう。
今回のみずほ銀行のシステム障害は、異常といえる連鎖です。2月28日に全国の約8割にあたるATMが一時動かなくなるトラブル発生を発端として、約2週間で計4件の障害が立て続けに起きています。
これらの障害は、現時点での調査では相互にかかわりはないとのことですが、4件もの障害が連続して発生するとはなんとも不可解ではあります。
さらなるイメージ低下でメガバンク二行に後れを取るみずほ銀行

みずほ銀行のシステムといえば、旧日本興業銀行(興銀)、旧第一勧業銀行(DKB)、旧富士銀行三行合併の折に、各行譲らずそれぞれのシステムを活かしながら専門家が言うところの「無理な接続」によるシステム統合を強行。
結果、金融庁から業務改善命令を受けるような致命的システム障害を繰り返してきた、という暗い過去を背負っています。これは「三行横並び合併」による弊害の代表として語られてもきました。
そんなお荷物的存在だった「横並びシステム」についてみずほ銀行は、二度目の大規模障害を機に再構築を決断。
8年超の歳月と4500億円という巨額投資によって一から構築し直した「真の統合システム」が一昨年完成し、ようやく先を行く上位二メガバンク追撃の体制が整ったと言われていたところでありました。
それだけに今回の相次ぐシステム障害のダメージは大きく、ただでさえ上位二行に後れを取っているというイメージにさらなる大きなマイナスイメージがかぶさってしまった、と言わざるを得ないところです。
システム障害は"初歩的なミス"で発生した人災
鳴り物入りで統合した新システムがなぜと思うのですが、既に原因が判明した2月28日の障害については人災であったとみずほ銀行が認めています。
それは、通常月よりも営業日数が少ない2月の月末日のシステム処理量を見誤った、ということだそうで、具体的にはただでさえ満期書き換え処理等の定期預金処理が増える月末に、1年以上通帳記帳のない定期預金の更新処理を上乗せしたために、処理能力を超えてパンクした、のだといいます。
ライバル行幹部からは「わざわざ処理量が多い月末に、臨時のデータ処理をぶつけるなんて考えられない」とコメントもされるほど、初歩的なミスだったのです。
システムが特段の問題なく運用され順調に経営されている上位二行との違いは、はやはり三行合併による体質的問題が根底にあるように思えます。
三菱UFJ銀行も三井住友銀行も、源流をたどれば三行以上の複数都市銀行の寄せ集めではありますが、どちらも最終的には二行合併により誕生したメガバンクです。
そして、合併から10年もたたぬ間に、それぞれ旧三菱銀、旧住友銀が確固たる主導権を握るという形で経営リーダーシップが明確になり、旧行派閥間闘争といった類の話は一切聞こえてきていません。
「One MIZUHO」の大号令を出すも進まない組織融合

一方、みずほ銀行はと言えば、ただでさえ融和が難しい三行合併である上に、戦後の長きにわたって政策金融としてある意味国策の一端を担ってきたという自負のある日本興業銀行という、他の都市銀行とは一線を画するエリート中のエリート銀行が名を連ねたことが厄介でした。
そして合併当初、この毛色の異なる興銀をみずほコーポレート銀行として別扱いしたこともいけませんでした。
この別扱いによりいつまでも組織融合が進まない状況を打破すべく、コーポレート銀行をみずほ銀行本体に吸収したのが2013年。「One MIZUHO」の大号令を掛けたものの、出だしでくじかれた旧行意識払拭は遅々として進むことはありませんでした。
例えば、上位二行では早々に統合された系列のリース会社も、旧行のOBが各会社の上層部を牛耳っていまだに統合できぬままです。マイナス金利下で一層重要性が増している非バンクビジネス収益が、上位二行に比べ圧倒的に見劣っている原因はこんなところにあるのです。



