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かが屋の賀屋さんを苦しめた地獄の日々「汚い、臭い…」学校生活

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中学生時代に「汚い」「臭い」と同級生の女子から陰口・悪口をたたかれ、いじめられていたという、かが屋の賀屋壮也さん。周囲から気づきにくい「バレないライン」の巧妙なものでも、本人には「地獄」と感じるつらいものでした。そんな時、アニメやドラマの長い作品を見てやりすごしたという賀屋さん。いじめの乗り越え方や、いじめに対する思いをYouTube「たかまつななチャンネル」で聞きました。

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一軍女子によるサイレントないじめ

--過去の記事を拝見して驚いたんですけど、ひどいいじめにあっていた経験があるそうですね。

賀屋:そうですね。学生時代はあまりいい思い出がないというか、派手ないじめではなかったんですけど、中学1年の後半から中学3年くらいまでいじめられてました。しかもクラスの女子に…。男子とは仲良くやっていたんですけど、クラスのリーダー格、いわゆる一軍の女子たちに、聞こえるか聞こえないかぐらいの距離で陰口や悪口を言われ続けていましたね。

--思い当たる原因はあるんですか?

賀屋:そういう思春期の子たち、とくに女子って容姿やにおいに敏感じゃないですか。だから嫌われていたんだと思います。というのも、僕の家は古くて薪で炊くタイプのお風呂で、炊くのに手間がかかるもんだから、湯船に浸かるのは2〜3日に1回程度。だから毎日お風呂に入っている子と比べて、体臭があるし、汗のにおいも残っていて…。しかも薪釜の煙突があるんですけど、それが僕の部屋に直撃していたんですよ(笑)。それで僕の学生服から燻製臭が漂っていて、そりゃ陰口や悪口をたたかれるわって感じですよね。

--笑っていいのかわからないですけど…。

賀屋:今となってはネタですけどね。当時、燻製臭に汗のにおいも加わって、僕からすごくおいしそうなソーセージのにおいがしてるわけですよ。でも、おいしそうなもののにおいって、実際においしそうなものがあるところじゃないと効果を発揮しない。何もないところからおいしそうなにおいがしたら、それはくさいんですよね。なんならちょっとこわいし。

--においが気になるのは、まわりの子にはつらいかもしれないけど、だからといっていじめをしていいということではないですよね。学生服は煙が当たらない場所に掛けてほしいと伝えるなど、本人ができることを言ってくれるとよかったんでしょうけど。もし、教室で匂いが気になる同級生がいたなら、先生に相談して、先生が本人に事情をきいて、改善していくのがいいですよね。

賀屋:髪の毛が天パーなうえ、お風呂に毎日入れてなかったから、フケとか頭皮の脂とかでベタついてたりして、女子たちに不潔だと思われたんでしょうね。一番キツかったのが、僕が通っていた学校が中高一貫で、1学年が40人ぐらいだったこと。しかも2クラスしかないから、高校卒業までの6年間、逃げ場所もなくこれが続くんだって思ったら地獄でした。

--それはキツいですね。周りで助けてくれる人はいなかったんですか?

賀屋:それが女子からのいじめが巧妙で、「あいつ汚いし臭いから、ちょっといじっちゃおう」みたいな感じで、ちょうどバレないラインで攻めてくるというか…。男子とも仲良くやっていたこともあって、全然周りに気付かれなかったですね。そんなこともあって当の本人にである僕は、学校生活をフルで楽しめなくて…。「汚い」「臭い」という陰口や悪口が聞こえてきたら、落ち込んで帰るみたいな日々が続きました。

--それでも助けを求めなかった?

賀屋:女子たちに浴びせられた陰口や悪口がいじめに該当するのかがわからなかったんで、誰かに助けを求めていいものなんだろうかという気持ちがあったんですよね。でも今考えてみれば、自分が少しでも嫌だと感じたら、それは完全にいじめだと思います。

「行かなくてええよ」察してくれた母

--親御さんには相談したたんですか?

賀屋:できませんでした。僕、男三兄弟なんですけど、両親が離婚していて。祖父母はいたんですけど、母親が1人で兄弟3人を育ててくれていたので、親に迷惑をかけるわけにはいかないと思っていましたね。子供ながらに気を使っていたのかも。

--誰にも吐露できないことで、しんどくならなかったんですか?

賀屋:いじめられても学校には普通に通っていたんですけど、中3のある日、朝起きたらすごく学校に行きたくなくて。それで母親に、「ごめん、ちょっと俺もう行きたくないわ」って初めて言ったんですよ。「あんた、何言いよるねん」と言われると思ったら、「わかった。行きたくないなら行かなくてええよ」って意外な反応が返ってきて。いじめについて僕から何も言ってなかったけど、何かしら伝わっていたんでしょうね。

--お母さま、賀屋さんのことをちゃんと見ていてくれたのかもしれないですね。

賀屋:それで「お弁当も作っちゃったし、どこかドライブ行こう」って、地元の山に連れ出してくれたんです。呉市に住んでいたんですけど、音戸大橋という有名な景勝地があってそこに。今でも鮮明に覚えてるんですけど、海や街を一望できる山まで行って、頂上で2人でお弁当を食べたんですよ。母親は何も聞かなかったけど、連れ出してくれたことですごい気持ちが楽になりました。

--いじめはいつまで続いたんですか?

賀屋:中3ぐらいで、急にピタッと止まったんです。いじめてきていた女子たちが大人になって飽きたからかなと思ってたんですけど、今考えると、僕のいないところで担任の先生がやめるように促してくれたんじゃないかなって。

好きな子からも「キモい」と拒絶

--どんな気持ちでいじめられている日々を乗り越えていたんですか?

賀屋:少人数の学校だったので、嫌でもその子たちの顔を見ないといけないし、やっぱりすごいしんどかったですね。でもその女子たちがかわいかったんですよ…。

--え…!?

賀屋:いじめてきた女子たち、顔がかわいいかったんですよ。だから僕、このいじめの話をするって決まったとき、言葉で伝えるのが難しいなって思っていたんです。もちろんいじめはつらかったのでそれをしっかりと伝えたいんですけど、いろんな感情があったということは嘘をつけない。異性に興味ある時期だったし、彼女が欲しい年頃でもあった。なんていうか、いじめられているとはいえ、その女子たちのことがちょっと気になっていた部分もあったというか…。

--その中に好きな子がいたとか?

賀屋:当時、ニンテンドーDSの脳トレが流行っていて。片方の画面に3文字の単語がいっぱい並べられてるんですけど、それを30秒で覚えてもう一方の画面に書くんですよ。そこに好きだった女の子の名前をずっと書くくらい好きな子がいたんです。けど、その子にも「あいつキモいよね」って言われて…。好きな子にまで拒絶されてしまって、かなりしんどかったですね。

地獄から救ってくれた漫画や映画

--心の支えはあったんですか?

賀屋:学校でいじめられて家に帰ってきて、何か嫌なことを思い出したときに、漫画や映画、ドラマ、小説とかをずっと見てましたね。好きなものに触れることで、嫌なことが忘れられるんです。今も緊張する仕事があるときとか、ネタの締め切りとかが近づいてきたときには、映画を見まくってます。芸人になった今もこうして、嫌なこと、しんどい、めんどくさいことから逃げる方法があるのは、いじめにあった経験があったから。そこに助けられることもいっぱいあるし、ストレスで心が弱るくらいなら、つらいことから逃げてもいいと思うんですよ。

--いじめられていた当時、どんな作品に逃避していたんですか?

賀屋:『ワンピース』とか『ナルト』とかジャンプ漫画もよく見ていましたが、とくに好きなのは、松本大洋先生の『ピンポン』や『鉄コン筋クリート』。メジャーどころじゃない、同世代のほかの人たちと違う漫画を好きでいるという優越感が、なんとか自分を保たせてくれたんですよね。自分のアイデンディティとなるものに出会えたから、いじめにあっていた2〜3年間をなんとかやっていけた。これがなかったら多分、結構やばかったと思います。

いじめがトラウマで自己表現が苦手

--お笑い芸人を意識しだしたのは?

賀屋:大学入学をきっかけに上京したんですけど、僕、「元気がない」って理由でバイトの面接に落ちまくっていたんです。全部で13社くらいかな(笑)。そういうこともあって前に出るタイプではないとわかっていたし、この時は「ごっつええ感じ」きっかけで、ダウンタウンの松本さんと放送作家の高須さんのラジオ「放送室」を知って放送作家になりたいと思っていたんですよ。だけど、大学3年生のとき、ようやく受かったバイト先のコンビニに、お笑い芸人をやっているという、今の相方の加賀が入ってきたんですよ。放送作家になるんだったら、お笑い芸人と仲良くしておいて損なはないだろうってことで、僕から声をかけました。最初は加賀のピンネタを見て一緒にああだこうだ言ってたんですけど、加賀が「今度2人で舞台出てみないか」と誘ってくれて。それで芸人の道に進みました。

--加賀さんとは波長があった?

賀屋:好きなものが似ていたんですよね。僕はバナナマンさんが好きなんですけど、その話で盛り上がったりして。放送作家を目指している僕が芸人と仲良くなるからには、誠意を見せなきゃいけないってことで、コントのネタを5本くらい書いて相方に見せたんですよ。あんまりその内容を覚えていなかったんですけど、後に相方から言われたのは、「5本とも全部、オチで人が死んでた」って。めちゃくちゃ尖ってる、すごく怖い人だと思われていたみたいです(笑)。

--オチで人が死ぬコントって、なかなか斬新ですね(笑)。先ほどおっしゃっていた「元気がない」性格は、中学時代のいじめが原因だったりしますか?

賀屋:いじめの標的にされやすいから、おとなしくしておこうっていうのはあったと思います。それがなおさら不気味だったのかもしれないですね。くさくて不潔なやつが不気味なので、いっそう女子たちが嫌がったんだと思います。自分の感情を表現したら相手の怒りをかって攻撃されるんじゃないか。だから楽しくてはしゃいだり、いきったりするのを表に出さないようになりました。今の性格になったのはきっと、いじめられていたときのトラウマが影響していますね。

--芸人になってからも、その性格は変わらないですか?

賀屋:お笑いを始めて6年。だいぶよくなったと思うんですけど、今でも「暗い」とか「何考えているかわからない」とかって言われます。だけど芸人は、自分の失敗や恥ずかしいことを笑いにする職業なので、自分の殻に閉じこもっていたらお話にならないんですよね。大好きなお笑いの世界にずっといられるにはどうしたらいいか。そう突き詰めると、かっこつけてる場合じゃないんですよね。それに、最近まで相方が休養していたんですけど、1人で活動するになってなおさらそう思います。僕は自己の開示が明らかに周りの人よりも劣ってるし、かっこつけて守りに入ってもしょうがない。そう思うようになってからは、今までやったことない一発ギャグをやらせてもらったりと、自分の中で変化が起こり始めてます。

--過去にいじめられていた経験があると、心を開くことが怖くなったりしませんか?

賀屋:そうですね。でも周りの人は、さほど自分のことを気にしていないんですよね。自分が恥ずかしいと思った出来事だって、周りは大体覚えてない。要は自分が固執してるだけなんですよね。最近思うのは、心をちゃんと開いている人、開こうと自ら努力している人って、本当に気持ちがいいなぁって。僕自身は暗くて元気がない性格かもしれませんが、明るい人がすごく好きなんですよ。フワちゃんとかEXITの兼近さんとかもそう。ああいう人が近くにいてくれると、すごい楽しいじゃないですか。だから僕もあんな風になりたいし、憧れますね。

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