記事

あだ名は「チビデバビデブー」猫ひろしさん、いじめ体験で得た本気

1/2

お笑い芸人やマラソン選手として活躍する猫ひろしさん。小学生時代、背が低くて太っていた容姿でいじめられ、身に覚えもない出来事で犯人扱いされことも。猫さんに、コンプレックスとの向き合い方やいじめを乗り越える方法を、笑下村塾のたかまつなながYouTubeで聞きました。

元記事はこちら

小5の時に受けた仲間はずれ

――いじめが始まったきっかけはあるんでしょうか?

猫:僕が住んでいたのは田舎で学校も小さいので、学年みんな友達のような雰囲気だったんですけど、その中にはやっぱりボスがいて。何が原因かは明確にはわからないんですけど、その子に目をつけられたのが始まりですね。そんなに激しいいじめではなかったですけど、仲間はずれにされたり、無視されたりして、当時の僕としてはけっこうキツかったですね。

――それはツラいですね。やはり先生や親御さんには打ち明けにくかったですか?

猫:ですね。先生や親に泣きつくこともなかったし、誰にも言わなかったかな。兄弟や父の影響もあって、「弱さを見せちゃいけない」という気持ちが大きかったんですよね。そんないじめられる日々の中でも救われた出来事があって。ある友達が声をかけてくれたんですよ。

――どんな経緯だったんですか?

猫:ある日、クラスメイトのバッグの紐がハサミで切られるという事件が起きたんです。いじめを企てたボスに、この事件の犯人にされちゃって…。「あれはクニがやった」と。あ、僕の本名、瀧崎邦明っていうんですけど(笑)。やっぱりボスの言うことをみんな聞いてしまうんでクラスで無視され始めるんですけど、何日か経つと、ある友達が「大丈夫?」って声をかけてくれたんです。その友達としては普通に接してきただけかもしれないけど、このさり気ない一言にだいぶ励まされましたね。それで僕も屈さないでいたらだんだん無視はなくなっていきました。

――屈しなかったんですね。

猫:そうですね。僕やっていないですし、犯人にされたことに腹立っていたんです。みんなには口をきいてもらえなかったけど、絶対に負けたくなかった。弱いものいじめって、すごく最低なことだと思うんです。だから何が楽しいのかなって思います。そういうことする人に負けたくなかったし、そもそも僕は悪いことしていない。だから無視されても心折れずにいようと思ってました。

――めちゃくちゃ意思が強いですね。そういう強い気持ちでいられるのはなぜですか?

猫:自分の意思を曲げたくないって思っちゃうんですよね。さっき「弱さを見せちゃいけない」と思うのは兄弟や父の影響もあると話しましたが、僕、男3兄弟の末っ子で兄弟喧嘩してもどうしても負けちゃう。そんな時でも、父に「絶対に泣くな」と言われていたんですよね。父は、子どもが泣きそうになると、親指を立てて「我慢」とエールを送ってくるんです。そういう環境や教育の影響もあって我慢強くなったし、強い気持ちを持てるようになったのかも。

低い身長、芸人になると一変

――芸人を目指したのはいつ頃ですか?

猫:僕が通っていた高校では、卒業したら地元で就職がお決まりのコースだったんですけど、「この場所でこのまま一生暮らすのか」と思ったら、なんかすごい寂しくなっちゃって。それで東京に出てみようと。その大義名分として大学進学を掲げてみたら、先生たちに「やめておけ」って全力で止められたんですよ(笑)。勉強苦手だった僕が大学進学宣言をしたもんだから、職員室がザワつきましたね。一浪の末、合格したんですけど、大学のキャンパスがまさかの埼玉の岩槻で。それで大宮に住むことになって、電車1本で行ける新宿にお笑いライブを見にいくようになったんです。そこから世界が変わりました。

――見る側から演者に変わっていったんですね。

猫:はい。よく見ていたのは、浅草キッドさんと爆笑問題さんのライブだったんですが、浅草キッドさんのライブでネタ見せがあったんです。それで受けてみたら、背が小さいし、おもしろそうという理由で合格しました。

――小学生の時にいじめられていた容姿がお笑いでは武器になった?

猫:中学や高校では、背が低いことが嫌で嫌で仕方なかったですね。本当にコンプレックスでした。それが芸人になったら、学生時代の悩みのタネだった背が低いことが真逆に働いたんですよ。ピン芸人になりたての頃、漫談をやっていたんですが、「背が低くて見た目もおもしろいんだから、その特徴を活かしたギャグをやった方がいい」と先輩に言われたんです。そのアドバイス通りにやってみたら、実際にお客さんにウケたし、ライブでも優勝したんですよ。

――背が低いことに悩んでいた当時の自分に何か言ってあげられるとしたら、どんな言葉をかけてあげたいですか?

猫:その悩みは今は大きなものかもしれないけど、社会に出たらどうでもいいくらい小さいことだよってことですかね。悩んでいる時って、それが自分の世界の全てだと思っちゃうのもわかります。でもそんな苦しい世界ならば逃げればいいし、世の中にはいくらでも選択肢が広がっている。そんなことを伝えたいですね。

そこに愛はある?いじめといじりの違い

――最近、バラエティ番組がいじめを助長しているんじゃないかと言われたりします。いじりといじめの違いはどういうところだと思いますか?

猫:いじめは相手のことを思いやってないし、そこに愛がないんですよね。いじりはその反対。例えば、僕がチビって言われたとしたら、それをギャグに変えてお客さんに笑ってもらえるし、変な話それが仕事にもなるわけです。

この一連の流れをいじる側がわかってやってくれるんですよね。お笑いのいじりには、いじられる側への大きな愛があると思います。

――芸人になっていじられることで、コンプレックスがどう変わりました?

猫:コンプレックスだと思っていた背の低さが、僕の個性であり特徴であり武器でもあるということを教えてもらいました。
これに気付けたのは、やはりいじめと違っていじりの中に愛があるから。愛を持っていじってもらえることには、芸人としても人としてもすごく感謝していますね。

心ない言葉より、自分の本気を信じて

――猫さんはカンボジアに国籍変えて、マラソン選手としてオリンピックに出場しました。そこまでマラソンにのめり込んだきっかけは?

猫:学生時代、陸上の大会に駆り出されるくらいマラソンは得意だったんですけど、もちろん芸人になった当初は、マラソン選手になろうだなんて思ってもなかったんです。転機になったのは、TBSの番組「オールスター感謝祭」のミニマラソン。当時、ネタ番組で「昇竜拳」「ポーツマス!ポーツマス!」というネタで出演することが多かったんですけど、出演時間が1分くらいしかなかったんですよ。でも「オールスター感謝祭」のマラソンでトップになれば、テレビにいっぱい映れる。だから頑張ってみようと思いました。それで番組で走ってみたら2位だったんですよ。1位はリック・ワイナイナって、銀メダリストで。

――それは実質1位ですね。

猫:普段ギャグをやっている僕が大真面目に走る姿がおもしろかったみたいで、ミニマラソンへの出演以降、マラソンの仕事がたくさん来たんです。そんな中、マラソン大会に出たら30歳くらい年上のランナーの方にゴール直前で負けちゃったんです。それまで練習をあまりしなくても勝てるもんだから、その大会も前日にちょっと走ったくらい。仕事でマラソンを始めた当初は、本気じゃなかったんですよね。

――その大会で負けた経験がきっかけで、どんどん本腰を入れるようになったんですか?

猫:プロランナーの谷川真理さんに誘っていただいて、本格的に練習するようなりました。マラソンってすごいもので、練習すればするほどタイムがどんどん伸びていくんですよ。目に見えて数字に表れるからすごい嬉しくなっちゃって、気づいたらハマっていました。

あわせて読みたい

「いじめ」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    看護師や女子高生の盗撮を15年間続けた医師 撮りためた動画は驚愕の3.63テラバイト

    阿曽山大噴火

    05月11日 08:08

  2. 2

    菅首相はオリンピックファースト?レッテル貼りで責め立てる野党に医師が苦言

    中村ゆきつぐ

    05月11日 08:24

  3. 3

    「人権派弁護士」が牙をむく時。正義感の暴走、池江璃花子選手への中傷は異常だ

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    05月10日 09:51

  4. 4

    ホテルに缶詰めで、食事はカップ麺…欧州選手団が怒った五輪前大会の低レベル

    PRESIDENT Online

    05月11日 12:26

  5. 5

    山積みの課題を前に「活動停止中」の東京都議会。最大会派は署名集めの前に、臨時議会を開催せよ

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    05月11日 08:23

  6. 6

    「人と違うことは個性だ」差別と戦い続けたプロサッカー選手・鈴木武蔵が見る日本

    清水駿貴

    05月11日 08:06

  7. 7

    国の反論は「性風俗は不健全」 デリヘル給付金訴訟の原告が法廷で語った思い

    小林ゆうこ

    05月10日 19:56

  8. 8

    コロナ感染者増加の主因は街の「人流」ではなく、PCR検査への「人流」

    自由人

    05月10日 08:22

  9. 9

    日本の音楽シーンは宝の山 70~80年代シティポップが世界でブーム

    NEWSポストセブン

    05月10日 18:15

  10. 10

    五輪開催是非について、口を開き始めたアスリートたち

    諌山裕

    05月10日 15:51

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。