記事

モラハラはDVではないというデマ 時代に逆行する三谷英弘衆議院議員(自民党)のツイートの問題点

夫婦間のDVとはどのようなものだと思いますか。
 DVとは暴力をイメージし、暴力に至らなければDVではないんだという認識は正しいでしょうか。
 今でも凄惨な暴力によるDVが根絶されたわけでありません。暴力を伴うDVに対する救済制度も整備されてきたり、捜査機関である警察の認識にも変化してきているため、暴力はダメという認識は拡がりつつあります。
 他方で、拡がっているのは、暴力を伴わないDVです。
 今や他方配偶者に対するモラハラがDVであることは共通認識となっています。
ドメスティック・バイオレンス(DV)とは」(男女共同参画局)
(引用)
精神的なもの
心無い言動等により、相手の心を傷つけるもの。
精神的な暴力については、その結果、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に至るなど、刑法上の傷害とみなされるほどの精神障害に至れば、刑法上の傷害罪として処罰されることもあります。

大声でどなる
「誰のおかげで生活できるんだ」「かいしょうなし」などと言う
実家や友人とつきあうのを制限したり、電話や手紙を細かくチェックしたりする
何を言っても無視して口をきかない
人の前でバカにしたり、命令するような口調でものを言ったりする
大切にしているものをこわしたり、捨てたりする
生活費を渡さない
外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせたりする
子どもに危害を加えるといっておどす
なぐるそぶりや、物をなげつけるふりをして、おどかす

※生活費を渡さない、もしくは仕事を制限するといった行為は、「経済的なもの」と分類される場合もあります。

性的なもの
嫌がっているのに性的行為を強要する、中絶を強要する、避妊に協力しないといったもの。
夫婦間の性交であっても、刑法第177条の強制性交等罪に当たる場合があります(夫婦だからといって、暴行・脅迫を用いた性交が許されるわけではありません)。

見たくないのにポルノビデオやポルノ雑誌をみせる
いやがっているのに性行為を強要する
中絶を強要する
避妊に協力しない
パンサー・尾形さん、妻に「宅配便の人と話すの禁止」 これってモラハラになる?」(弁護士ドットコム)

2021年2月18日撮影

 このような中で、DV防止法にも改正の動きが出て来ています。
“DV保護 精神的 性的暴力にも拡大を” 内閣府の調査会が提言」(NHK2021年3月17日)
「内閣府の女性に対する暴力についての専門調査会は、DV=ドメスティック・バイオレンスの新たな対策について17日、提言を報告書にまとめました。
この中では、裁判所が加害者に対し被害者に近寄らないよう命じる「保護命令」の申し立てができる範囲が、身体的な暴力だけとなっている現状について、暴言などの精神的な暴力でも精神疾患や自殺に至る深刻なケースもあるとして、精神的な暴力や性的な暴力なども含むよう、保護命令の範囲を拡大する方向で法改正を行うべきだと指摘しています。」
 考えてみれば当然の帰結です。モラハラ行為とは相手方配偶者に対する支配ですが、その支配の領域から出ようとした場合、どのようなことをされるのか不安になるのは当然のことで、中々、行動に踏み出せないことになります。
 これまで一度も暴力を受けたことがなかったとしてもです。
 今までDV防止法による保護の対象から外れていたことから、結局、住所秘匿の方法などによって消極的な方法でしか身の安全を守ることができませんでしたし、事案によっては住所秘匿もできない場合がありました。

 ところが離婚後の共同親権導入推進論者たちは、モラハラ行為をDVとすることに対して頑強に抵抗します。
 それまで子を監護していた親が別居(離婚)を前提に子を連れて出ることさえ「連れ去り」として刑罰を与えよ、親権を与えるな、という主張をしています。
DV被害者を萎縮させる「連れ去り」禁止 DV被害から母子を守ならければならない

 しかし、みたに英弘衆議院議員の認識があまりにひどすぎます。根底にはDV被害者に対する敵視があります。三谷英弘衆議院議員(弁護士)は、悪乗りが過ぎ、議員としての品位を害している 自民党の公党としての責任を問う

 もともとDV保護と離婚後の共同親権には両立し得ない壁があります。
 いわば対立する関係にあるのですが、離婚後の共同親権導入推進論者たちはDV概念を極めて限定的に解釈し、それ以外の場合に子を連れて出ることは「連れ去り」として厳罰を要求しているわけです。そうしないと両立しないからなのですが、そこにDV敵視というイデオロギーがあり、モラハラにまでDV概念を拡大するなどというのはもってのほか、ということになります。
 いずれにしても国会議員がDVに対して、このような発想、認識でしかないとすれば恐ろしい限りです。

杉田水脈氏の問題発言「女性はいくらでもウソをつく」 唐突な従軍慰安婦問題の目的は別居時の子の「連れ去り」禁止の実現にある

あわせて読みたい

「DV」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    DHCなどを“実名報道”のNHK 民放にはできない“攻める”ニュースの意義を考える

    水島宏明

    04月09日 21:59

  2. 2

    スーパークレイジー君の「当選無効」は大いなる陰謀か、妥当な判断か

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    04月10日 08:20

  3. 3

    なぜ、日本は韓国よりも貧しくなったのか - 原田 泰 (名古屋商科大学ビジネススクール教授)

    WEDGE Infinity

    04月10日 08:56

  4. 4

    東大京大生ってどうしてそんなにコンサルになりたがってるの?と思ったときに読む話

    城繁幸

    04月09日 08:17

  5. 5

    売れ行き好調で一時出荷停止の「生ジョッキ缶」 メルカリで転売相次ぐも“違法”のケースも

    BLOGOS しらべる部

    04月09日 17:24

  6. 6

    朝日新聞と厚労省へ ここまで対策すれば送別会やっていいですよという具体例

    中村ゆきつぐ

    04月10日 10:17

  7. 7

    【読書感想】日本の構造 50の統計データで読む国のかたち

    fujipon

    04月10日 09:52

  8. 8

    認定取消されなかったフジHDと東北新社の違い 外資規制違反の状態でも抜け道?

    BLOGOS しらべる部

    04月09日 16:47

  9. 9

    補選与党完敗 文在寅レイムダック化

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

    04月10日 11:57

  10. 10

    「日本で働くから英語は要らない…」これからノーチャンスになる人の根本的勘違い

    PRESIDENT Online

    04月10日 11:43

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。