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小選挙区制にこのような害悪があることはとっくの昔から分かっていた

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 今回の総選挙の結果を見て、小選挙区制というのはこんなにひどい制度だったのかと、改めて驚いた人は多かったことと思います。しかし、小選挙区制が今回明らかになったような弊害や問題点を数多く持っていること、民主主義に反する制度であること、したがって選挙制度としては最悪のものであるということは、ずっと前から分かっていたことです。

 たとえば、私は政治改革が問題となり、選挙制度を中選挙区制から小選挙区制と比例代表制を並立させた制度に変えようとした約20年前、『一目でわかる小選挙区比例代表並立制-新しい選挙制度であなたの一票はどうなる』(労働旬報社、1993年)という本を書きました。この拙著で、小選挙区瀬の問題点を列挙して、次のように主張しています。

 ……議会への民意の正確な反映は、憲法で保障された国民主権を具体化する上での基本的な条件です。それは、他のあれこれの問題と同列に論じられるようなものではないはずです。中選挙区制の「制度疲労」を言い、それに代えて小選挙区制を含む選挙制度を導入しようとする人びとは、この一番肝心なところに口をつぐんでいます。マスコミも、なぜか、ふれようとしません。
 民意に基づく政治が民主政治ということであれば、民意をゆがめ、無視するような制度は、民主政治における制度として、基本的な必要条件を欠いているということになります、たとえば、政権交代があったとして、それが民意をゆがめたり逆転させたりした結果であれば、このような政権交代もまた、民主的なものではないということになります。(209頁)

 また、初めてこの小選挙区比例代表並立制で行われた1996年10月の総選挙の直後、『徹底検証 政治改革神話』(労働旬報社、1997年)という拙著でも、「選挙の実際を見聞きして、『これではいけない。こんな選挙はできるだけ早く終わりにしなければ』という危機感を強く抱いたことを、正直に告白しなければなりません」として、次のように指摘しました。

 ……これほど「欠陥が浮き彫り」になった選挙も珍しいといえましょう。……一度実際にやってみて、これだけ害悪がはっきり出たのですから、「悪かったら直せばよい」と言っていた人は、「柔軟な発想」で、「欠陥が浮き彫りになったから、また手直しをする。制度とはそういうものだ。小選挙区制をやめなさい」と、先頭に立って論陣をはってもらいたいと思います。(124~125頁)

 さらに、「民意を反映しない小選挙区制はワースト制度―早急に改めるべきである」『日本の論点2011』文藝春秋社(2010年11月)という拙稿でも、次のように書きました。

 選挙の基本は、議会に民意の縮図を作ることである。そのような民意に基づいて政権を構成し、政治運営を行うことこそ、議院内閣制の本旨である。政治主導を言うのであれば、まず、「国権の最高機関」である国会と民意との距離を可能な限り縮めることから始めるべきだろう。比例代表定数の削減など、とんでもない。このような逆立ちした改革案は、国会の議席分布と民意との乖離を更に広げ、政治の閉塞状況を強めるだけである。
 国会を民意の縮図とするためには、民意を反映しない小選挙区制を改め、世界の先進国の多くと同様に比例代表制的な選挙制度に変えなければならない。そうすれば、選挙区定数(「一票の価値」)の不平等という難問もまた、たちどころに解決されるにちがいない。

 今年になってからも、「選挙制度改革をめぐる動き」『法と民主主義』2012年5月号(No.468)という拙稿で、次のように書いています。

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