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役割を終えた民主党野田代表と反構造改革の声

民主党は、2012年総選挙において、小選挙区27人、比例区30人という結果に終わり、壊滅しました。
野田首相が目指したものは、構造改革路線の推進、そのための消費税大増税であり、それだけです。
野田首相は、社会保障との一体改革などと言いながら、社会保障を充実させる気など全くなく、消費税大増税を実現するためだけに「社会保障」を口にしたのであり、非常にえげつない人でした。
財界の後押しを受け、三党合意という形で、消費税大増税法案を国会で通したことによって、野田首相は、本来的な役目を終えました。

この消費税大増税法案が成立するまでには紆余曲折があります。
菅直人前首相は、鳩山前政権の路線を180度方向転換させ、構造改革路線を突き進もうとしました。しかし、参議院選挙を前に、消費税大増税を発言したため、民主党は参議院で大敗を喫し、ここでも自民党が相対的に浮上しました。
財界は菅内閣を見限ることなく、消費税大増税に向けてエールを送り続けました。
そして、消費税大増税を実現するためには、自民党の協力が必要でした。財界は自民党にも協力を要請します。
これは単なる数合わせではありません。
国民が拒否する消費税大増税を実現するためには、保守(反動)政党が一致団結して、国民の声を抑圧しなければならず内輪もめなどされていては、消費税大増税がおぼつかなくなるからです。

しかし、その後、菅内閣は、あまりに国民の不人気となり、また自民党との関係も到底、円満にはいかなくなり、財界に見限られた菅前首相は失脚しました。
その後を受けて政権の座についたのが野田首相です。
あの野田佳彦氏の「笑顔」を覚えていますか。あの「低姿勢」を覚えていますか。
野田氏の役割は、自民党(+公明党)の合意を取り付けて、消費税大増税を実現することでした。そのための「笑顔」であり、「低姿勢」です。財界の大いなる期待を背負っての登場です。
野田氏にとっては、民主党が潰れようが、財界の意向である消費税大増税を実現できれば良かったのです。

他方で、自民党の当時の総裁谷垣氏は、あくまで衆議院の解散にこだわり、野田首相が解散を確約しなければ採決に協力しないという態度でした。
もちろん、その時点で解散総選挙となったとしても、自民党は相対的に浮上するでしょうが、今回ほどの差は出なかったと思われます。谷垣氏がこだわったのは、その時点で解散を勝ち取れれば、間違いなく、次の首相候補が自分になること、9月に自民党総裁選が控えている中でタイムリミットが迫っているという事情がありました。
しかし、谷垣氏にとっては、自民党が協力を拒否して消費税大増税法案が通らなかったということになると、財界との関係がおかしくなります。
谷垣自民党総裁は、解散の確約もどきで採決に応じることになります。
その採決の過程で、民主党は、小沢グループの切り捨てます。構造改革に反する言動をとる小沢グループは財界にとっても目の敵でした。
野田民主党政権の末期と小沢叩きに奔走させられたつけ

その後の政局は、野田民主党にとっては、どの時点で解散総選挙を行えば、民主党にとって一番、犠牲が少なくて済むのか、あるいは自分が長く首相の座にいれるのか、ということが最大の関心事になります。
しかし、構造改革路線に転換した民主党には、もはや勝ち目はありませんし、それは解散時期の問題ではありません。
田中真紀子氏が、今回の選挙を命名し、「自爆テロ解散」だと述べたそうですが、私もその通りだと思います。
構造改革路線を遂行するための民主党という政党は国民が求めていないということは誰よりも、民主党自身、野田首相自身が十分に認識していたことです。
民主党政権を誕生させた原動力は、決して財界の求めた構造改革路線でもなければ、消費税大増税路線でもありません。
菅内閣のときに参議院選挙で大敗したことで明白になっていたにも関わらず、この路線を突き進んだことで民主党の運命は決まりました。
もっとも、野田氏にとっては、三党合意で行ったわけですから、民主党だけでなく、自民党も支持を減らし、民主党が下野にするにせよ、相対的には一定の議席を確保しうるのではないかという思惑くらいはあったのかもしれません。

財界が望んだ保守二大政党政治というものは、互いに構造改革路線を競い合い、財界がコントロールすることによって、構造改革路線を推進していく安定政権の樹立です。
一方が国民の支持を失っても他方が相対的に浮上すれば、安定的に構造改革路線を推進することができるというわけです
しかし、今の民主党は、次の総選挙で浮上できるだけの政党としての体をなさないくらいの敗北となりました。
ここに民主党野田代表の役割は終えたということになります。
既に、反構造改革グループは民主党から抜けており、構造改革派の強者ばかりが残った民主党ですから、もはや立て直しは不可能でしょう。

この結果は、当たり前です。財界が望むような保守二大政党政治など実現できようはずがないからです。
日本では、少数政党ではありながら、反構造改革の政党もあるため(未来、共産、社民)、単純に保守政党のみが育成(国民からの支持)されることはありません。
あの米国ですから、先の大統領選挙では、富裕層への増税の有無が争点になりオバマ大統領が再選を果たすに至っているのですから、もはや保守二大政党政治により国民の不満をそらせる手法には限界が来ているということです。
米国大統領選挙ロムニー氏の発言は米国社会の矛盾の象徴

他方で、自民党は、小選挙区制度であればこそですが、相対的に浮上し、「大勝」となりました。
投票率は6割を切り、大量の棄権、大量の死票の元、政権浮上を果たしたのです
消費税大増税、構造改革路線に反対する国民の声とは裏腹に、極右安倍総裁の自民党が政権を獲得できたのは、この大量の棄権と死票の存在があります。
この自民党政権を支えているのは、まさに小選挙区制度です。
前述したとおり、小選挙区制度は、財界が望む保守二大政党政治の実現は困難な状況ですが(維新の会も、もうこれ以上は大きくなれないでしょう。)、他方で、現状では、構造改革路線に反対する政党の進出は阻止しています。だから自民党が極端に浮上しているのです。
自民党「大勝」の歪みさて今後をどのように展望する?」

構造改革路線に反対する声が1つになっていくこと、小選挙区制度廃止すること、そして何よりも、反対する声が1つになっていくことを妨害してきたマスコミのデマを打ち破ることが、とても重要です。

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