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コンセプトによる唯一化で成功したカナダのECサイト「Ethical Ocean」

当ブログでは以前、ストーリーによる唯一化で成功しているECサイト「Outdoor Research」や「Has Bean Coffee」を紹介した。前者はアウトドア製品、後者はコーヒーと取り扱う。今回は、「人権、動物愛護、環境保全」をコンセプトとしたストーリーで成功しているECサイト、Ethical Oceanを紹介する。

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事業の成り立ち

Ethical Oceanを立ち上げたカナダ若手起業家たちは、はじめから善意に満ちた志を持っていたわけではない。CEOのChad Hamre氏(以下チャド)によると、ビジネスを追求した結果、たまたま同コンセプトに行き着いたそう(インタビュー記事)。

チャドはインタビューで以下の言葉を残している。
「アメリカ人の90%は環境保全、20%は労働環境、34%は動物愛護に感心がある。しかし、買い物をするときにこういったことを意識する人はたったの5%。僕らはこの差を埋めるビジネスを行いたかった」

彼らが、ブレインストーミングを繰り返す中で、フェアトレードや動物愛護など倫理的な活動が盛んに行われる一方、倫理的な製品を取り扱う企業名をすぐに思い当たらないことに気づいたのだ。

同社は、独占的なプレイヤーが存在しない領域で、かつ潜在顧客が確実に存在する「倫理的な商品市場」に目を付け、2010年の4月22日、地球環境を考える日である「アースデイ」に会員制ECサイトEthical Oceanをロンチした。

Ethiacl Oceanで取り扱う商品の条件は「人権、動物愛護、環境保全」の分野で貢献していること。このように取り扱う商品の条件を絞ったことで、コンセプトがわかりやすくなっている。

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"Good for People, Good for Animals or Good for the Environment"

Ethical Oceanの特徴は、「人に、動物に、環境に良い物を」という、シンプルで一貫したメッセージを発信しつづけていることだ。

すべての商品の詳細ページには、その商品のコンセプトや成り立ちといったストーリーから、生産工場の労働環境や原材料、環境への影響などが書いてある。倫理に気を配る顧客が、自分の価値観にあった物を探すことのできるように設計されている

同サイトで面白いのは、「Stories」という項目をグローバルナビゲーションの最も目立つ位置に入れ、同社のコンセプトに関連する記事をブログで継続的に発信していることだ。

このブログには、同社のスタッフだけでなく、サイトに共感する会員(完全菜食主義者など)による投稿もみられ、サイトに共感する人のコミュニティを作るために最も重要な役割を担っている。

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"Share the Way You Think"

「エコと環境」というニッチな領域を主戦場とした会員制の同ECサイトは、その性質上、新規メンバーの獲得が課題となる。

Ethical Oceanオープンの翌年の2011年、カナダのTVドキュメンタリー「Dragon's Den(日本で人気を博した「マネーの虎」のカナダ版)」で著名投資家から資金調達し、一躍注目を集めることに成功したが、会員数が思うように伸びなかった。

そこで同社は、facebookやtwitterなどのソーシャルメディアと連携したプロモーションを展開。他の会員制ECサイトも実践するような、知人を紹介してくれた会員に対する金銭的なインセンティブ(クーポン)提供を通じて、顧客ネットワークの拡大を目指した。

この手法の成否は、同サイトのコンセプトに会員がどれだけ共感してくれるかによる。つまり、会員の心に届くコンテンツがどれだけ共有されるかが成功要因となる。

環境をテーマにしたサイトなので、共感してくれる人が多く、この戦略はみごとに成功し、会員数を増やした。

Ethical Oceanに学ぶコンセプト型ECサイトの要点

Ethical Ocean のビジネスモデルは、言ってみればごく普通だ。まずターゲット層を絞り、そのターゲット層のニーズに合わせた製品ラインナップをそろえるとともに、ストーリー性を持ったコンテンツを紹介しながら顧客を引きつける。これまで紹介したコンセプト型ECサイトと同じ試みだ。

しかし同社は、コンセプト化の視点において特徴的だといえる。同社は、市場が存在しないが潜在顧客が存在する「環境保全」の領域を見つけ出した。そして今、この領域における「コミュニティの第一人者」となることができた。これまでも繰り返し述べているが、良質なコミュニティを得ることは、eコマース運営上非常に強力な武器だ。真似しにくい。これは市場を開拓した者の先行者利益だろう。

言い換えると、仮にあなたが努力を重ねて素晴らしい市場の一番手を得たのに、良質なコミュニティを持たなければ、先行者利益の多くを無駄にしている可能性がある。

未知の潜在市場を発掘することは至難だが、自社の新コンセプトが市場にない唯一なものであるか、新規事業構想のときの検証事項とする価値はあるだろう。そして運良くそういった市場を見つけたなら、あなたはその世界の「第一人者」になる資格がある。そのチャンスを逃さず、コミュニティを意識したeコマースビジネスを考えてみよう。

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