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学童保育とICT化

 この4月から児童生徒にICT機器が配備され、家庭でも使用できるようになる。「第二の家庭」である学童保育でも使用ができるのだろうか? その前に、使用できる環境だろうか?

■学童でICT機器を使えるか?

 ギガスクール構想により、多くの自治体で児童生徒、一人一台のICT機器が配備される。ICT機器を使う宿題が出されることや、今後、デジタル教科書を使うことになれば家庭でのICT機器を使う学習は日常となるに違いない。

 保護者が仕事で家庭にいない子どもが通う学童保育(学童クラブ)は、遊んだり、おやつを食べたりなど家庭と同じように過ごすことで「第二の家庭」といわれている。家庭と同じだから、宿題を行うこともあり、そうなればICT機器を学童保育の施設で使うことになるが、そのさい、ICT機器が使えるのか、が課題とならないだろうか?

 武蔵野市の場合は、携帯電話の電波を使うLTE仕様ではなく、WIFI仕様のICT機器のため、無線LANを学童保育施設に用意しておかないとICT機器が使えず、宿題や予習復習ができないことになってしまう。夏休みなど長期休みの時はさらに困ることになるのは目に見えている。

 ICT機器を配備する側の市教育委員会に、家庭学習で使うとなるとWIFIなど学童保育の子どもたちへの対応をどうするのか? と先の令和3年度予算審議のさいに質問があったが明確な答弁はなかった。つまり、対応策が明確ではないことになる。

 武蔵野市の場合は、小学1,2年生は学校でICT機器を保管するが3年生以上は自宅に持ち帰ることにしている。となれば、3年生は学童で使うことになる。
 他の自治体では小学1年生から持ち帰るケースや学童で6年生まで入所できる自治体もある。電源が確保できるかも求められるだろう。対応を急ぐ必要がある

 また、LTE仕様であっても月間の契約容量(ギガ)を使い切ってしまうと速度が落ちてしまい思うように使えないことになるためWIFIは必要不可欠といえる。

■学童でのオンライン保護者会

 コロナ禍で学童保育の保護者会が開けない場合、オンラインで行うところがでてきているが、武蔵野市の場合は、できたクラブとできないクラブに分かれていた。

 できない理由としては、施設にWIFIがないだけでなく、ICT機器がない、放課後支援員(指導員)が使い方が分からないことがあげられている。急激に新型コロナウイルスが広がったことで、当初は仕方がないとしても、今後はできるようにしておくことが必要だ。

 武蔵野市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例第19条には、「放課後児童健全育成事業者は、常に利用者の保護者と密接な連絡をとり、当該利用者の健康及び行動を説明するとともに、支援の内容等につき、その保護者の理解及び協力を得るよう努めなければならない」と規定している。

 日常的な個々の連絡は「連絡帳」を使うことでできるが、コロナの対応や学童全体がどのような状況なのか、保護者同士の意見交換も行うとなると「連絡帳」では無理なことで保護者会を開くことが求めらる。

 コロナで開催できないとなれば、オンラインで行うことは条例の趣旨であり、環境を整え開催することが必要になるのは言うまでもない。

 この条文は国のひな型と同じなので、多くの自治体でも同様に規定されているはずで、どの自治体でも確認が必要だろう。

■国が補助金を用意

 3月24日に全国学童保育連絡協議会の主催で、厚生労働省子ども家庭局子育て支援課から放課後児童クラブ関係・令和3年度予算案の概要等についてを伺う機会があり、参加した。

 内容は、全国的な待機児への対応や大規模化、放課後支援員の資格、配置などについて説明があり、こちらは別の機会にしたいが、令和2年度補正予算、令和3年度予算の説明もあり、ICT化推進事業が盛り込まれていることも分かった。

 令和3年1月28日に成立した第三次補正予算では、内閣府予算として「放課後児童クラブ(※)等において、業務の ICT 化の推進やオンライン研修の実施等に必要な経費を支援」と記載されており、令和3年度予算でも「放課後児童クラブ等におけるICT化推進事業」が掲げられていた。

具体的には下記だ(図参照)。

----------------------------------

①ICT化の推進

利用児童等の入退出の管理や、オンライン会議やオンラインを活用した相談支援に必要なICT機器の導入等の環境整備に係る費用を補助することにより、放課後児童クラブ等における業務のICT化を推進する。

②研修のオンライン化

都道府県等が実施する研修をオンラインで受講できるよう、必要なシステム基盤の導入にかかる費用

---------------------------------

 補助金純額は、一か所あたり50万円(うち三分の一は市が負担。学童は1支援の単位)だ。オンライン会議だけでなく、オンライン研修への支援も含まれている。

 放課後支援員資格には、都道府県が行う研修を受けることが求められているがコロナで研修が難しくなり必然的のオンラインとならざるをえない。他の研修も同様だろう。

 国が補助金を用意していることは追い風。学童保育のICT化をやるのは「今でしょ!」としか言いようがない状況だ。各自治体でどのように進めていくか注視が必要だ。

一方で、以前からランドセル、通学カバンの重さを指摘してきているが、ICT機器を持ち帰るとなると約1㎏重くなってしまう。使う必要のない学用品の持ち帰りをなくしていると先の予算委員会で市からの答弁にあったが、実際の重さはどうなるのか。こちらも気がかりだ。

※ 学童保育の法律上の呼称

【参考】
一人一台のICT機器。次の問題はランドセルの重さとデジタル教科書(2020年10月01日)

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