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「間違いなく放送行政、歪められた」立憲民主党小西洋之参議院議員

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ⒸJapan In-depth編集部

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・菅総理と関係深い東北新社の接待を断るのは困難、総務省はある意味被害者。

・東北新社の外資規制違反問題、間違いなく放送行政が歪められた。

・NTTのドコモの子会社化、事業変更の認可は必要ないのか。

総務省接待問題が引き続き国会で取り上げられている。この問題を追及している立憲民主党の小西洋之参議院議員に聞いた。

■ 総務官僚の倫理感

安倍: 小西議員は元総務官僚でもある。接待漬けになってしまった原因は何か?

小西氏: 私は1998年に旧郵政省に入省。その翌年に国家公務員倫理法が出来た。退官した2010年当時は衛星・地域放送課の課長補佐だったが、当時もそれまでも接待は全くなかった。お茶を飲むのも割り勘だった。

東北新社は菅総理と関係深い会社だということは当時から知っていた。菅前総務大臣が東北新社の創業者植村伴次郎氏と親しい関係だと皆知っていた。(会食の場には)長男が接待要員の部長として出てくるわけで、菅総理の影響を考えると接待の申込みは断れなかったろう。割り勘を言い出すことも出来なかったのだろう。違法接待を受け、国会に参考人招致されている幹部の中にはかつて直接上司として仕えた人もいる。能力的にも人間的にも尊敬する方だ。私は、総務省の官僚の皆さんは被害者だと思っている。

接待は非常に計画的になされていた。次に放送の局長になる他部局の幹部を、放送筆頭課長を使って接待したりしている。非常に計画的、戦略的な接待だ。それにからめとられしまったのかと思う。

一方で、NTTによる接待も受けていたことは心底がっかりした。通信部局の最高幹部とNTT社長との会食という構図は、総理の長男を使って会うことができない幹部を引っ張り出していた東北新社のものとは異なると思うが。NTTのような古くから政治・行政との付き合いある大企業からは、情報はまず表に出ないという暗黙の信頼関係が相互にあったのではないか。国家公務員倫理法に触れる事はお互い絶対分かっていたはず。

表にでないというという信頼感で(会食を)やってしまったんだと思う。

(接待が)総務省の情報通信部局全体に蔓延、常態化していたかどうかは、今回課長以上144名調べると言っているので、それをみてみないとわからない。

▲写真 ⒸJapan In-depth編集部

安倍: 総務省特有の問題とまでは言えない?

小西氏: そんなに弾けた組織でもない。私は経産省や農水省で働いたことあるが、そこと比較して総務省情報通信部局がそんなに国家公務員倫理にかけてたとは思わない。

安倍: とはいえ、国家公務員倫理法ができてから20年経って麻痺して、まぁこのぐらいならいいだろうという感覚があったのでは?

小西氏: どこかにあったのかもしれない。ただ新しく入省した新人は毎回公務員倫理法の研修を受ける。10年20年働いてる間に感覚が麻痺してしまうのだろうか。

安倍: 政策が何らか影響を受けたのならとんでもないことだ。今後、どうこの問題を追求していくのか?

▲写真 提供:小西洋之事務所

小西氏: 私が働いていた職場なので残念だが、東北新社の外資規制違反問題は、間違いなく放送行政が歪められてしまった事件だと考えている。

すでに国会でも明らかになったと思うが、3月15日、16日東北新社の社長が国会に来て、2017年の1月にBS4Kというチャンネルの認定を東北新社が受け、そこから半年後の7月28日にBS4Kのチャンネルに加え、自分も出資していた3チャンネルを集めて4チャンネルの放送局を作ろうとした、と話している。

ただ他の事業者が持ってる3チャンネルを東北新社が持っていくのも、事業者の地位承継といって、大臣認可が必要だ。7月28日に9月17日に承継しますというプレス発表をやっている。ところが、国会答弁によると、8月4日に外資規制違反に気づいて、8月9日に総務省の放送の総務課長に相談に行き、東北新社は新たに子会社を作り、そこに東北新社のBS4Kと3チャンネルを集めると説明したとしている。

4チャンネル集めるのにも大臣認可が必要だが、これによって外資規制違反が治癒・正常化されるという相談を総務省にし、総務課長から否定的な反応がなかったので、その通りやったということだが、これはただの脱法行為だ。

外資規制違反に気づいて、脱法するために8月9日に相談し、8月16日に子会社方式でやると公表してる。これは、東北新社みずからが外資規制違反を脱法するために、別の大臣認可を総務省から得ることにしたと答弁しているわけだから、間違いなく放送が歪められた事例だ。要するに、外資規制を超えてしまっていたということと、それを知りながら誤魔化すために子会社を作り大臣認可を得た東北新社は違法行為を2回重ねていることになる。

残念ながら、それに対して当時の総務官僚の皆さんは、東北新社の木田氏(注:木田由紀夫執行役員。2月26日付で執行役員を解任。株式会社スター・チャンネルの監査役、株式会社ファミリー劇場の取締役および株式会社東北新社メディアサービスの代表取締役社長・取締役を辞任 出典:東北新社)から総務課長などが外資規制違反の話を聞いた記録や記憶がない、と言っている。

7月28日に最初の大臣認可の公表を東北新社はしているわけで、半月の間に180度違う大臣認可に変わった。大臣認可という行政で一番重い行為なのだからそれらは当然局長まで全部説明するはずで、総務省も局長まで事前説明したはず、としている。しかし、当時の総務省幹部は半月の間に、誰からどう説明を受けて了承したか、記憶がないといっている。菅総理案件である東北新社からの依頼を断ることが出来ず、違法行為を行政としてやってしまったがゆえに説明できないという実態になっているのだろう。

私が心を鬼にして古巣の不祥事の追及をしているのは、かつての同僚・後輩のためにもこれを機に菅総理の総務省支配を打破しなければならないとの信念からだ。総務省は国民のものであり、一部政治家の「天領」などという私物化は許されない。

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