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- 2012年12月20日 00:00
2012 年総選挙と次期政権の行方
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総選挙公示日直後の本誌・前号では、「日本経済と総選挙の行方」と題して、景気の現状と総選挙後の政治日程についてまとめてみました。総選挙をいよいよ2日後に控えた本号では、昨今の有権者心理における変化の分析と、次期政権への若干のアドバイスを試みてみたいと思います。
蓋を開けてみないと分かりませんが、マスコミ各社の情勢分析を見る限り、与党・民主党の大敗と自公両党の躍進が濃厚です。若干フライング気味ではありますが、選挙が終わってから語るべき内容も含めて考えてみました。
盛り上がらない最大の理由は、明確な争点がないことであろう。思えば前回の2009年選挙は「政権交代」、2005年選挙は「郵政民営化」という鮮明なテーマがあった。対立の構図は鮮明であり、イエスかノーかの一点絞りであった。それだけにマスコミも取り上げやすかったし、おそらく有権者の意思決定も容易だったのだろう。
しかるにこれは前2回の総選挙が、イレギュラーなくらいの「劇場型選挙」であったことの反映であって、むしろ2012年選挙のように「争点が多くて絞れない」方が普通の状態だと考えるべきだろう。消費税増税の是非、原子力政策、TPP交渉、金融政策の在り方、社会保障政策の見直し、そして国際情勢と外交・安全保障政策の立て直しなど、語るべきテーマは枚挙に暇がない。
それでは政策をめぐって百家争鳴の状態になっているかというと、どうもそのようには見えない。政党が12もあると、討論会を行ってもさほど議論が深まることはなく、各政党がそれぞれの主張を「言いっ放し」して終わることが多い。そもそも政党が12もあるのは、有権者の多様なニーズに応じているからではなくて、単に政治家側の都合でそうなっているに過ぎない。選挙の直前になって政党が離合集散を模索するようでは、組織としての理念に疑念がもたれても仕方あるまい。
さらに言えば、政策の説明もご立派とは言い難い。毎回、マニフェストの診断を行っている言論NPOでは、主要5政党に対し100点満点で以下のように厳しい評価を与えている2。ちなみに言論NPOは、2009年選挙では民主党に「20点」をつけており、絶対評価で見るとこれでも改善していることになる3。
また、東京に居ると気づきにくい点として、「冬場の選挙は苦労が多い」という事情も重なっている。たまたま筆者は先週、青森県に出張する機会があったが、この季節の寒冷地では人を集めるのはもちろんのこと、ポスター1枚張るのも大変である。まして豪雪地帯では、まだ12月であるにもかかわらずまれに見る積雪量となっている。
過去に行われた冬の選挙と言えば、1990年2月の衆院選までさかのぼることになる(参院選はいつも7月だし、統一地方選はいつも4月である)。高齢化と地方の過疎化が進んだ今の日本では、「冬場の選挙はなるべくなら避けた方がいい」のではないだろうか。
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1 テレビ朝日系列「報道ステーションSUNDAY」の12月9日のこと。
2 http://mirai-sentaku.net/
3 代表の工藤泰志氏は、12 月 3 日テレビ東京『モーニングサテライト』において、「2009 年に民主党マ ニフェストに高い点をつけた人たちは、そのことをちゃんと検証してほしい」と言っていた。
蓋を開けてみないと分かりませんが、マスコミ各社の情勢分析を見る限り、与党・民主党の大敗と自公両党の躍進が濃厚です。若干フライング気味ではありますが、選挙が終わってから語るべき内容も含めて考えてみました。
●総選挙が盛り上がらない理由
投票日を2日後に控えて、何とも盛り上がらない選挙だと思う。選挙前、最後の日曜となった12月9日朝の報道番組を見ていると、冒頭から「浅田真央の復活劇」や「笹子トンネル事故」などのニュースが続き、30分過ぎからようやく選挙情勢ということになる1。実際のところ、「緊急討論会」などと称して12人もの党首がぞろぞろ出てくると、「これは半分仕事」と思っている筆者でさえ、チャンネルを替えてしまいたくなる。この調子では、投票率はあまり上がらないのではないだろうか。盛り上がらない最大の理由は、明確な争点がないことであろう。思えば前回の2009年選挙は「政権交代」、2005年選挙は「郵政民営化」という鮮明なテーマがあった。対立の構図は鮮明であり、イエスかノーかの一点絞りであった。それだけにマスコミも取り上げやすかったし、おそらく有権者の意思決定も容易だったのだろう。
しかるにこれは前2回の総選挙が、イレギュラーなくらいの「劇場型選挙」であったことの反映であって、むしろ2012年選挙のように「争点が多くて絞れない」方が普通の状態だと考えるべきだろう。消費税増税の是非、原子力政策、TPP交渉、金融政策の在り方、社会保障政策の見直し、そして国際情勢と外交・安全保障政策の立て直しなど、語るべきテーマは枚挙に暇がない。
それでは政策をめぐって百家争鳴の状態になっているかというと、どうもそのようには見えない。政党が12もあると、討論会を行ってもさほど議論が深まることはなく、各政党がそれぞれの主張を「言いっ放し」して終わることが多い。そもそも政党が12もあるのは、有権者の多様なニーズに応じているからではなくて、単に政治家側の都合でそうなっているに過ぎない。選挙の直前になって政党が離合集散を模索するようでは、組織としての理念に疑念がもたれても仕方あるまい。
さらに言えば、政策の説明もご立派とは言い難い。毎回、マニフェストの診断を行っている言論NPOでは、主要5政党に対し100点満点で以下のように厳しい評価を与えている2。ちなみに言論NPOは、2009年選挙では民主党に「20点」をつけており、絶対評価で見るとこれでも改善していることになる3。
| 民主党:32 点、自民党:39 点、公明党:28 点、未来の党:7 点、維新の会:16 点 |
また、東京に居ると気づきにくい点として、「冬場の選挙は苦労が多い」という事情も重なっている。たまたま筆者は先週、青森県に出張する機会があったが、この季節の寒冷地では人を集めるのはもちろんのこと、ポスター1枚張るのも大変である。まして豪雪地帯では、まだ12月であるにもかかわらずまれに見る積雪量となっている。
過去に行われた冬の選挙と言えば、1990年2月の衆院選までさかのぼることになる(参院選はいつも7月だし、統一地方選はいつも4月である)。高齢化と地方の過疎化が進んだ今の日本では、「冬場の選挙はなるべくなら避けた方がいい」のではないだろうか。
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1 テレビ朝日系列「報道ステーションSUNDAY」の12月9日のこと。
2 http://mirai-sentaku.net/
3 代表の工藤泰志氏は、12 月 3 日テレビ東京『モーニングサテライト』において、「2009 年に民主党マ ニフェストに高い点をつけた人たちは、そのことをちゃんと検証してほしい」と言っていた。
- 吉崎達彦(かんべえ)
- 双日総合研究所取締役副所長・同主任エコノミスト。



