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被害者と加害者の対話 あらわになる信教者の素顔と矛盾『AGANAI 地下鉄サリン事件と私』

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26年前、日本の中枢でオウム真理教が引き起こした国内初のバイオテロ、地下鉄サリン事件。本作は、この事件の被害者の1人で、猛毒サリンの後遺症に今も悩まされているさかはらあつし監督が、当時の教団幹部で後継団体の広報部長を務める荒木浩氏と対話を重ねるドキュメンタリー。

映画は、お互いの故郷や、2人の母校である京大とその周辺を散策しながら、事件、教団、幼少期について会話をめぐらせる、一種のロードムービーの様相を呈している。

ありえたはずの「友人」として

被害者と加害者(側)の対面なのだけれど、さかはら監督は決して荒木さんを真っ向から断罪しない。むしろ穏やかに、ひょうひょうとした関西弁で、荒木さんをリードして旅を進める姿が印象的だ。

映画では描かれていないが、荒木さんをこの企画に乗ってこさせるのは、たとえさかはらさんが「被害者」という立場を使ったとしても、困難があったはず。彼の属人的な魅力も、荒木さんが心を開くきっかけになったのではないだろうか。

一方、荒木さんも荒木さんで森達也監督の『A』のカメラが捉えていたころとは、かなり印象がちがう。マスコミや警察などと相まみえる外交部門の人間ということもあってか、『A』のころはもっと血気盛んで、喜怒哀楽はっきりしていた。しかし、今回は全体的に抑制的で、さかはら監督にも終始おだやかな口調で対応する印象。これが老成したということなのか、それとも20年超の年月で何か変化があったのか。

とくに序盤は、中年男性同士の穏やかな空気が続く。観ていると、この2人、もっと違う出会い方をしていたら本当の「友人」になれていたかもしれない、と悔やまれてくる。同じ京大卒だしね。

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