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横浜のタワマンで起きた射殺事件…大島てるが語る「惨劇が連鎖した“悲運の事故物件”」 事故物件の“特殊な数え方” #1 - 大島 てる

 私が運営している事故物件の情報サイト「大島てる」には、そこが事故物件であることを示す“炎アイコン”が無数にマッピングされています。

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 人口の多い街や、環境的に事件・事故が起こりやすい繁華街などには特に“炎”が密集していますが、「炎アイコン1つにつき、自殺や殺人などによる死者が1人いる」と捉えるのは、実は正しくありません。そこで、今回は少し独特な「事故物件の数え方」についてお話ししましょう。(全2回の1回目/後編に続く)

そもそも事故物件とは?

 そもそも不動産業者には「告知義務」というものが課されています。これは宅建業法で定められた義務の一つで、借り主(買い主)にとって心理的瑕疵となる事項がその物件にある場合、貸し主(売り主)は必ずそれを事前に告知しなければならない、というものです。

 この決まりがあるため、前の入居者がそこで自殺していたり、あるいはその部屋が殺人事件の現場になっていたとしたら、業者は契約が成立する前に、その旨を伝えなければなりません。しかし、なかにはそうした事実を隠して部屋を貸し出したり、売り出したりする酷い業者がいるため、その被害を防ぐために私は「大島てる」を作りました。

©iStock.com

 この部屋ではAさんが殺された、あの一軒家ではBさんが孤独死した……といった過去があれば、それらは紛れもなく事故物件です。ただ、ときには一つの死体が複数の事故物件を生み出すこともあるのです。

コインロッカーに捨てられた遺体

 たとえば、死体が移動した場合――。そうしたケースで特に印象深いのは、横浜のとあるマンションです。きっかけは、同じく横浜市内の駐車場に設置されていたコインロッカーから、赤ちゃんの遺体が発見されたことでした。

 見つけたのは、コインロッカーを管理する会社の社員でした。数日間使用中のままで、料金超過になっているボックスがあったため、扉を開け、中に入っていたバッグを回収。それを会社まで運んだところ、バッグから異臭が漂ってきたため、恐る恐る中身を確認すると……赤ちゃんの遺体が出てきたのです。

逮捕された犯人は……

 死体遺棄の犯人として逮捕されたのは、赤ちゃんの母親である20代の女でした。彼女は自宅でひっそりと出産するも、残念ながら死産だったそうです。

 しかし驚くべきは、同居していた家族の誰も、彼女が妊娠・出産していたことに全く気づかなかった、という点です。彼女もそのことをひた隠しにしていて、一旦は遺体を押し入れに隠したものの、やがて近くのコインロッカーに捨てにいった……というのが、事件の全貌でした。

 では、この事件における事故物件はどこになるでしょうか。まず、コインロッカーが設置されていた駐車場は、そこに遺体が遺棄されたわけですから、間違いなく事故物件です。一方、犯人の女が住んでいたマンションの部屋も、同様に事故物件と言えます。当初はその部屋の押し入れに遺体が隠されており、いわば死体遺棄事件のスタート地点だからです。

超高級タワマンで起きた“射殺事件”

 ちなみにこの事件では、私は犯人が住んでいたマンションの大家から訴えられてしまいました。「遺体が見つかったのは駐車場のコインロッカーなんだから、マンションは事故物件じゃない。だからサイトへの掲載をやめろ」という趣旨でしたが、結局、裁判では私の主張が認められ、今もそのマンションには炎アイコンがついています。

 それとは別に、横浜のタワーマンションで今から7年前に起きた射殺事件でも、一つの遺体が複数の事故物件を生んでしまいました。その物件は横浜駅の目の前に位置する、みなとみらいの夜景や東京湾を一望できる超高級マンションです。

父親を殺した20代の男

 射殺事件といっても暴力団の抗争などではなく、銃の所持許可を取得していた20代の男が散弾銃で父親を殺害したという、家庭内の事件でした。殺害後、男はネットで購入した棺桶に父親を入れ、母親とともに車で四国に移動。

 一方、すぐに事件の捜査を始めた警察は、香川県内の高速道路を走っている2人の車を発見し、追跡しました。結局、2人が高速道路を降りてコンビニの駐車場に車を停めたところで、警察は職務質問。そのまま逮捕となりました。

 このケースでも、父親が殺害されたタワーマンションの部屋と、遺体が発見されたコンビニの2つは、事故物件になってしまいました。

 ちなみに、移動中に通った道路は事故物件にならないのか、と思われる方もいるかもしれません。しかし、事故物件とはあくまで不動産取引における「心理的瑕疵」のある物件を指しているため、一般の不動産取引の対象とならない高速道路などは、そこでどんな残虐な殺人事件が起きようとも、事故物件にはならないのです。

「死体の移動」にまつわる不思議な話

 こうした「死体の移動」で不思議なのは、例えばAというマンションで殺害し、Bというマンションに遺体を隠す……といったとき、事件の詳細を追ってみると、なぜかAもBも同じ部屋番号であることが少なくない、ということです。

 これは私も納得のいく、合理的な説明を見つけられていないのですが、殺害現場と死体遺棄現場は別々のマンションなのになぜか部屋番号だけ全く同じ、といった事例はいくつもあります。単なる偶然にしては、確率が高すぎるように思えてならないのですが……。

 さて、ここまで「一つの遺体が複数の事故物件を生む」事例として、「死体の移動」についてお話ししてきました。次はもう一つのケース――しばしば“猟奇的”とも評されるバラバラ殺人事件にまつわる事故物件についてご紹介しましょう。

(後編に続く)

「西新宿で見つかった切断遺体。逮捕されたのは…」大島てるが教える“バラバラ殺人の事故物件” へ続く

(大島 てる)

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