記事
  • Miya

ルワンダはコンゴ反政府勢力(M23)を支援しているのか??

1/3
コンゴ民主共和国(以下「コンゴ」)では、2012年11月20日から12月1日にかけて、反政府勢力(M23)が東部の都市を占拠した。現時点では「嵐の前の静けさ」の状況にあるが、これから内戦に突入して多数の住民に死傷者がでる危険性がある。

日本のメディアはあまり報じていないが、欧米のメディアは5月頃から報道している。本件は次のような重要な問題を惹起している。
①政治的・軍事的な脆弱国において、国内紛争を回避するにはどうすべきか?
②一部の有識者は「ルワンダがコンゴの反政府勢力を支援している」と注意喚起しているが、安保理、当事国、国際社会はどのように対処すべきか?

ルワンダがコンゴの反政府勢力を支援しているのか否かの認定は、公平な立場にいる第三者が関係者の意見を聞き、事実確認をしなければならないほどの難しい問題である。このブログでは、有識者とルワンダ政府の両方の意見を紹介し、ネットに掲載されている第一次資料のURLを紹介する。

ルワンダに対する援助を凍結するか否かで、英国の「国際開発省」と「下院国際開発委員会」が議論しているが、日本の政治システムを改善するために参考になるはずである。多くの衆議院選挙の立候補者は「官僚支配を打破する」と主張していたが、そのヒントを得られるはずである。

【 ニュース 】

英国、ルワンダへの資金援助を凍結へ [1]2012.12.01 (CNN) 
英国は、アフリカ中部ルワンダ共和国が隣のコンゴ(旧ザイール)の反政府武装勢力を支援しているとして、ルワンダへの資金援助の凍結を決めた。英閣僚が30日に明らかにした。英国は12月に、ルワンダに総額2100万ポンド(約28億円)の資金援助を予定していた。
コンゴの反政府武装組織M23は10日前、数日間に及ぶ政府軍との激しい戦闘の後にコンゴ東部の都市ゴマを制圧。その後、アフリカ連合(AU)や周辺諸国の首脳はM23をゴマから撤退させる計画を練り、M23も撤退を示唆していたが、30日になってもゴマにとどまっていた。
英国のグリーニング国際開発相は、「ルワンダがM23に関与しているとの信頼性のある複数の報告があり、英政府は懸念を示してきた」とし、さらに「われわれは、この地域の紛争の持続的な解決策を模索しており、コンゴ東部の状況を打開するための平和的解決策を確保すべくルワンダ、コンゴ両政府と連携していく」と述べた。

国連や多くの援助国は、ルワンダが武器や兵士の供給を通じてM23を支援していると非難してきたが、ルワンダのカガメ大統領はこの疑惑を繰り返し否定してきた。

ルワンダのムシキワボ外相は今回の英国の措置について遺憾の意を示した。

外相は「英国の(援助凍結の)決定は誤った疑惑に基づいている。われわれは半年前からこの疑惑が誤りだと指摘してきた」とし、さらに「援助を政治目的に利用すべきではない。コンゴの平和はルワンダに依存していない。英国の措置は逆効果だ」と付け加えた。
【 解説 】

1.コンゴ東部の現状


M23を説明するには、本来であれば少なくとも1990年代まで遡らないといけないが、ここでは直近の事情を説明する。ただ、植民地の傷跡、多数の部族の存在と部族間の怨念、豊富な資源の存在、腐敗・独裁・民主主義が欠如しており、コンゴ内戦では 540万人以上、ルワンダ虐殺では 80万人以上が死亡している---という歴史があることを、覚えておく必要がある。(簡単だが、図1に、コンゴとルワンダの「相関図」を描いた。)

(1) M23の構成員

2006年12月、CNDP(人民防衛国民会議)という反政府勢力(ツチ族)が ヌクンダ(Nkunda)将軍により組織された。2009年1月、ヌクンダ将軍がルワンダに拘束された後は、ンタガンダ(Ntaganda)将軍が代表となった。同年3月、カビラ(Kabila)大統領は融和政策をとり、CNDPとの間に「3月23日合意」が結ばれ、CNDPはコンゴ国軍に合流した[2]。だだし、実際には、国軍はCNDPを同化・統合できずにおり、実質的に2つの軍隊が存在していた。

なお、ンタガンダ将軍は、2006年以降2回にわたり国際刑事裁判所により逮捕状が出されている人物であるが、カビラ大統領は「正義より平和」という理由で彼を保護していた。しかし、国際社会の圧力などがあり、2012年4月、カビラ大統領がンタガンダ将軍を逮捕する可能性があると発表した。

2012年4月、元CNDPの兵士は国軍を離脱し、自らの組織を「March 23」(M23)と名乗った。3月23日の合意内容が満たされていないという不満、そして、ンタガンダ将軍を守ることなどが主な理由だと言われている。

当初のM23の人数は300名で、軍のリーダーはマケンガ(Sultani Makenga)将軍、軍以外のリーダーはルニガ司教(Bishop Jean-Marie Runiga Lugerero)である。

図1:コンゴの軍と反政府勢力の相関図

リンク先を見る

(2) M23の勢力拡大

2012年5月になると、人権NGO団体、米国国務省、安保理などが注目し、警告を発するようになった。2012年5月、BBCは国連の内部資料に基づき、ルワンダがM23を支援していると報道した。[3]

M23は勢力範囲を広げるに伴い(図2 参照)、住民が避難した。現在では50万人以上とも推定されている[4]。そして、2012年11月20日、東部の都市ゴマ(Goma)を制圧した。

ルワンダとウガンダの仲介があり、12月1日にM23はゴマから20Km程度離れた場所に移動して、現在待機中である。最新の報道では、コンゴ政府はM23と交渉する用意があると発表した。もし交渉が決裂して内戦になった場合、M23が使える武器・弾薬が問題になるが、ゴマを占拠した際にM23兵士の一人が「ゴマだけで、我々は500トンの武器を手に入れた。ミサイル、武器、戦車さえ手に入れた。」と発言している。[5]

図2: M23の勢力範囲(2012年6月と9月)

リンク先を見る

2.国連専門家グループの主張

コンゴ内戦を再発させないために、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)が派遣されている。武装勢力への武器禁輸を強化するために、専門家グループ(Group of Experts)が設置され、年に2~3のレポートが安保理・制裁委員会に提出されている。レポートには、5~6名の専門家の名前が列挙されている。

(1) 専門家グループの主張

・ルワンダ国軍(RDF)が訓練した兵士がM23に入隊している。
・ルワンダはM23に武器・弾薬を供給している。
・M23を支援している中心人物(准将)はGisenyi(コンゴとの国境に近いKivu湖畔の町)に滞在しており、M23はGisenyiからBakavu(コンゴ)に船で移動している。
・コンゴのビジネスマンがルワンダを訪問し、M23への資金援助について話し合った。
・ルワンダ防衛省の将軍が資金、後方支援をしている。
・Bosco Ntaganda将軍は、ルワンダで家を所有している、など。

(2) 専門家グループによるレポート一覧[6]

 ①安保理が公開しているもの
2012年6月21日付「中間報告書」(137頁)
2012年6月27日付「中間報告書の添付資料」(48頁)
2012年11月15日付「最終報告書」(204頁)
 ②現在のところ未公開のもの
2012年11月26日付レター (16頁)
 ③米国上院外交委員会が公開しているもの
2012年12月11日 Steven Hegeの証言 (11頁)

あわせて読みたい

「ルワンダ」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    <止まない炎上>小室禍と東京五輪エンブレム騒動の類似点

    メディアゴン

    05月08日 08:13

  2. 2

    ネット署名 『人々の夢と希望をつなぐため、東京五輪の開催を支持します』立ち上がる

    和田政宗

    05月08日 21:34

  3. 3

    コロナワクチン打てば大丈夫?専門家すら反応を示さない風潮に疑問

    自由人

    05月08日 09:08

  4. 4

    菅さんじゃ駄目だとなっても、安倍さんがいいということには絶対にならないし、そうさせてもいけない

    早川忠孝

    05月08日 08:26

  5. 5

    出口治明さんが語る「35年ローン」で家を買ってはいけない理由

    幻冬舎plus

    05月07日 09:04

  6. 6

    コロナ対策で目立つ責任回避「国全体が緩んでいるようで不安」

    深谷隆司

    05月08日 17:31

  7. 7

    菅首相は何度同じ失敗を繰り返すのか

    鈴木しんじ

    05月08日 20:51

  8. 8

    「ダブルスタンダードになる」国民投票法改正案可決で立民が見せた“国対政治”に苦言

    BLOGOS しらべる部

    05月08日 08:03

  9. 9

    「鬼滅の刃=Demon Slayer」米国では炭治郎の耳飾り“旭日旗”問題は?

    文春オンライン

    05月08日 14:48

  10. 10

    撤退する飲食店、益々予約が取れなくなる飲食店

    内藤忍

    05月08日 11:38

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。