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「世界56位」日本が幸福度ランキングで毎年惨敗する根本原因

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国連が3月19日に発表した「世界幸福度ランキング」2021年版では、フィンランドが4年連続で1位となり、2位デンマーク、3位スイス、4位アイスランド、5位オランダと続いた。日本は前年から4つ順位を上げたものの56位にとどまった。『99.9%は幸せの素人』(KADOKAWA、前野隆司慶應義塾大学教授との共著)を著した作家の星渉氏は、「世界と広がる幸福度格差には、コロナよりももっと別の要因が影響している」と指摘する──。

「幸福度」へのコロナの影響は限定的だった?

国連が世界各国の幸福度のランキングを示した「World Happiness Report 2021」を3月19日に発表しました。日本は前年から4つ順位を上げたものの56位。首位は4年連続でフィンランドとなりました。

今回注目すべき点は、報告書の著者の1人、ジョン・ヘリウェル氏が「驚くべきことに、各国の人が自分の生活について評価した結果、平均としては幸福度が低下していなかった」と述べている点でしょう。

友人グループがそろってサムズアップ
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Delmaine Donson

新型コロナウイルス感染症により、多くの人が日常生活にさまざまな制約を強いられてきました。そのため、「幸福度は下がるのではないか」と広く予想された中で、これは意外な指摘であると受け止められました。

報告では、新型コロナウイルスが人々の幸福度に対し、思ったほど大きな影響を与えなかった理由として、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全員に影響する共通の外的脅威だと大勢が見なし、それにより連帯感や仲間意識が高まったことが、理由の1つと考えられる」と指摘しています。

新型コロナで連帯感、人々のつながりが向上した上位国

これは、4年連続首位となったフィンランドを分析してみるとよくわかります。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、人口5500万人のフィンランドは新型コロナウイルス感染症による死者数は805人と、欧州諸国の大半の半分以下に抑え込むことができています(日本の死者数は8869人=3月22日現在)。

「World Happiness Report 2021」では、フィンランドは「パンデミックの最中、人命と生活を守るのに役立つ、他者との相互の信頼関係に関する複数の指標で非常に高い順位を示した」と指摘しています。ここから、新型コロナウイルスの幸福度への悪影響より、コロナ禍(か)で得た「他者との連帯感や仲間意識、つながり」のほうが、幸福度に大きなプラスの影響を与えたと理解できます。

2021年世界幸福度ランキングTOP10
1位 フィンランド
2位 デンマーク
3位 スイス
4位 アイスランド
5位 オランダ
6位 ノルウェー
7位 スウェーデン
8位 ルクセンブルク
9位 ニュージーランド
10位 オーストリア

「自由度」と「寛容さ」が足を引っ張る日本

「World Happiness Report 2021」による世界幸福度ランキングは、主に次の6つの項目のアンケート調査を中心に選出されています。

1.人口あたりGDP
2.社会的支援(ソーシャルサポート、困ったときに頼ることができる人がいるか)
3.健康寿命
4.人生の選択の自由度
5.寛容(かんよう)さ(過去1カ月の間にチャリティーなど寄付をしたかなど)
6.腐敗の認識(不満、悲しみ、怒りの少なさ、社会、政府の腐敗が蔓延(まんえん)していないか)

上位10カ国のうち9カ国が欧州であることから、調査項目の特性、文化的背景や国家の性格など欧州の国が上位に入りやすい傾向があるとの指摘もあります。また、たとえば日本人はアンケート調査で自己評価を低めに申告しがちで、この世界幸福度ランキングがどこまで正確なのか議論の余地もあります。

その中でも確実にいえることがあります。私たちの幸福度には、人生で何をするかを選択できる「自由度」と、相手を受け入れて人とのつながりを作る「寛容さ」が影響する──これは、心理学や幸福学などのさまざまな研究から間違いないところです。

「World Happiness Report 2021」の調査で、日本は調査6項目のうち、その「自由度」と「寛容さ」が上位10カ国と比べ低いことがわかりました。

日本が世界と幸福度格差を埋めるためのポイントは、「自由度」と「寛容さ」にあると科学的にもいえるでしょう。

「選択できる実感」と「人とのつながり」が人の幸福度を高める

昨今、日本では度々「女性を軽視する発言」や「女性の社会活躍」が課題として取り上げられています。また、貧富の格差から学業や就業において選択の幅が限られるなどの現象も起きています。「人生で選択できる自由度」は、世界と比較するとまだまだ低いことがうかがえます。

科学的にも、「人は『自分で選ぶことができている』と実感すると幸福度が高まる」ことがわかっていますから、この部分が世界との幸福度格差を埋めるうえで日本の課題であることは間違いないところでしょう。

また、75年という長期にわたり「人の幸福度」について研究した「ハーバードメン研究」(ハーバード大学)では、人の幸福度に最も影響を与えるのは「温かな人間関係である」と結論づけています。

この研究では、被験者268人を75年間追跡調査して、幸福度が高かった上位10%と、そうではない下位10%を比較しました。その結果、明らかになった両者の最大の違いが「温かい人間関係」を人生で築くことができたかどうかだったのです。

さらに「温かい人間関係を築くことができた」トップ10%の人は、下位10%の人と比較して専門分野で成功した人が3倍多く、年収も高いという結果も出ています(『99.9%は幸せの素人』より)。

温かな人間関係を築くうえで必要となるのが、自分と意見が違う人たち、立場が異なる人たちの意見を聞き、どれだけ理解を示すことができるかという「寛容さ」です。

今回の調査においてこの数値が低かった日本は、科学的な知見からも、世界との幸福度格差を解消していくうえでも、そして、日本人の幸福度そのものを高めるうえでも、「他人への寛容さ」が社会の課題であるといえるでしょう。

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