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- 2021年03月25日 20:14
「路上生活者を襲撃する若者をどう思いますか」―中学生たちからビッグイシュー販売者へ率直な質問の数々。南アルプス子どもの村中学校へのオンライン講義レポート
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岐阜市の河川敷にいたホームレスの男性が、少年らによって襲撃され死亡した事件から約1年が経つ。この事件に限らず、「ホームレスだから」という理由にならない理由で襲撃される路上生活者は後を絶たない。路上生活者の約4割が襲撃を受けた経験があり、襲撃者(加害者)の38%は子ども・若者という調査もある。
(*2014年自立生活サポートセンターもやいの調査より)

そういった話を聞いて「なんともひどい話だ」という感想を持つことはあっても、原因を探ったり、自分にできることを探ししたりなどのアクションは非常に少ない。
ただ山梨のある中学生は、「なぜ、そんなことを?」と衝撃を受けた。
「自己決定」「個性尊重」「体験学習」を3大原則としており、宿題やテスト、さらには「先生」と呼ばれる大人もいない学校である。子どもは小学校から自分のしたい活動を自分でよく考えて、その年所属するクラスを決める。
そんな教育を受けてきた中学生が、図書コーナーにあった「ビッグイシュー」に興味を持った。どんな人たちが何を思ってこの事業をしているのか、販売者はどんな人なのかを知りたいと、生徒たちだけで企画し、ビッグイシュー日本に講義を依頼。
そして3月のある日、南アルプス子どもの村中学校へのビッグイシュー日本のオンライン講義が実現。中学生への授業としては異例の約2時間の講義となった。

小学生のうちはやんちゃで明るかった佐藤さんだが、やがて両親が不仲となりふさぎ込むようになる。すっかり人と話すことが苦手になってしまった佐藤さんは、高校卒業後、就職するも人間関係をうまく構築できず、職を転々とする。そんな佐藤さんを父親は責め続け、家を出ることに。
以降なかなか仕事に就けず、住む場所もなく、公衆トイレで身を休める毎日。しばらくして支援団体と繋がり、遠く離れた香川での仕事を紹介される。行ってみるとそこは強面の男たちの集まる荒々しい現場。ただでさえ人付き合いが苦手な佐藤さんはたまらず辞めてしまい、大阪へ。頼る人もなく歩き回り、野宿生活をするうちにビッグイシューと繋がった…。
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そんな講義と体験談を受け、質疑応答の時間に入る。
生徒たちは事前に多くの書籍を読み込んだり、支援者に話を聞いたりしているからか、他の学校でよく聞かれるような質問は少ない。ホームレス問題・格差問題の核心を突く質問が生徒はもちろん、同席した大人からも飛び出した。
僕自身、襲撃を受けたことがあります。公園で。夜、寝袋で寝ていたら物音がして、いきなり頭を殴られた。周囲の人も血まみれになっていて、怒って怒鳴ったら逃げていきました。5~6人くらいの中学生でした。
どう思うか…? 「それをやって何か得があるのか?」「なんでそんなことをするのか?」「そんなことが楽しいんだとしたら、何のために学校に行ってるのか?」「ほかにエネルギーを使えないのか?」とかですかね…。
その子らなりに理由はあるんだろうけど、怒りは感じてます。
戻れるんなら幼少期まで戻りたい。ただ平穏でいられた頃に戻りたいです。 やり直して叶えたい夢があるわけではないけれど、60歳になっても、70歳になっても働いていたいとは思います。
自分自身、(先輩の路上生活者の方々に)いろんな人にいろんなアドバイスをしてもらいました。仕事も大事だけど、まずは食べないといけないので、最初は炊き出しの場所を教えるかな。
A:(吉田)
ビッグイシュー基金では、「路上脱出生活SOSガイド」という冊子を配布しています。こちらを案内することが多いですね。 https://bigissue.or.jp/action/guide/
田舎にいたときにはみんな同じような感じで気づかなかったけれど、大阪に来て、たくさんの人がいて。
路上で販売していると、いろんな人がいるってことがわかるようになりました。 自分だけがつらいと思っていたけど、ビッグイシューを買ってくれる人の中にもしんどい人っていうのはいて、話してみるとわかることもある。それぞれにみんな大変なことってあるんだな、と思えたことかな。
(生徒)
わかります。僕も初めてビッグイシューを買ったとき、おばあちゃんが入院して手術するというときだったので、とても心配でつらい気持ちだったのを思い出しました。
困るのは、身分証を全てなくしてしまうと、再発行したくても「身分証が必要」と言われることですね。自分を証明できるものがないと、銀行口座なども作れないですし、支援を受けにくい。
ありがたいシステムというところでは、生活保護を受けていなくても、大阪では「無料低額診療」というシステムがあって、ホームレスの方でも医療を受けることができる仕組みがあります。これはよいシステムですね。
仕事ができるのに仕事を失う人がたくさんいるので、その人たちが仕事をすることができればいいのにって思います。あとは、誰でも気兼ねなく利用できる場所が、気軽に行ける距離にたくさんあればいいのになと思います。
(*2014年自立生活サポートセンターもやいの調査より)

ただ山梨のある中学生は、「なぜ、そんなことを?」と衝撃を受けた。
中学生がビッグイシューに講義を依頼
彼の通う「南アルプス子どもの村中学校」は、『ビッグイシュー日本版』201号(SOLD OUT) の特集「生きる喜び あふれる学校」で取り上げた和歌山県「きのくに子どもの村学園」の姉妹校。「自己決定」「個性尊重」「体験学習」を3大原則としており、宿題やテスト、さらには「先生」と呼ばれる大人もいない学校である。子どもは小学校から自分のしたい活動を自分でよく考えて、その年所属するクラスを決める。
そんな教育を受けてきた中学生が、図書コーナーにあった「ビッグイシュー」に興味を持った。どんな人たちが何を思ってこの事業をしているのか、販売者はどんな人なのかを知りたいと、生徒たちだけで企画し、ビッグイシュー日本に講義を依頼。
そして3月のある日、南アルプス子どもの村中学校へのビッグイシュー日本のオンライン講義が実現。中学生への授業としては異例の約2時間の講義となった。

ビッグイシュー販売者・佐藤さんのこれまでの人生
ビッグイシュー日本スタッフである吉田から、ビッグイシューの成り立ちや仕組みについての講義*をしたのち、大阪・天王寺でビッグイシューを販売している佐藤さんが生い立ちから現在までを語る。小学生のうちはやんちゃで明るかった佐藤さんだが、やがて両親が不仲となりふさぎ込むようになる。すっかり人と話すことが苦手になってしまった佐藤さんは、高校卒業後、就職するも人間関係をうまく構築できず、職を転々とする。そんな佐藤さんを父親は責め続け、家を出ることに。
以降なかなか仕事に就けず、住む場所もなく、公衆トイレで身を休める毎日。しばらくして支援団体と繋がり、遠く離れた香川での仕事を紹介される。行ってみるとそこは強面の男たちの集まる荒々しい現場。ただでさえ人付き合いが苦手な佐藤さんはたまらず辞めてしまい、大阪へ。頼る人もなく歩き回り、野宿生活をするうちにビッグイシューと繋がった…。
**
そんな講義と体験談を受け、質疑応答の時間に入る。
生徒たちは事前に多くの書籍を読み込んだり、支援者に話を聞いたりしているからか、他の学校でよく聞かれるような質問は少ない。ホームレス問題・格差問題の核心を突く質問が生徒はもちろん、同席した大人からも飛び出した。
Q:ホームレスの人たちを襲撃する中学生をどう思うか
A:(佐藤)僕自身、襲撃を受けたことがあります。公園で。夜、寝袋で寝ていたら物音がして、いきなり頭を殴られた。周囲の人も血まみれになっていて、怒って怒鳴ったら逃げていきました。5~6人くらいの中学生でした。
どう思うか…? 「それをやって何か得があるのか?」「なんでそんなことをするのか?」「そんなことが楽しいんだとしたら、何のために学校に行ってるのか?」「ほかにエネルギーを使えないのか?」とかですかね…。
その子らなりに理由はあるんだろうけど、怒りは感じてます。
Q:人生をやり直せるなら、やり直したいですか。その場合、どこまでさかのぼりたいですか
A:(佐藤)戻れるんなら幼少期まで戻りたい。ただ平穏でいられた頃に戻りたいです。 やり直して叶えたい夢があるわけではないけれど、60歳になっても、70歳になっても働いていたいとは思います。
Q:私たちが今日からホームレスになったなら、どんなアドバイスをしますか
A:(佐藤)自分自身、(先輩の路上生活者の方々に)いろんな人にいろんなアドバイスをしてもらいました。仕事も大事だけど、まずは食べないといけないので、最初は炊き出しの場所を教えるかな。
A:(吉田)
ビッグイシュー基金では、「路上脱出生活SOSガイド」という冊子を配布しています。こちらを案内することが多いですね。 https://bigissue.or.jp/action/guide/
Q:ホームレス状態になったからこそ感じられるということはありますか
A:(佐藤)田舎にいたときにはみんな同じような感じで気づかなかったけれど、大阪に来て、たくさんの人がいて。
路上で販売していると、いろんな人がいるってことがわかるようになりました。 自分だけがつらいと思っていたけど、ビッグイシューを買ってくれる人の中にもしんどい人っていうのはいて、話してみるとわかることもある。それぞれにみんな大変なことってあるんだな、と思えたことかな。
(生徒)
わかります。僕も初めてビッグイシューを買ったとき、おばあちゃんが入院して手術するというときだったので、とても心配でつらい気持ちだったのを思い出しました。
Q:ホームレス状態の人にとって、ありがたいシステムや困るシステムはありますか
A:(吉田)困るのは、身分証を全てなくしてしまうと、再発行したくても「身分証が必要」と言われることですね。自分を証明できるものがないと、銀行口座なども作れないですし、支援を受けにくい。
ありがたいシステムというところでは、生活保護を受けていなくても、大阪では「無料低額診療」というシステムがあって、ホームレスの方でも医療を受けることができる仕組みがあります。これはよいシステムですね。
Q:こんな助けがあればいいのに、というものはありますか
A:(佐藤)仕事ができるのに仕事を失う人がたくさんいるので、その人たちが仕事をすることができればいいのにって思います。あとは、誰でも気兼ねなく利用できる場所が、気軽に行ける距離にたくさんあればいいのになと思います。
- ビッグイシュー・オンライン
- ホームレスが売る雑誌「ビッグイシュー日本版」



