■メンバーシップ・ホールセール・クラブのコストコが今年1月からパンデミックの影響でカーブサイド・ピックアップ・サービスのテストを開始している。
店の駐車場にてネット経由で注文した商品をスタッフから受け取るサービスは他のコストコにも波及しそうだ。
コストコCFOのリチャード・ギャランティ氏が直近の決算発表でクリック&コレクトの試験運用が好調であることを明かしたのだ。
ギャランティ氏は「テストは上手くいっています。会員からも評判で客単価は私達の予想を超えたものになっています」と語った。
ニューメキシコ州アルバカーキ地区にあるコストコの3店舗で行っているカーブサイド・ピックアップは会員限定でオンデマンド買物代行&宅配サービスのインスタカートと提携したもの。
宅配サービスと同様にコストコはアプリなど、インスタカートの注文システムを利用しているものの店内での注文品のピッキングから受け渡しまでコストコのスタッフが行う。
カーブサイド・ピックアップの対象品は生鮮品を含む食品から日用品など約2,000アイテム。手数料は10ドルで100ドル以上の注文が必要となっている。
価格については基本的に店頭価格と同じとしながらも注文時に変動する可能性を示唆している。
専用駐車スペースでの受け取り予約枠は1時間毎となっており、この予約枠がいっぱいでなければ当日でもピックアップは可能だ。
なおコストコではハワイなどの一部の州を除き、インスタカートと提携した当日宅配サービスをすでに行っている。
非会員でも利用できる当日宅配は10ドル以上の手数料にチップが必要で、商品価格についても22%以上マークアップされている。
調査ではコストコで大人気のロティサリーチキンが店で4.99ドルだが、インスタカートの宅配サービスの価格は6.09ドルと22%のマークアップだった。
カークランド・シグネチャー・ホモジナイズド・ミルク(2ガロン)は店頭価格は5.19ドルだが、インスタカート価格は6.39ドルと23.1%のマークアップ。
2ダースの卵は店で3.69ドル、インスタカートは4.59ドルと24.4%のマークアップだ。
コストコでは定番商品となっているカークランドのベーコンは店で10.49ドルだが、インスタカートでは14.09ドルと34.3%のマークアップとなっている。
18オンス(540グラム)のブラックベリーは店で3.69ドルだがインスタカートでは5.89ドルと59.6%もマークアップされている。
さらにゴールドキウイは店で5.19ドルだがインスタカートでは8.59ドルとなんと65.6%のマークアップ率になっていた。
マークアップされているもののインスタカートを利用した宅配サービスではコストコ会員でなくても買い物ができるメリットは大きい。
コストコ年会費60ドルを払うこともなく利用でき、チップをはずめば重いものやかさばるものはキッチンまで運んでもらうことも可能だ。
一方、コストコのカーブサイド・ピックアップについては会員にとって賛否があるようだ。年会費を支払っている上に1回10ドルの手数料が高いと考える会員がいる。
逆にコストコ店内で買い物をすると衝動買いなど余計なものを購入しがちがカーブサイド・ピックアップのほうが節約できるとの向きもあるのだ。
コストコは実際、トレジャー・ハンティング戦略で客単価を上げるように工夫している。
掘り出しモノと訳されるトレジャーハンティングは、その場で買わなければ2度と低価格で購入できない「数量限定」の戦略。
通常のスーパーで提供されているショッピングカートより一回り大きいコストコのショッピングカートにも心理的な作用がある。大きいショッピングカートのほうが、買い物を多くしてしまう心理傾向があるからだ。
店内に入らず買い物ができるカーブサイド・ピックアップは、トレジャー・ハンティングやカートサイズの影響は受けないもののコストコの予想に反して客単価を伸ばしていた。
ネットスーパーに比較的、消極的だったコストコは意外に早くカーブサイド・ピックアップを拡大する可能性がでてきたのだ。
競合のサムズクラブではすでに大人気となっているカーブサイド・ピックアップはニューノーマルになっており、コストコも追随せざる得ないということになる。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当ブログで紹介したアメリカの流通用語は日本でも浸透していきます。グローサラントやボピス、モバイルオーダー、ダークストア、そしてカーブサイド・ピックアップ。7〜8年前、グローサラントと検索しても当ブログが上位にくるどころか、検索結果に上がってくるのは当ブログだけでした。ボピスもモバイルオーダーも同じですね。
今では多くの日本人流通ビジネスマンが知ることになったカーブサイド・ピックアップもこのワードを使っていたのは当ブログだけでした。なぜ日本でもそのまま浸透する英語(カタカナ)を使えるかというと便利だからです。利用者にとって大きなメリットがあるから、日本でも普及するだろうと使っているのです。お陰様で日経トレンディが毎年、発表している「ヒット商品ベスト30」にグローサラントとモバイルオーダーが入りました。アメリカ小売業はカスタマーファーストが徹底しています。米国で顧客から支持されたサービスは、日本人は抗えないのです。
かつてコストコが日本に初上陸した際、創業者のジム・シネガル氏は「日本人は太るよ」とささやきました。アメリカ人ほど見た目で「肥えたな」とは見えませんが(笑)、カーブサイド・ピックアップがそのワードとともに上陸すれば「足腰は弱くなるよ」とは言えるかも...
記事
- 2021年03月25日 09:14
【コストコ】、テスト中のカーブサイド・ピックアップが好調!日本にワードも上陸する?
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