
■規制をなるべく少なくする
通知は、3月12日付けで、各教育委員会あて。主に規制をなるべく少なくすることで利活用をすることを求めている。そのなかでも、以下の指摘は理解できるものだ。
〇現在、一部の地方自治体等においては関係者に適切な理由などについての十分な説明がなされないまま上記のような学習用ツールを一部使用でないよう制限するといった事例が発生しているとの指摘がある。
GIGA スクール構想の趣旨を踏まえれば、こうした制限は安易に行うものではなく、真に必要な場合にのみ行うべきであって、むしろ、多くの課題については、1人1台端末を積極的に利活用する中で解決を図ることこそが重要と考えられる。
以上も踏まえ、地方自治体など学校設置者等におかれては、適切な理由を説明しないままに端末利用を制限するのではなく、課題等がある場合には、学校現場をはじめとする関係者との緊密な調整・協議を行ったり、保護者の理解等を得る努力を丁寧に行ったりした上で、児童生徒の発達段階や実情を踏まえながら、学校におけるICT 環境を最大限積極的に活用していくよう留意すること。
つまり、よく分からないから規制する、使えないようにすれば責任を負わなくていいといった消極的な対応、ICT機器をよく分からない“大人”の“事なかれ主義”でせっかくのチャンスを失わないようにすべきで、この内容は理解できる内容だ。なにせ、諸外国に20年は遅れているICT機器の利用状況であることを十分に認識することが前提にはあるからだ。
加えて、情報モラル教育等の充実と目の健康への配慮も求めている。当然といえば当然のことだ。
■チェックリスト
通知には、「1人1台端末の運用を円滑に行っていただくために学校設置者等に求められるタスクの整理ができるよう、チェックリストを用意しました。1人1台端末の本格運用に向けてご活用ください」と書かれている。画像がそのチェックリストだ。「管理・運用の基本」、「クラウド利用」、「ICT の活用」、「研修・周知」、「組織・支援体制」のポイントについて確認しておくこととされている。
それぞれ重要な内容で、各自治体はどうなっているか。議会によるチェックも今後必要になりそうだ。
その中でも特に注目したいのは、(B)クラウド利用と(C)ICT の活用ではないだろうか。以下がそのチェックリストだ。

▼クラウド利用
①クラウドサービスを利用する計画になっているか
(教師・児童生徒等でのファイルの共有、共同作業、システム管理の省力化等を行う等)
② セキュリティポリシーや個人情報の取扱いなどが、クラウドサービスの利用に適したものになっているか
(セキュリティポリシー改訂の必要性の検討、個人情報保護審議会との調整 等)
③ 1人1アカウント(ID)の命名規則を定め、発行し、パスワードとともに児童生徒に配付しているか
(低学年でも入力可能な命名規則になっているか、アカウント用個人カードの作成等)
④ アカウント(ID)の意味と活用方法、注意点を、教職員・保護者・児童生徒にわかりやすく示しているか
(アカウント用個人カードに注意点を記載する、アカウント配布時の説明資料の用意等)
⑤ セキュリティ機器や無線アクセスポイントなどのネットワーク機器を、端末の円滑な活用を妨げることがないように導入・設定しているか
(アクセスポイントが多数の端末が接続できる機器や設定になっているかの確認、校内無線LAN の接続状況(電波干渉の有無など)の確認 等)
⑥ 複数クラスの児童生徒が同時活用しても、学校からインターネットへの接続に支障はないか
▼ICT の活用
① 将来的なICT の活用イメージを教職員に示しているか
(教科等横断的な情報活用能力の育成、各教科等での活用のイメージ等)
② 活用初期段階での具体的な活用事例を、教職員に示しているか
(朝の会・休み時間・放課後など、授業時間外での活用も含む)
③ ネットワーク等の特性を理解し、危険な行動、他人に迷惑をかける行動をしないよう児童生徒に注意を促す機会を設けているか
(情報モラル教育の充実 等)
④ 連絡手段や健康観察、相談窓口としての利用など、1人1台の有効性を踏まえた多様な活用方法を推進しているか
(授業時間外での活用、セーフティーネットとしての活用 等)
⑤ 簡易な端末利用ガイドや活用支援に関するウェブサイト、詳細なマニュアルが、必要なときに参照できるように整備しているか
(教職員、保護者のみならず、児童生徒自身が使い方を学ぶことができる手立てがとられていることも重要)
⑥ 不測の事態の発生時においても授業への影響を最小限にするために、対応策を想定しておくことが教職員に共有されているか
(一部の端末が使えなくなった場合の予備機の貸出し手順、クラウドやネットワーク障害が生じた場合の問合せ先や対処の手順を教職員にわかるように示してあるか等)
⑦ ICT を活用した学びの幅を制限することなく、さらに、安心・安全が確保できるように機能制限やフィルタリングなどの手段を適切に講じているか
(標準仕様書の内容を基本とした、クラウドサービスを活用できる設定であるか等)
⑧ 児童生徒の健康面に配慮した活用方針を定め、教職員・保護者・児童生徒にわかりやすく示しているか
(目と端末の距離を30cm 以上離すこと、30 分に1 回は20 秒以上目を休めること、就寝1 時間前からはICT 機器の利用を控えること等)
⑨ ICT の活用により著作物の公衆送信(インターネットを介した送信等)を行うにあたり適用される授業目的公衆送信補償金制度など著作権処理への対応はされているか
⑩ 1人1台端末の活用に向けて、十分な電源容量を確保しているか
(輪番充電(時間差をおいて充電する仕組み)なども含む) □
⑪ 端末の活用に特別な支援が必要な児童生徒への支援機器を整備しているか
(音声入力装置、ボタンマウス等の支援機器)
■武蔵野市は?
武蔵野市の状況は、令和3年度予算特別委員会で、やぶはら太郎議員が質問したところ、ほぼクリアしているとの答弁があった。ほぼ、が気になるが、武蔵野市の状況とは適合しない内容なので、運用面では問題とはならないとの説明だった。
【参考】
文部科学省 GIGAスクール構想の実現について
(通知)GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について(令和3年3月12日)