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小池百合子都知事の作業着姿は「日本初の女性首相」への布石である

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ここにきて小池百合子東京都知事のメディア露出が増えている。ライター・編集者の中川淳一郎さんは「小池氏の『風を読む力』は卓越している。発言や態度、服装は周到に計算されている。この先も世間は『小池劇場』に踊らされることになるだろう」と指摘する──。

東京都の新型コロナウイルス感染症対策本部会議後、報道陣の取材に応じる小池百合子都知事=2020年12月2日、東京都新宿区の東京都庁東京都の新型コロナウイルス感染症対策本部会議後、報道陣の取材に応じる小池百合子都知事=2020年12月2日、東京都新宿区の東京都庁 - 写真=時事通信フォト

小池都知事は「風を読む」達人

小池百合子・東京都知事の“風を読む力”はたいしたもんだ、と日々舌を巻いている。2021年3月18日、菅政権が「3月21日で緊急事態宣言を解除する」と発表する直前のタイミングで、都庁職員に「第4波の感染の波が来たと見られる」(日本テレビの報道)と言わせたのだ。

このニュースを目にしたとき「やるなぁ、小池さん」という感想を持った。これにより、今後、陽性者が増えた場合はため息をつきながら「はぁ……。都はモニタリング会議等で綿密な分析と情報交換をしており、第4波の到来については、政府が解除を発表する前に見越していました」と言うことができる。また、陽性者が減った場合でも「あのとき、われわれは第4波を見越して、危機感を持ち続けながら対応していました。その結果が現れたのではないかと考えています」と言える。

こうした伏線を、部下を使って張っておけるあたりが「たいしたもんだ」とうならされてしまう一端である。どちらに転ぼうが、東京都と小池氏が悪者にならない形にし、政府に責任を負わせること、ないしは東京都が功を誇ることに成功する──そんな伏線である。そして、このセンスは知事本人の発言においてもいかんなく発揮される。

神奈川県の黒岩祐治知事は同日「解除の方向性が見えてきているのではないかと私は思います」と述べ、埼玉県の大野元裕知事は「解除ですべてが変わることはない。改めて不要不急の外出自粛などをお願いする予定です」と述べた。自粛派からも反自粛派からも文句を言われそうな内容である。

一方、小池氏は3月19日の定例会見で「宣言が『解除』というこの2文字によって、人の流れが増えていくのが心配されるわけであります。引き続き徹底的な対策を進めてまいる必要があります」と述べた。これも上手である。結論をとくに述べぬことで、反対派からの批判を減らすとともに「『解除』というこの2文字」という印象的なフレーズを混ぜ込んだ。

小池氏の手の上で踊らされる3人の知事

黒岩氏は3月初旬、賛成もしていない解除の延長を小池氏により「したことにさせられた」と内情を暴露。大野氏に電話をしたところ「小池さんから『黒岩さんは延長に賛成している』と言われたので、自分も賛成することにした」と説明された、というのだ。これにより一都三県の足並みが乱れ、黒岩氏が「緊急事態宣言延長派」から「一抜け」した。

このとき、小池氏へのバッシングは発生したものの、世間の風は「嘘をついたこと」に向けられ、小池氏の政治的判断には向けられなかった。要するに、緊急事態宣言は解除すべきではない、という世論の後押しを小池氏は確信していたのだろう。なにしろ日本国民の多くは、コロナに感染しないために一生自粛したいと考えるほどのマゾなのだから。

基本的に一枚岩だと世間に見せようとしていた東京、神奈川、埼玉の首長たちだが、実際のところ、『ヤッターマン』のドロンジョ様たる小池氏の手の上で踊らされる、部下のトンズラー&ボヤッキーのごとき状態になっていることが露見した(ここには森田健作・千葉県知事も入ってくるだろう)。神奈川・埼玉・千葉3県の知事は他知事の出方を窺っているだけで、小池氏が実際の判断をしている「上司」であることが明らかになったのだ。突然の「乱」を黒岩氏は起こしたわけだが、「自分で決められないのか」と情けない人物扱いされ、さらにはいまだ自粛派が多いこともあり、向かい風を受ける結果となった。

手練れの長老たちも手玉に取られる

小池氏は2017年に「希望の党」を率いて衆議院選挙に参戦した際、「(考えが違う者は)排除します」と高らかに宣言し、自身の印象を一変させてしまった。今回の騒動でも、同じような大逆風を吹かせるかと思ったが、吹かなかった。周到である。

演説※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tunart

この衆院選で、それまで世間が彼女に抱いていた「慈母のごとき優しさと強さを持った小池さん」「石原慎太郎や森喜朗をはじめとした老害に虐げられる、いたいけな女性」という姿は覆り、「冷酷な女帝」のイメージに一気に変わってしまった。小池氏は国政選挙には気持ちが入らぬ様子で、選挙期間中はパリへトンズラ。結局、希望の党は惨敗した。この体験により、小池氏は「風を読む力」をさらに強化したのではなかろうか。

先ごろ、森喜朗・前東京五輪組織委員会会長の「女性の多い会議は話が長くなる」「わきまえる女」発言の波紋が広がるなか、小池氏は森氏、IOCのトーマス・バッハ会長、橋本聖子五輪担当相(当時)との4者会談への不参加を表明。「いまはポジティブな発信にならないと思う」が不参加の理由だった。

これも見事だった。“天敵”である森氏が世間の大逆風にさらされているなか、自分の支持を高めるためになにをすべきか、といえばコレしかない──という手を打ってみせたのだ。同様の例でいえば、2016年、安倍晋三氏の自民党総裁としての支持がゆるぎなく、自分は次の首相にはなれないと見るや、都知事選に打って出る──という動きも忘れられない。都知事選では、対立候補の応援演説に来た石原慎太郎氏の「大年増の厚化粧」発言を受けて「私は顔にアザがあるので」と明かし、一気に追い風を得るとともに、石原氏の「老害」認定を強化させた。

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