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新型コロナ禍で2020年の婚姻件数は激減 出会いの機会も減り独身者は焦るばかり?

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緊急事態宣言が2020年4月7日に初めて発令されてから、もうすぐ1年が経ちます。この1年で私たちの生活様式は大きく変わりました。マスク着用、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保、外出自粛、テレワークなど個別の変化を挙げれば枚挙にいとまがありません。

そんな激動の1年で、「婚姻数」はどう変化したのでしょうか。日本の未来を指し示す重要な指標です。

厚生労働省が先日発表した人口動態統計速報によれば、2020年の婚姻数は過去最低の53万7583組(実数)でした。2019年の61万5652組から7万8069組も減少しており、この前年比マイナス12.7%というのはじつに昭和25年(1950年)以来の減少率(いつと比べてどれだけ減ったか)です。(参考URL https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2020/12.html )

※厚生労働省人口動態統計より筆者作成

2020年の婚姻件数は大幅減少 要因を探ると

上の過去10年の婚姻数の年次推移を示したグラフからは、2020年の婚姻件数が目立って減少していることが分かります。なぜここまで大きく減ってしまったのでしょうか。

昨年BLOGOSに寄稿した『「コロナ婚ブーム」は到来するのか?婚活市場は男性側が有利に働く可能性も』という記事の中で私は、以下の3つの要因から2020年の婚姻数は減少するだろうと予測しました。

1. 新しい生活様式(在宅勤務、3密回避、マスク着用等)による出会いの減少
2. 前年の令和婚による増加の反動
3. 経済活動の停滞による先行き不安

これらが実際にどのような影響を与えたのか、1つずつ振り返ってみます。

1.新しい生活様式(在宅勤務、3密回避、マスク着用等)による出会いの減少について

在宅勤務についてはかなり浸透してきた印象があります。東京都が発表したテレワーク導入率調査結果(参考URL https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/02/19/29.html)によると、都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率は2021年2月前半の時点で64.8%で、1月後半の前回調査(63.5%)に比べて1.3ポイント上昇しています。

2021年1月の緊急事態宣言以降、テレワーク導入率は一貫して上昇しています。また従業員100人以上の企業では、導入率が7割を超えています。

もう一つ別の角度から見てみます。JR東日本の2021年3月期第3四半期決算(参考URL https://www.jreast.co.jp/investor/guide/pdf/202012guide1.pdf)によれば、鉄道運輸収入は対前年比で51.3%となっており、ほぼ半減しています。

※写真はイメージです

在宅勤務や移動の減少で物理的接触が減った

これらから、テレワーク導入率の上昇とそれに伴う通勤や人の移動の減少により、結婚に繋がる物理的接触が減ったということが言えそうです。

3密回避やマスク着用の直接的な影響としては、会食が無くなったことによる出会いの減少が最も大きいと考えられます。

一般社団法人日本フードサービス協会が今年1月に発表した、協会会員者を対象とした外食産業市場動向調査 (参考URL http://www.jfnet.or.jp/files/nenkandata-2020.pdf) によれば、2020年の利用客数は全体で前年比82.2%で、カテゴリ別の内訳はファーストフードが88.2%、ファミリーレストランが74.9%、パブレストラン/居酒屋が52.4%、ディナーレストランが62.9%、喫茶が66.9%、その他が77.7%となっています。

パブレストラン/居酒屋、ディナーレストランの利用客数が男女の出会い数に関係する数値であると考えれば、これらのデータからも出会いの機会が減少したと言えそうです。なお本筋からは逸れますが、ファミリー需要がメインと考えられるファーストフードやファミリーレストランは比較的減少幅が小さく、データからはコロナ禍における家族という単位の結びつきの強さが想像されます。

2. 前年の令和婚による増加の反動

※厚生労働省人口動態調査より筆者作成

2019年は「令和婚」により婚姻数が増加しました。上のグラフを見ていただくと一目瞭然ですが、改元のタイミングである2019年5月の婚姻数が突出して高くなっています。そういった特殊事情により婚姻数が増えれば、2020年はその分のシワ寄せとして下がることは容易に想像できます。

そもそもコロナが無くともこの令和婚による反動で2020年の婚姻件数が減ることは明確だったのです。それにコロナ禍が組み合わさって大幅減となったのです。

先行き不透明な経済活動の影響は

3.経済活動の停滞による先行き不安

経済活動が停滞しているのかどうかは実ははっきりとはしておらず、好調な株価や上がり続ける首都圏の地価からは日本経済の状況が複雑であることが想像されます。私は経済の専門家ではないのでその点への言及は避けますが「日本経済の先行きが不安である」という社会の雰囲気については多くの読者の方から同意いただけるはずです。

実際、厚生労働省が発表した一般職業紹介状況(参考URL https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/000726615.pdf)によれば、2020年の平均の有効求人倍率は1.18倍で、前年に比べて0.42ポイントも低下しています。グラフを見れば、その下落がどれほどのインパクトなのかは想像に難くないでしょう。これほどの下落が人々に与える心理的影響は大きいはずです。

※厚生労働省一般職業紹介状況より筆者作成

一方で、2020年は婚姻数について上昇に寄与しそうな要因もありました。それは「コロナ禍によって結婚への機運が高まる」というものです。私としてもそれはあると考えていますし、婚活大手の株式会社IBJが今年3月に発表したデータ(参考URL https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000479.000007950.html)によれば、コロナ禍で20代の3人に1人が婚活意欲が高まっていると回答しています。

確かに結婚への機運は高まったのでしょう。しかしそれを全て吹き飛ばす程に、結婚しにくい要因が複数あり、かつそれらが強すぎたのが2020年だったと言えます。

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