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内部被曝通信 福島・浜通りから~糖尿病治療に似る被曝の診療 - 坪倉 正治

この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2012年12月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

糖尿病は、ほとんどの皆さんがご存知だろうと思います。

ではなぜ、糖尿病を治療する必要があるのでしょう?それは、将来的な心筋梗塞や脳梗塞をはじめとする致命的な疾患の発症を防ぐため、そして腎臓の機能低下や白内障、神経の障害などを予防するためです。

ある程度の年齢になれば、検診でも定期的にチェックをし、血糖値やHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)と呼ばれる数カ月の血糖値の平均値を見 て、糖尿病かどうかを判断します。糖尿病と分かれば、食事療法を行い、インスリンや内服薬を使用して血糖値をコントロールします。
そして、例えば3カ月ごとに検査を行い、悪化していないかをチェックします。悪化しているようなら食事指導や、薬剤の強化を行い、軽快するなら、注意すべき点をおさらいし、薬剤を減量したりしながら定期的に推移を見ます。

患者さんの背景や糖尿病の状況を見ながら、薬剤は選ばれます。誰でも彼でも無理にインスリンの導入にするわけではありません。ややコントロールが悪くても 相談しながらそのまま様子を見ることも多々あります。もちろん、まったく糖尿病でない人にも、どんな不摂生をしても良いですとは言いません。1年に1度ぐ らい検診を受けてチェックしてくださいと話します。

糖尿病を専門にされる先生は多くいらっしゃいますが、ありふれた疾患なので外科や他の内科の医師も、糖尿病の患者さんの診療を行います。余談ですが、私自身は先輩の医者から、食事指導などが患者さんに甘いとよく言われます。「性格?」なのかもしれませんね。

今の被曝に対する診療は、糖尿病に対する診療に似ているように思っています。
・なぜ、内部汚染を気にしなければならないか? 
 →将来的に発ガンを始めとする致命的になり得る疾患の予防のためです。

・どうやってチェックするか?
 →ホールボディーカウンター(WBC)や尿検査です。

・値が高ければどうするか? 
 →(プルシアンブルーなどは使用するレベルでは当然なく、)食事療法を用いて、3カ月後の定期検査(外来受診)です。

・低ければどうするか? 
 →介入はしませんが、今後気をつけるべきことを伝え、定期検診を受けることを伝えます。

・誰でも治療をするか? 
 →若年者には厳しく、高齢者にはやや汚染度が高めでも、ライフスタイルや趣味、他の疾患の状況を鑑みて、あまり厳しく指導しませんし介入しません。

現在、私が知る限りの最高値は、Cs134+137で25000Bq/body程度(第31回参照 http://apital.asahi.com/article/fukushima/2012111500077.html )。これを維持しても、年間内部被曝が1mSv以下ですので、高齢者であれば無理には介入しないという考えも成り立つと思います。

細かいことを言えば相違点は多々ありますし、糖尿病による心筋梗塞発症リスクと、現在の内部汚染による発ガンのリスクが同等ではないという批判はあるとは思います。

内部被曝に対する対応は、特別なものではなく、医者がやるべき診療は同じと考えています。

内部被曝、外部被曝の話はともに、多くが行政任せです。医療者の関わらない行政主導の調査であり、そのまま続けていることに違和感を感じます。

紙切れ1枚の結果が行政から郵送されて、それで全て終わりという話ではないはずです。「1000人を調べて998人が糖尿病ではなかった。やや血糖値の高めの方が2名いたが、別に糖尿病はいないので、問題ないです。今後この地域では糖尿病の検査はしません」。
調査なら、こんな形で終わりで良いかもしれませんが、診療ではそうでないはず。高齢者でも、ちょっと検出したら真っ青な顔で外来に来る人も入れば、やや値が高めでも、全く気にしませんという人まで様々です。

ある程度の値以上となった検診者には、医者が人間ドックで行うような普通の診療として関わる形にならないだろうかと思っています。理想的には、どこの医者 にかかっても、ある程度検出された方も検査結果を持って行けば、今後どう生活すべきか、アドバイス定期検査の必要性などを相談できる形になって欲しいと 思っています。

積極的に関わってくださる医療者の方ももちろん多くいらっしゃいます。
そのような方々が一人でも増えて欲しいです。
ちょっと愚痴っぽいですが、今日はこの辺で。

写真:日本人は医療被曝が世界の中では多いという話の中で、引き合いに出されるCTですが、中身はこんな感じです。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2012121400008.html

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