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【浪江原発訴訟】「人生めちゃくちゃにされた」 原発事故が中学生から奪った工業高校への進学、ものづくり職人の夢~父子が意見陳述(上)

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福島県双葉郡浪江町の町民が申し立てた集団ADRでの和解案(慰謝料一律増額)を東京電力が6回にわたって拒否し続けた問題で、浪江町民が国や東電を相手取って起こした「浪江原発訴訟」の第7回口頭弁論が16日午後、福島地裁203号法廷(遠藤東路裁判長)で行われた。原発事故で自宅も生業も進学も将来の夢も奪われた父子が意見陳述。奪われたものの大きさと避難先で味わった苦しみを訴えた。本紙では、2人の意見陳述を2回に分けて伝えたい。まずは当時、中学2年生だった三男の想いを読んでいただきたい。

【何も聞かされず津島へ】

 「私は、平成8年(1996年)生まれの24歳です。原発事故当時は14歳でした。裁判の原告になるのは、もちろん初めてです。原告になったのは、私のような当時中学生だった人間の気持ちを知ってもらう機会が欲しかったからです。今日は、私がこれまで受けて来た被害について、お話しさせていただきます」

 上野円暉(かずき)さん(24)は自宅で機械の設計や製作をする父親の背中を見て育った。幼い頃からものづくりに目覚め、苅野小から浪江中に進学し、兄たちと同じように小高工業高校に入学しようと考えていた。親父の仕事を継ぐつもりだった。あの日が来るまでは…。

 「何が起きたか全く分からないまま、私たち家族と親戚は、浪江高校津島分校に避難する事になりました。最初は2、3日で帰れると考えていました。一時的に安全な場所に身を寄せるだけだと思ったからです」

 自宅を離れたのが2011年3月12日。津島分校の体育館は足の踏み場も無いほどだった。ほどなく郡山市内の避難所に移動。5月には郡山市立大槻中学校に編入した。そこで「原発避難者」という有形無形のプレッシャーに直面した。

 「ある時、クラスメイトが事前に私が(浪江町からの)避難者だと聞かされていたのだと気づきました。編入する前から避難者という目で見られていたのだと分かり、悲しい気持ちになりました」

 「気持ち」だけでは無かった。教科書が無い。隣席の生徒が見せてくれたが、次第に迷惑そうな顔をするようになった。浪江では酒田団地内の公園で野球をしていたのでソフトボール部に入った。しかし、グローブなど持ち出せるはずも無い。

 「私は毎日『原発事故で避難してきた人』という現実を突き付けられました。こんな学校生活は、地獄としか言い様がありませんでした」

「中学生だった自分の気持ちを知って欲しい」と法廷に立った上野円暉さん。「口先だけの謝罪は聞き飽きました」と語気を強めた

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