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記者の報酬が署名記事数やトラフック量で決まる!

大手メディアで働くジャーナリストの書いた記事が、オンライン上で読者にどう評価されたかを測定してサラリーなどに反映させようという動きが、期せずして英米で勃発、記者たちの不満と不安が広がっているようです。

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まずは英国の高級紙で知られる全国紙Daily Telegraphのケース。ライバル紙Guardianによると、「記者の書いた記事の人気度を各記者のサラリーを決める要素の一つにしたい」というプランを経営陣が示したとのこと。

それが「Starsシステム」と呼ばれるもので、Chris Evans編集局長が昨年11月に「やがてStarsシステムを使いたい」と編集局員に宛てたメールで表明していたそうです。

オンライン版に掲載された記事がどれほどの有料読者獲得に繋がったか、どれだけのクリック数を獲得したかを点数化、その実績を報酬に反映させるという考えです。

Evans編集局長は「最も多くの有料加入者を引きつけ、維持できる記者たちが最も手厚い支払いを受けるのは正当だと思う」としながら、「実行するには複雑な要素もあり、まだ準備は出来ていない」と実施時期についてはぼかしているよう。

しかし、社内では実施は間違い無いと思われているようで、ある記者によると「幹部は大したことじゃなくて単なる実験的なものだと言って、みんなを納得させようとしている」そうです。

問題の一つは「英国王室担当や、大きな政治問題やコロナウィルスの担当記者、あるいは有名記者なら膨大なクリック数を獲得できるだろう。でも、ほとんどの記者は編集者次第で、退屈な取材テーマを与えられても仕方がない。それでサラリーに影響するのはおかしい」という不満です。

そこで、ジャーナリスト全国ユニオンの書記長は「この動きは多様で質の高いジャーナリズムの重要性を考慮しておらず、ジャーナリストの士気を大幅に低下させるもの」と厳しく批判しています。

でもEvans編集局長は怯みません。「そうした受け止めは完全に誤りだ」と言い、「知的な読者が新たに有料読者になり、既存読者は払い続けるようにすることが狙いだ。(見出しで釣るような)クリックベイトとは反対のものだ」と、あくまで高級紙であることを維持するためだとの立場のようです。

しかし記者は納得せず、全員が「狂ったアイディアがそのうち静かに消えていくのを望んでいる」のだそうです。

一方の米国は、フォーチュン500など様々なランキング公表で知られる有力ビジネス雑誌「Fortune」のケース。ここでも経営陣が、著名記事の数やトラフィック量などのパフォーマンス目標が個々の記者に示されたことに記者が反発、先週16日に編集ユニオンに所属する30人が24時間ストを行ったそうです。

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Fortuneはコロナ禍でドル箱だったライブイベントが開催出来なくなったことなどから、他の競合雑誌や新聞などと同様に経営が悪化、すでに人減らしや役員報酬の削減などをしていました。

一方で、オンライン版の有料化をパンデミック直前に始めていたことから、その加入者数を増やすために記者にハッパをかけるべく、記者に割り当てる署名記事数やページビューなどを設定したようです。

元Wall Street Journalの編集局長で、今はFortuneのCEOという大物ジャーナリストのAlan Murray氏に言わせると「有料化路線に揺らぎはなく、より多くの人々を加入者に変えるにはより多くのトラフィックが必要だ」「記者たちが、オーディエンスのサイズを気にすべきでないと思ってるなら大間違いだ」ということ。

しかし、ヘルスケア担当のSy Mukherjee記者によると、彼は「年間250本の署名記事と410万ページビュー」を負わされたそうで、これは本人ならずとも「非現実的」な数字に見え、彼は「優れたジャーナリズムに結びつくものではない」と主張しています。

まあ、Fortuneの場合は、記者に割り当てたパフォーマンス目標の達成いかんがサラリー査定に結びつくかどうかは明らかになっていないようです。ユニオン側からの「目標が達成出来なかったら、何らかの処罰があるのか」という問いかけに、Murray・CEOは「(コロナ禍で)厳しかった2020年にKPI(主要業績評価目標)を逃して首になるなら、私はここにいない」とかわし、直接の回答は避けています。

話は飛びますが、私の初任地、静岡県には超優良経営の静岡新聞社がありました。その静岡新聞では、当時「静新の記事は長い。各記者の書く原稿の行数が査定に繋がってるからだ」と噂されていました。地元紙ですから全国紙より地元ニュースの記事が長くなるのは不思議じゃないので、あくまで噂だと思いますが、今回のDaily TelegraphやFortuneの騒ぎで、ふと、思い出してしまいました。

インターネット時代になって、記者の評価が、記事の中身でなく、デジタル的な数値だけで決まるようになるのは何だか切ない思いです。しかも、これは静岡新聞のような噂ではなく現実なのですから。

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