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コロナ解雇、それでも前へ!ジャンプ内藤智文選手

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写真:北海道名寄市吉田杯優勝時の表彰式(本人提供)

神津伸子(ジャーナリスト・元産経新聞記者)

【まとめ】

・コロナ不況で所属先解雇となったスキージャンパー内藤智文選手、プロに転向。

・経済環境、練習環境とも厳しい中、競技活動を続ける。

・「選手生活で初めて目指す五輪」と北京五輪を目標に掲げる。

 

東京五輪開催問題が世間を賑わしているが、来年は、北京冬季五輪が控える。ウィンタースポーツの選手たちは、既にそこをターゲットに今季を闘い抜いている。スキーシーズンもラストを迎える。

国内のジャンプ競技の最終戦は、20日の伊藤杯シーズンファイナル大倉山ナイタージャンプ大会となる。内藤智文選手も「北京五輪が今の自分の目標です」と、北海道・大倉山シャンツェでの大飛躍を目指す。

突然の呼び出し、残酷な告知。余儀なくされたプロへの転向

今シーズンイン間際の出来事だった。以前の所属先の茨城県の金属加工会社の社長から、いきなり会議室に呼び出された。

「実は…」

内藤がその場で告げられたのは、解雇の二文字だった。

彼には何の責任もなかった。勤め先が、ご多分に漏れずコロナ渦で苦境に追い込まれていたのだった。頭の中が真っ白になった。「約束していた国体で優勝を果たし、選手として脂も乗って来て、さあこれからと思っていた」矢先の話だった。

その会議室は、普段は接客にも使われていた。

内藤の活躍を告げる新聞などが、客の目につくように華々しく飾られている。記事が虚しく、内藤の目に映った。

以降、正社員としての採用が無いまま、新しい仕事を探している。失業保険を受け取るためにハローワークに通いながら、競技生活を続けている。試合が続く北海道から茨城のハローワークまでは、片道14時間かかる道のりだ。社会人3、4年の時には茨城県とも契約を交わしていたが、その後は更新されていない。

やむなくプロジャンパーとして転身し、自らスポンサー探しに奔走する事が必要となった。その成果が実を結び、最近も日本工装株式会社と契約を結び、胸に新しいエンブレムが増えた。


▲写真 新しいスポンサーのロゴが入ったトレーニングウェア姿の内藤選手:本人提供

平昌冬季五輪が、夢を変えた

内藤が五輪出場を意識するようになったのには、訳があった。
よくスポーツ選手は、子供の頃の作文や卒業文集などに「ボクの、ワタシの夢は、オリンピック選手になることです」と、夢を綴っている。

が、内藤は小学校1年生からジャンプ競技に取り組んでいるにもかかわらず、「つい数年前までは、五輪出場など意識した事がなかった」という。ところが、3年前の韓国・平昌冬季五輪が大きく彼の意識を変える事になった。

内藤は平昌で、選手たちが飛ぶ前のテストジャンパーに選ばれた。本戦が始まる前に20数名がコンディション確認などのために飛ばなければならない。

が、当時の韓国のジャンプ人口は少なく、近隣諸国にもその役割が出来る人材を求めた。日本からも内藤らに白羽の矢が立った。「有無を言わさず、メンバーの中に組み込まれてしまった感じでしたが」と、若きジャンパーは振り返って、笑う。

何と、この時のテスト飛行で、内藤は本戦に出場したどの日本選手よりも、遠くへ飛んだのだった。大きく内藤の目標は変わって行った。

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