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「目指すは現代の毛沢東」習近平の野望を止められるのは日本だけだ

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中国の脅威に対抗するための「クアッドの精神」

3月12日、日本とアメリカ、オーストラリア、インドの4カ国の首脳がオンラインで会議を行った。この4カ国による首脳会議は初めてで、その枠組みは「4」を意味する「クアッド」(Quad)と呼ばれる。インド太平洋地域で影響力を強め、国際秩序を脅かす中国に対抗するところにクアッドの目的がある。

米国、日本、インド、オーストラリアの4カ国協議体であるクアッド(Quad)は12日(現地時間)、初の首脳会議をオンラインで行った。シドニーから参加するオーストラリアのスコット・モリソン首相(左)。
写真=EPA/時事通信フォト

米国、日本、インド、オーストラリアの4カ国協議体であるクアッド(Quad)は12日(現地時間)、初の首脳会議をオンラインで行った。シドニーから参加するオーストラリアのスコット・モリソン首相(左)。 - 写真=EPA/時事通信フォト

4カ国は中国の脅威に対抗するため、「クアッドの精神」と題した共同声明を発表した。共同声明には名指しは避けたものの、中国を警戒する海洋安全保障協力が示されている。

その主な内容は次の3点である。

①威圧に屈せずに自由で開かれ地域のために尽力する

②東シナ海と南シナ海での海洋秩序への挑戦に対抗するための海洋安全保障協力を促進する

③インド太平洋地域に対する新型コロナワクチンの普及に力を合わせる

この3点のほか、4カ国首脳は北朝鮮による拉致問題の解決や、国軍を抑えてミャンマーを民主主義国家に戻すことについても確認し合った。

日米は「2プラス2」を開き、中国への対応を確認

4日後の16日には、日本とアメリカの政府が外務・防衛担当閣僚による「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」を都内で開き、「自由で開かれたインド太平洋」を目指して中国の脅威に協力して対応することを確認し合った。

共同文書も発表した。クアッドの共同声明とは違い、東・南シナ海で強引に海洋進出を続ける中国を名指しで厳しく批判した。なかでも中国海警局の船舶に武器使用の条件を定めた海警法に対しては、「深い懸念」を表明した。

日本とアメリカの両政府による2プラス2は、2019年4月にワシントンで開かれて以来のことだ。アメリカの新政権の発足から2カ月足らずという異例のスピードで、しかもバイデン政権の発足後、初めての開催である。

日本からは茂木敏允外相、岸信夫防衛相、アメリカからはブリンケン国務長官、オースティン国防長官が出席し、1時間半にわたって会合が持たれた。茂木氏は東大卒のエリート政治家、岸氏は安倍晋三前首相の実弟で、いずれも政界の実力者である。

バイデン政権は日本を特別な存在とみている

クアッドの首脳会議も2プラス2の会合もアメリカの呼びかけで実現した。バイデン政権は世界の国々に脅威を与える中国の習近平(シー・チンピン)政権にストップをかける考えがあるのだろう。

クアッド首脳会議の前にはバイデン大統領が菅義偉首相の4月の訪米を決め、即座に公表した。菅首相は大統領就任後、対面による初の会談相手となる。アメリカの国務長官、ブリンケン氏と国防長官、オースティン氏も就任後初の外遊先として日本を選び、16日の2プラス2に出席した。

アメリカのバイデン政権は日本を特別な存在とみている。これは日本にとって日米同盟を強化するための絶好の機会であり、アメリカと協力して軍事力で脅威を増す中国に対し、「ノー」を突き付けたい。

いまや日本とアメリカとの関係は、切っても切れない

アメリカ側にも打算はある。バイデン政権の最重要課題は対中国だ。バイデン政権は中国との長期的な戦略的競争を日本との同盟を基盤に有利に進めようとしている。いまや日本とアメリカとの関係は、切っても切れないのである。

バイデン大統領はクアッドの4カ国首脳会談で「『自由で開かれたインド太平洋』は不可欠である。アメリカはこの地域の安定を目指し、全ての同盟国やパートナーとの協力を強く約束する」と述べた。

2014年の太平洋展開時の米軍駆逐艦
写真=iStock.com/Benny Winslow ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Benny Winslow

バイデン氏は大統領選挙の前から対中戦略の大きな柱として同盟国との協力を前面に打ち出すことを構想していた。特に中国の習近平政権と長期的に競争していくために地理的にも歴史的にも中国との関係が深い、日本との協力関係を重視しようとしている。日本はインド太平洋地域での駐留アメリカ軍の最大拠点で、経済力では中国に世界第2位の地位を奪い取られたものの、世界第3位を保っている。

こうした日本との連携を強化することで、アメリカの同盟国や友好国に安心感を与えることも狙っている。

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