記事

「持続的な金融緩和」を目指すための政策修正が浮き彫りにした「持続的でない金融緩和」

「上場投資信託(ETF)購入は原則年6兆円の目安を削除した。株高局面は購入を見送り、市場の混乱時に積極的に買う姿勢を明確にした。買い入れ対象は東証株価指数(TOPIX)連動型のみとする」(19日付日経電子版 「黒田総裁「強力な金融緩和続ける」 日銀が政策修正」

ETF購入の上限だけを残し目安を削除したということは、日銀がETFの購入義務を放棄したということ。それは「出口」の問題ではなく、ETF購入の物理的な限界が迫って来ていることを示唆するもの。

「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくため」ということを掲げた金融政策で ETFの買入対象をTOPIX連動型のみにしたということは、日経平均連動型 ETF購入では「持続的な金融緩和」を実施できないことの証左である。

それは、ETF購入においてボトルネックになっているファーストリテイリングの浮動株数の減少問題を解決できなくなって来ているということ。

日経平均株価におけるファーストリテイリングの構成率は11.0%(19日時点)であるのに対して、TOPIXにおいては0.48%に過ぎない(1月末時点)。日本を代表する両指数間でファーストリテイリングの構成比は23倍の違うのだ。

今回日銀がETF購入対象をTOPIX連動型に限定したのは、TOPIX連動型の方が浮動株数の少ないファーストリテイリング購入株数が少なく済むので「持続的な金融緩和を実施していく」ことが出来るという判断からだ。日経平均連動型のETFを購入し続けると23倍早く弾切れになってしまう。

ほとんどの国民は「お札を刷ることのできる日銀によるETF購入には限界がない」と信じているはずだ。しかし、こうした考え方は改める時期に来た。財源が無限であっても、購入する資産が有限だったら、購入できる規模も有限だからだ。無尽蔵にお金を生み出すことのできる日銀によるETF購入も、「いくらお金を持っていても、モノがなくなれば買うことが出来ないという」という当たり前の壁にぶち当たってしまったのだ。それは、1年前に多くの国民がマスクを変えなかったのと同じ状況なのだ。

<参考記事>「バブル崩壊」兆候のウラで…急失速する「日銀ETF購入」の前に立ちはだかるユニクロ

日銀が打ち出した「より効果的で持続的な金融緩和について」という政策修正によって、現状の金融政策が「効果的で持続的な金融緩和」ではないことが浮き彫りにされたことは皮肉なことだといえる。悪事はいつかは白日の下に晒される運命にあるのだ。中央銀行によるETF購入という禁じ手は、景気が良くなっている感を演出するための罪深きお化粧で終わる運命を迎えつつあるようだ。

あわせて読みたい

「金融緩和」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    国会終盤戦は荒れ模様。一部野党の審議拒否連発で、非生産的な国会運営が続く…

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    05月15日 08:35

  2. 2

    「最も忙しい四大臣、待ちぼうけ」官房参与の“嘘”追及で立民らが退席 80分超える空白の時間

    BLOGOS しらべる部

    05月14日 18:36

  3. 3

    ガザ地区の友人から届いたメール「地獄と同じ。なす術も行くあてもない」

    田中龍作

    05月15日 09:35

  4. 4

    新型コロナワクチン接種進むハワイ、米本土観光客は例年並みに

    WEDGE Infinity

    05月15日 11:54

  5. 5

    無策を繰り返す政府からの休業要請にエンタメ界が上げた「狼煙」

    松田健次

    05月15日 08:03

  6. 6

    検査拡大に橋下氏「無症状者への闇雲な検査をしても感染抑止の効果は出ない」

    橋下徹

    05月15日 10:01

  7. 7

    変異株の真実/感染力は増して若干の軽症化が数字からの結論

    青山まさゆき

    05月14日 22:10

  8. 8

    できない言い訳ばかりの政府、恐怖煽るマスコミ…情けない日本のコロナ対応に怒り

    青山まさゆき

    05月15日 09:28

  9. 9

    コロナ禍で「肺炎死亡者が減少」の謎

    自由人

    05月14日 08:12

  10. 10

    脱ガソリン車宣言のホンダ 道筋が見えず「去るも地獄、残るも地獄」か

    片山 修

    05月15日 08:13

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。