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人気ブランド「シュプリーム」元社長が覚醒剤で逮捕 証拠隠滅と噛み合わない質疑応答

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裁判傍聴芸人の阿曽山大噴火です。今回傍聴したのは、3月4日に東京地裁で行われた大村健一被告人(52)の覚醒剤取締法違反の初公判。シュプリーム販売会社の代表取締役が、都内のホテルの待合室で覚醒剤1.1gを所持して逮捕されたと報じられた事件です。

シュプリームは1994年にニューヨークで誕生し、赤い長方形の中に白い文字で「Supreme」と書かれたロゴマークが印象的なファッションブランドで、若者を中心に絶大な人気を誇っています。

10年くらい前に日本にもショップができて、新作アイテムや有名ブランドとのコラボ商品が発売される日には大行列ができました。転売が社会問題としてニュースになる程の人気ブランドなのです。

そんなシュプリーム日本法人の社長の初公判となれば当然大行列になるだろうと、普段より1時間も早く東京地裁に到着して422号法廷前に向かったところ、待っている人はゼロ。シュプリームと東京地裁のコラボは人気が無いようです。ロゴ入りの傍聴券が交付されていれば違っていたかも知れませんが、傍聴券すら無しですからね。

開廷時刻の5分前に被告人と弁護人が到着して初公判スタートです。
人定質問で職業を聞かれて、

被告人「会社役…あー、今は無職です」

と答えていたのでシュプリーム元社長ということになります。

起訴されたのは2件。
1つ目は、去年12月17日頃に被告人が東京都港区内のホテルで覚醒剤を飲んで使った件。
2つ目は、去年12月17日に被告人が東京都港区内のホテル1階で覚醒剤1.092gを所持した件。

報道では所持だけでしたが、使用でも起訴です。罪状認否で被告人は「間違いありません」と罪を認めていました。

検察官の冒頭陳述によると、被告人は妻子と同居しており、7人暮らしで前科は無し。

犯行当日の12月17日。被告人は港区内のラブホテル前に駐車した車の横に立っていたところ、パトカーが近付いて来たのを見てホテルの中に入ったといいます。その行動を不審に思った警察官が所持品検査をしようと職務質問を開始したところ、被告人は所持品検査を拒否。

そこで警察官は令状の到着を待ってから所持品検査をすると、被告人の上着から覚醒剤3袋と2錠、注射器1本が入ったポーチが出てきたとのこと。警察署に移動して尿検査を実施したところ、陽性だったので逮捕というのが事件の流れになります。

取り調べに対して被告人は「1ヶ月前に中東系の外国人から覚醒剤2袋を注射器付きで4万円で購入した。12月17日18時過ぎ、ホテルで風俗関係の女性と遊ぶためのコスプレを車から運ぼうとした時にカプセルに入った覚醒剤を飲んだ」と供述しているそうです。

一方、弁護人からは奥さんが書いた上申書が証拠として提出されました。

緊急事態宣言中という事もあって奥さんが出廷しない決断をしたのでしょう。傍聴席を見渡しても東京地裁で普段から見掛ける人が5人座っているだけで、シュプリームの関係者も来てない感じでした。

今は社長ではないし会社としては関わらないと決めたのかも知れません。個人的な繋がりがあれば情状証人として出廷したり傍聴に来たりしそうなものですけど、トップは孤独ですね。

実名報道が愛娘に与えた影響

Pixabay

被告人質問です。まずは弁護人から。ちなみに大村被告人の弁護人はジャニーズ事務所の顧問弁護士で、ジャニーズの会見の映像でちょくちょくお見掛けする弁護士さん。

弁護人「あなたの経歴としては高校卒業した後にアメリカに留学して、1996年にシュプリームの関係者と出会って日本でも販売するようになったと?」
被告人「はい」
弁護人「それが今年の1月15日に代表取締役を辞任して、今は無職だと?」
被告人「はい」
弁護人「それで息子さん2人、娘さん3人、あと奥さんの7人暮らしをしてると?」
被告人「そうです」
形式的な確認をしてから、本題です。

弁護人「こんなの使っちゃダメって当然分かってたでしょうけど、なぜ使ってしまったんですか?」
被告人「好奇心もあったんですけど、仕事のプレッシャーもありまして…忙しくて家族をないがしろにして…。長男の素行が悪くなったり」
弁護人「ゲームばっかりしていると」
被告人「はい」

仕事と家庭のバランスが悪くて悩んでいたみたいですね。シュプリームの社長であっても最高の状況にはなかったのでしょう。

弁護人「逮捕当日ですけど、職務質問を拒んだのはなぜですか?」
被告人「動揺したからです。会社や家族に迷惑が掛かるとすぐに分かったので」
弁護人「それで私に電話してきたんですよね?」
被告人「以前からお世話になっていましたので」
弁護人「それで私が『落ち着きなさい』『持ってるなら出しなさい』『キチンとしなさい』と言いましたよね」
被告人「はい」
弁護人「その後は素直に応じたんですか?」
被告人「警察官が令状を取りに行くというのでその間に(覚醒剤を)出しますって言ったんですけど、令状来るまで待ってと」

冒頭陳述を聞いた印象だと、職務質問を拒み続けていたのかと思っていたら、一旦拒んで弁護士に電話した直後に所持品検査に応じていたようです。ただ、令状が届く間に被告人が怪しい行動をしていたことが検察官からの質問で明らかになります。それは後ほど。

弁護人「年末も元旦も拘置所で過ごした訳ですけど、誰が面会に来ました?」
被告人「会社の人間と妻です」
弁護人「どんな話をしましたか?」
被告人「とにかく謝りまして、報道のことを聞いて改めて罪の重さに気付かされました」
弁護人「娘さんは事件について何か言ってますか?」
被告人「ほとんどの友人に知れ渡って、学校に行きたくないと」

実名報道をされると影響が大きいですね。ニュースにもならない無名な人でも反省すべき事なので、報道の影響によって罪の重さを知るのは本来変な話ですが。この後再犯しない事を約束して、弁護人からの質問は終了。

単純な使用と所持の事件で、罪を認めていてそのうえ初犯。こんな感じでサクサクと裁判が進むのかなと思っていたら、検察官の追及が結構な厳しさだったのです。

検察官「覚醒剤以外の違法薬物は使っていない?」
被告人「はい」
検察官「覚醒剤はいつから使っていたんですか?」
被告人「一昨年の12月に…」
検察官「令和元年?」
と言ったところで弁護人が割って入って、
弁護人「令和2年じゃない?」
被告人「あぁ…ん?コロナ禍の前の」
検察官「去年でしょ?」

改元以降、令和何年がどれくらい前なのか混乱しちゃいますよね。被告人が「コロナ禍前」って小声で言ったため一昨年だと思うんだけど、曖昧な感じでそのまま質問は続行です。

ラーメン屋で隣に座った外国人から買った怪しいガラケー

写真AC

被告人「(昨年?)12月頃に知り合った人から入手しまして、その時に試そうと思ったのですが注射針が痛くて入らなかったと言うのが正直ありました」
検察官「誰から買ったんですか?」
被告人「名前は分かりませんが、中目黒のラーメン店で隣になった外国人の方が、私が携帯電話で喋った後に『英語喋れるのかい?』と。それで他愛の無い話をしました。そしてプリペイド式の携帯電話を買わないかと」
検察官「サムスン製のガラケーですよね。すでに持ってるのに携帯電話を買ったんですか?」
被告人「自分の携帯電話で掛けたくない、風俗とか女の子呼ぶのに使おうかと軽い気持ちで」

中目黒には美味しくて有名なラーメン屋が多いけど、まさかラーメン屋の隣の席になった人から携帯電話の購入を促されるとは。不思議な事が起こるものですね、東京は。

検察官「その携帯電話は使っていたんですか?」
被告人「使うことはなかったんですが、コロナ禍で(シュプリームの店舗に)お客さまが来なくなっている中で『気持ち良くなるクスリ買わないか』とちょくちょく電話がありまして、ずっと断ってました」

こういう言い回しを聞くと、やっぱり令和元年だったのかな? という気もしますけどね。

検察官「結局は購入したわけですけど家族のせいですか?」
被告人「それだけじゃないですね…自分のせい。職務を全うできなかったイライラですね」
検察官「どんな状態で受け取ったのですか?」
被告人「ジップロックみたいな袋に入っていて2袋、あと注射器が一緒で紙袋に」
検察官「覚醒剤を注射でトライしたのは一回だけ?」
被告人「はい」

こういう時、トライって言い方をするものですかね。初耳ですけど。検察官としてもアパレル関係の被告人なのでカッコよく質問したかったのでしょうか。

検察官「それはいつ頃ですか?」
被告人「入手した日です、11月」
検察官「やめたのはなぜですか?」
被告人「腕が腫れ上がって、跡が残ったので」
検察官「それで残った覚醒剤はどうしたのですか?」
被告人「そのまま車のトランクに入れっぱなしです」
検察官「警察官に見つかった時は、いくつかに小分けされてましたけどなぜですか?」
被告人「最初にトライした時に、違う袋に入れたりカプセルに入れたりしたので」
検察官「誰かにあげようと?」
被告人「いえ、自分で使うためです
検察官「注射器の中にも覚醒剤が入っていたのはなぜですか?」
被告人「最初にトライした時に放置してました」

使おうとして注射が上手くいかなかった時の事は、この法廷ではトライと呼ぶようです。他の法廷では聞かないのに。

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