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現役医師が教えたい、大病院とクリニック探しの落とし穴 - 蓮池林太郎(医師)

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季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ですが、普段、病気や体調不良になった際、どのように病院を探しますか? とりあえず近所のクリニックに行ってみる、ネットで近くの病院をググる、家族に相談するなどなど人それぞれかと思います。

実は、自分の病気や症状に合った医療機関の選び方があります。新宿でクリニックを開業している医師であり、病院選びの書籍を出している立場から、急に体調が悪化し焦って探す前に知っておくべき、医療機関の選び方を大病院とクリニックに分けて考えます。

■大病院を選ぶ前提として知っておきたい紹介状の知識

そもそも、大病院とクリニックはどう違うのでしょうか。医療機関はベッド数20床以上を病院、ベッド数19床以下を診療所と分類されており、診療所はクリニックや医院とも呼ばれています。

病院は規模によって、大病院と中小病院に分けることができます。大病院と中小病院の明確な定義の違いはありませんが、一般的に、大病院は中小病院に比べるとベッド数が多く、人員や医療設備も充実しており、より高度な医療を提供しています。

病気を発症したら、救急車で搬送が必要なほど緊急性が高い状態を除き、まずはクリニック(中小病院にかかることも)にかかります。

医師から手術や高度な治療が必要な病気と診断された場合、大病院で治療することになりますが、その際はどうやって大病院を選べば良いのでしょうか?

大病院にかかるには紹介状が必要です。クリニックからの紹介状なしで大病院にかかってしまうと、保険外併用療養費制度の対象となり、大規模な病院であれば5000円以上の追加料金がかかってしまうことがあります。

紹介状なしで大病院に訪れても「クリニックから紹介状を書いてもらって受診してください」と案内されることもあります。

紹介状により今までの背景、検査結果、治療経過を把握できた方が、大病院の医師も診療しやすいでしょう。

紹介状は日本全国どこの医師宛てにも書いてもらえますし、医師宛てではなく希望の病院の診療科宛てに書いてもらうこともできます。

■なぜ、大病院にかかるのに紹介状が必要なのか?

なぜ、大病院では紹介状というシステムがあるのでしょうか? 大病院は高度な医療設備が充実しているのでその分追加料金の負担が必要ということなのでしょうか?

その理由は、まずはクリニックで診療を受けて、より高度な医療が必要な患者は大病院で診療することにより、大病院に患者が殺到してパンクしないように役割分担をしているからです。

では、具体的に大病院を選ぶ際の手順について見ていきましょう。大まかに言うと、病気を知る→大病院を選ぶ→医師を選ぶの3ステップを進めることにより、最終的に自分の病気に合った医師に診てもらう流れをたどることができます。

(1)病気をよく知る

まずは自分の病気をよく知ることが重要になります。自分の病気を本やインターネット上で調べてみてください。学会、大学病院や総合病院などの医療機関などのサイトに病気の説明が掲載されています。病気を診断したクリニックの医師に相談するのもよいでしょう。

自分の病気がどの医師に診てもらっても大きな違いがないなら、クリニックから紹介された病院や通院に便利な近くの病院で大きな問題はないでしょう。

問題は、手術の難易度が高い病気や治療法の選択肢が複数ある病気の場合で、その病気の専門家の医師に手術や治療をしてもらった方がいい場合です。この際には、紹介してもらう病院や医師を自身で検討した方がいい場合もあります。

患者が病院や医師を探すよりも、クリニックから紹介された病院で間違いないのでは?と感じる人もいるかもしれませんが、必ずしもクリニックが紹介状を書いた病院が最適であるとは限りません。

クリニックには様々な病気の患者が来院します。病気の種類というのは無数にあるため、1人のクリニックの医師が全ての病気に関する専門医師を随時把握することは不可能に近いです。

しかも大病院は人事異動があり、以前にその病気の専門家である医師がいたとしても、異動でいなくなってしまうこともあります。

また、クリニックからの紹介先は近くにある大病院か、個人的につながりのある、卒業した大学の附属病院や所属していた医局の大学附属病院・関連した大病院になりがちです。

たまたま紹介先の病院の担当医がその病気の専門家であれば良いのですが、そうでない可能性も十分にあります。

その医師の立場を考えてみると、手術の難易度が高いから、私ではなく他の大病院に行った方がよりいいのではないかとは言いにくいかもしれません。

(2)大病院を選ぶ

大病院を選ぶ際に役に立つのが病院ランキング本です。その病気の手術数や治療数が公開されている病院ランキング本を活用することにより、候補となる大病院を知ることができます。

肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、心臓病、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)など、病気ごとに手術数や治療数の多い順番に、大病院が地方ごとのランキング形式で表になっています。自分の住んでいる地方において病気の治療実績のある病院をいくつか候補に挙げることができます。

データを見るとわかりますが、誰もが知っている大学病院であったとしても、得意にしている領域とそうでもない領域があります。大病院ごとに得意な領域を分けることで専門性を高めているという側面もあります。

手術の上手い名医というのはブラックジャックのようにフリーで活動しているイメージがありますが、実際には名医は大病院にいます。手術は1人ではできませんのでチームで手術をしています。

いくつか候補となった大病院のホームページを見てみると、治療方針や医療設備などが掲載されており、大病院を絞り込むことができます。

(3)医師を選ぶ

大病院が決まったら、その中で候補の医師を比較検討することができます。

まずは経歴、専門分野、専門医資格、学会の所属などから、自分の病気を専門としているかをある程度判断できます。

医師個別の紹介文などでどういった手術や治療を得意としているか、手術や治療の実績などを公開しているとよりわかりやすいでしょう。

せっかく医師が見つかったとしても、その病気の専門家の医師であれば人気があって、なかなか担当してもらえないということもあります。どうすればその医師に診てもらえるのでしょうか?

一つの方法として、クリニックからの紹介状の宛先をその医師の名前にしてもらいます。必ずしもその医師が担当するとは限りませんが、確率としては高まります。

その人気の医師でなかったとしても、自分の病気を得意としている大病院で担当になる医師であれば適している可能性は高いでしょう。

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