記事

高校野球大好き芸人が熱弁! 名門校も倒せるセンバツの伏兵

注目の大崎高校と、名将・清水監督

 2年ぶりの開催となるセンバツ高校野球に出場する32校の選手たちを見渡して、高校野球大好き芸人・かみじょうたけし氏は「大豊作の年」だと評した。全国各地から有望な中学生をスカウトしてくる強豪私立だけでなく、“ダークホース”とみられる地方高校にも、聖地を沸かす能力を秘めた選手たちがいるという。甲子園に旋風を巻き起こす期待を込めて、注目校の魅力をかみじょう氏が解説していく(学年は新年度のもの)。

【写真】直立する選手に冷静な目で話しかける清水央彦・大崎高校監督。部員らのアザーカットも

 * * *

 選抜出場校の中で、僕が気になってしかたがない学校がありました。それは、長崎県西海市の人口わずか5000人の島である大島にある、大崎高校です。西海市にある学校としては、春夏を通じて初めての甲子園だそうです。

 実は2月の最終日曜日に、大島まで足を運んできました。清水央彦監督は、清峰高校(長崎)でコーチ、部長を務めた高校野球界で知る人ぞ知る指導者です。清峰が2006年春に準優勝した時のメンバーで、今はピンでお笑い芸人をやっている「いけ団地」という後輩がいましてね。彼から恩師である清水監督の厳しさと、暖かい人柄は聞いておったんですけど、実際にお目にかかってその通りの方でした。

 大崎高校が練習の拠点とする大島総合運動公園(若人の森)野球場を訪れると、ちょうどシートノックをやっていました。清水監督は、丁寧にひとつひとつのプレーを確認しながら、褒めることは稀で、ミスしてしまった選手には厳しい檄を飛ばす。しかし、清水監督が最も恐ろしく映るのは、ミスした選手に何も言わない時です。無言。ただただ呆れてしまって、怒る気力も出ない時です。

 とにかくミスを避ける野球が徹底されていて、反対に相手のミスには乗じていく──そういうチームカラーであることが練習を見ていても伝わってきました。丸太を持って走るインターバル走や、船具屋でしか手に入らない、船を停留する時に使う極太の縄を使った縄跳びなど、清峰時代から選手に課すトレーニングメニューは過酷の一言です。

 選手たちのもともとの能力は、決して高いとはいえないと思うんです。そんな選手たちに対し、ゼロから体力をつけさせることに注力し、基礎的な守りを徹底的に叩き込んで、高校野球を終える3年生の夏には一人前の野球人に育て上げる。しっかりとした育成のプログラムがあるんやと思いますね。

 ピッチャーと鉄壁の二遊間を中心としたディフェンスに重点を置いているチームにあって、エースの坂本安司(あんじ)投手(3年)が注目してもらいたい球児です。東浜巨(沖縄尚学‐亜細亜大‐現・福岡ソフトバンク)と田村伊知郎(報徳学園-立教大-埼玉西武)、根尾昂(大阪桐蔭。現・中日)を足して3で割ったような、とにかく面構えの良い選手なんですわ。

 秋までの直球の最速は139キロということですが、ブルペンを横から見ていると、とても重たそうなボールで、もっと速く見える。冬の地獄のトレーニングを経ていよいよ140キロ台に達しているはずです。

   また昨秋の九州大会決勝で、選抜でも大会3日目の第2試合で対戦する福大大濠を相手に完投し、勝利投手となった新2年生の勝本晴彦投手も左の好投手。181センチの身長で、直球と変化球で腕の振りが変わらないプロのスカウトが好むようなタイプです。

 島の野球場で練習する大崎は、沖縄県の石垣島から出場し、2006年春夏の甲子園を盛り上げた八重山商工が思い起こさせます。監督のキャラクターはぜんぜん違いますけど(笑)、この小さな島の球児たちがどこまで勝ち進むのか興味深い。

 大崎同様に、ダークホースとなる可能性を秘めているのは、昨秋の東京大会を制した東海大菅生ではないでしょうか。同校には本田峻也投手(3年)という左腕がいます。インステップ気味に踏み込んでいく、佐野日大(栃木)時代の田嶋大樹(JR東日本‐現・オリックス)のような独特のフォームで、相手の左打者は背中側からボールがストライクゾーンに飛び込んでくるような感覚に陥るのではないでしょうか。個人的に、大会ナンバーワンの左腕は、本田投手か、北海高校(北海道)の木村大成投手(最速145キロ、秋の公式戦防御率は0.34)ではないかと思っています。

 その東海大菅生が大会5日目の第1試合で対戦するのは、甲子園初出場となる聖カタリナ(愛媛)です。愛媛からの選抜初出場校と聞いて思い出すのは1988年の宇和島東、2006年の済美。いずれも初出場・初優勝を飾っています。済美は女子校から共学となって3年目で快挙を達成していますが、聖カタリナも2016年に女子校から共学になったばかり。何かが起きそうな予感がします。

 東海大系列の学校といえば、今大会では大会2日目の第3試合で、東海大相模対東海大甲府の“タテジマ対決”が実現しました。関東大会の準々決勝でも両校は対決して、2‐1で甲府が勝ちましたが、果たして……。きっと2002年夏の智弁学園対智弁和歌山のような盛り上がりとなるのではないでしょうか。僕はメロディーが同じの東海大系列の校歌が好きなんですけど、どちらの校歌が試合後に流れるのでしょうか。

 相模には1年夏から甲子園を経験し、昨年夏も交流試合で登板した左の石田隼都投手(3年)がいます。3秒から4秒に一球投げるテンポの速い投球で打者を翻弄しますが、あまりに投球リズムが速過ぎて、逆に野手も守りにくいんちゃうかなと思ってしまいますよ。

   大会4日目の第3試合にある広島新庄対上田西(長野)も好カードでしょう。小柄な左腕投手を育てるのが得意だった名将・迫田守昭監督が昨年春に勇退し、34歳と若い宇多村聡監督が率いる広島新庄は、新チームの発足から練習試合を含めて39戦無敗とのこと。1年秋からエースだった秋山恭平投手(3年)が、今大会は10番をつけ、かわって右の花田侑樹投手(3年)がエースナンバーを背負います。U‐15侍ジャパンにも選出され、甲子園経験も豊富な秋左腕からエースの座を奪った右腕の実力とは──。

   春も夏も甲子園が開催されなかった今年の卒業生の分まで、選抜に出場する球児たちには甲子園の黒土で暴れ回ってもらいたいですね。

■聞き手・柳川悠二(ノンフィクションライター)

あわせて読みたい

「高校野球」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    「IOCは今後、五輪ができなくなる」舛添氏、日本が中止に言及した場合のIOC対応に注目

    ABEMA TIMES

    05月16日 18:36

  2. 2

    100円が2070万円に…GⅠ史上最高配当が飛び出した2015年ヴィクトリアマイルの大波乱

    村林建志郎

    05月16日 07:59

  3. 3

    「有事の宰相」としてはふさわしくない菅首相

    舛添要一

    05月16日 08:27

  4. 4

    結局、政府がやってるのは楽で目立つところだけ。やるべきことはみんな置き去り

    青山まさゆき

    05月16日 08:18

  5. 5

    ヒートアップする言論、スルーする回答

    ヒロ

    05月16日 10:41

  6. 6

    ワクチンのウェブ予約 ネットに慣れていない人にはハードル高し

    安倍宏行

    05月16日 16:39

  7. 7

    「いつ外れるかわからない」アパートの階段の崩落事故を受け国が異例の調査

    ABEMA TIMES

    05月16日 20:49

  8. 8

    河野太郎氏 自動車の住所変更オンライン手続きに特例創設

    河野太郎

    05月16日 09:22

  9. 9

    やはり政府が決定権を持つ蔓延防止措置は役立たずだった - 5月14日のツイート

    橋下徹

    05月16日 15:47

  10. 10

    「ノーマスク」を権利と主張する人々が公園の管理人を悩ませている

    NEWSポストセブン

    05月16日 17:49

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。