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【復興五輪と聖火リレー】「福島はオリンピックどごでねぇ」 聖火リレーを来週に控え、今年もJヴィレッジでデモ行進

昨年に続き、今年も「オリンピックどごでねぇ」の叫びが響いた。「原発事故被害者団体連絡会」(ひだんれん)と「脱原発福島ネットワーク」が17日午後、「2021年も福島はオリンピックどごでねぇ」アクションをJヴィレッジ周辺で行い、五輪中止と原発事故被害者救済、感染症対策への注力を訴えた。依然として原発事故被害が続く中、感染症の問題も出口が見えない。多くの人が「五輪どころじゃない」と実感する中、空虚なリレーは強行されるのだろうか。聖火リレー初日まで一週間。一日も早い中止決定を望む人々の声を無視してはいけない。


【「嘘で招致した五輪」】

 「今月25日、ここから聖火リレーが始まろうとしています。私たちは昨年もここでアクションを行いました。また今年もここでこんな事をやらなければならない事がとても残念です。福島だけでは無く、日本中そして世界中がオリンピックどころではない状況です。オリンピックに使うお金があるのなら、もっともっと有効に使うべきだと訴えていきたいです」

 Jヴィレッジから国道6号線に出た歩道。マイクを握った武藤類子さん(ひだんれん共同代表)は呼びかけた。なぜ、原発避難者への住宅支援などが打ち切られる中、多額の金を投じて〝復興五輪〟を開催するのか。なぜ、その金をコロナ禍で苦しみ疲弊する自国民の救済に充てないのか。

 いわき市議の佐藤和良さん(脱原発福島ネットワーク共同代表)も「福島第一原発事故から10年。多くの人が亡くなり、多くの人が傷付き、多くの人がいまだに苦しい避難生活を続けています。被害に目をつぶってオリンピックをやりましょうという風にはいきません」と訴えた。

 「世界各地のアスリートが本当に来日出来るのでしょうか。コロナ禍で全世界的に見てもオリンピックどごでねぇという現状です。それなのに、IOC(国際オリンピック委員会)は自分たちの利害のためにオリンピックを利用しようとしている。それだけだと思います。菅内閣も延命のためにオリンピックを政治利用しようとしています。そもそも、五輪招致が決められた2013年、アンダーコントロールという嘘でオリンピックを招致しました。しかし、汚染水はアンダーコントロールどころか依然として124万トンもタンクに溜まり続け、国は海洋放出しようと狙っています。それだけではありません。除染で生じた汚染土を再利用しようとしています。学校での甲状腺検査をやめようとする動きもあります。私たちは原発事故被害者、被災者として、ましてやコロナ禍でオリンピックなど必要無いと全世界に強く訴えて行きたいです」




今年も福島県内外から多くの人が集まり「オリンピックどごでねぇ!」とデモ行進した=福島県双葉郡楢葉町

【「五輪より家賃補助を」】

 福島県南相馬市小高区から神奈川県横浜市内に避難継続中の村田弘さん(「福島原発かながわ訴訟」原告団長)も、昨年に続き今年も駆け付けた。

 「いろいろな事に目をつぶって、自分たちの金のためにやるんだと。原発事故被害者もアスリートもこれほど侮辱されている事は無いと思います。こんな事をするなら、避難先の住まいから退去出来ないでいる人たちに対する家賃補助を続けて欲しい。なぜ数万円の家賃補助すら出来ないのか。怒りで爆発しそうです」

 「子ども脱被ばく裁判」原告団長・今野寿美雄さん(浪江町から福島市に避難継続中)は「オリンピックなんかにエネルギーを使うのなら国民を守ってくださいよ、子どもを守ってくださいよ。オリンピックどころじゃないんです。世界からどう見られているか、政治家も官僚も分かっていません」と語気を強めた。

 いわき市から参加した女性は取材に対し、こう答えた。

 「お金の使われ方が納得出来ません。それに、嘘で始まったオリンピックですからね。〝復興五輪〟などと名付けて、『アンダーコントロール』という嘘で東京に招致した。コントロールなどされていないのに…。福島のためですよ、なんて言わないで、やりたいのなら自分たちの金でやれば良いと思います。『おもてなし』なんて言ってた人もいましたが、私の中では『おためごかし』ですよ」

 デモ行進前に読み上げられた声明文には「今、お金を使うべきところはどこなのでしょうか。誰に対してなのでしょうか」と書かれている。

 「今も、新型コロナウイルスは収束せず、再度感染拡大の兆しも見えています。打撃を受けたお店や会社も多々あり、職を失い経済的に追い詰められた人々がホームレスとなったり、自殺をする方も増えています。アルバイトで学業を続ける学生たちも日々の食事を切り詰め、生理用品も買えない状況が報じられています」

 福島県は「原発事故から立ち直った姿を国内外に発信する」と準備を進める一方で、都内の国家公務員宿舎に入居している区域外避難者を相手取り、退去と家賃支払いを求める「追い出し訴訟」を起こしている。しかし、避難者切り捨ては世界中に発信されない。


国も福島県も今月25日から聖火リレーを始める姿勢を崩していない。昨年は2日前の夜中に延期が決まった

【「選手村クラスター」への不安も】

 終了後、取材に応じた佐藤和良さんは「この状況でやる必要は無いというのが世論の大半ですから。国民世論の7、8割が反対しているのにそれに背を向けて強行しようとしている。そもそも私たち原発事故被害者からすれば『オリンピックどころでは無い』というのはずっと一貫しているんですよ。昨日や今日言い出した事では無いんです」と改めて怒りを口にした。

「『アンダーコントロール』と嘘をつき、〝復興五輪〟と政治利用して招致したのがそもそもの間違いだったのではないでしょうか。勝手に震災・原発事故後の福島を利用して〝復興五輪〟なんて、政治利用するなと言いたいです。県民が望んだのではないのだから。それで今度は『新型コロナウイルスに打ち勝った証としての五輪』なんて言い出した。まだ打ち勝ってもいないじゃないですか。詭弁というかペテンというか、それは誰でも分かる話ですよね。変異株も心配だし、選手村でクラスターが起きるんじゃないかと不安です」

 だが、国も福島県も予定通り25日から聖火リレーを行う姿勢を崩していない。聖火リレーが予定されている市町村には交通規制を知らせる看板が設置された。福島県オリパラ推進室は16日、「東京2020オリンピック聖火リレーふくしま情報紙『RUN UP!! FUKUSHIMA』」最新号を発行し、芸能人など県選出の「PRランナー」を紹介。「市町村ゆかりの公募ランナー」一覧を掲載している。

 Jヴィレッジ内のホテル従業員も「聖火リレー前日の24日は関係者の方々で満室です」と話したが、一方で聖火リレーをPRするポスターなどは全く貼られていない。強行したとしても感染症対策で声援は無し。五輪への機運など高まるはずも無い。昨年は聖火リレー開始2日前の夜中に五輪延期が決まった。一日も早い中止決定を多くの人が望んでいる。

(了)

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